~5年前~ 蓮9才
小さいときから、お父さんとお母さんは仕事が忙しくて僕はいつもお家にひとりだった。勉強はまあまあわかるし、料理もスポーツもできたからひとりでもあんまり困らなかった。
でも、いつもひまだった。学校の友だちじゃなくて、ずっといっしょにあそんでくれる兄弟がほしかった。
そんなことを考えてた夏の夜、僕はひとりでさんぽに出かけた。ほんとはだめだってわかってたけど、だれかに会いたくなって外に出た。
しばらく歩いてたらまわりも暗くなってきた。そろそろ帰ろうかと思ったら、小さな公園を見つけた。ブランコにのった男の子がひとりで泣いていた。暑いのに長袖の服を着てる。なんでだろう。
🖤「どうして泣いてるの?」
💙「あいつのせいで、お兄ちゃんがみんな傷ついちゃうんだ。僕のせいで」
その子は僕を見た。すごく体は細くてかわいい顔をしてた。
💙「お前、名前は?何歳?」
🖤「…言わない。個人情報だから」
少しまよったけど、お母さんに怒られちゃうから言わないことにした。その子は大きな口で笑った。
💙「あははっ!なまいきなやつ!じゃー僕も言わないもんね」
そうやって、僕たちは仲よくなった。いっしょに遊んで、大人がきたらいっしょに逃げまわった。名前も知らないけど、お兄ちゃんができたみたいで嬉しかった。僕は毎日その公園に行った。
💙「みてみて、これ僕のお兄ちゃんのマンガ。お前にも読んでほしくて」
お兄ちゃんが見せてくれたのはサッカーのマンガ。僕はサッカーが好きだからすごく面白いと思った。
僕はお兄ちゃんとずっといっしょに遊んでいたかった。でも、長くはつづかなかった。10月のさむい日に僕はいつも通り公園に行った。しばらく待ってたらお兄ちゃんが来た。その日はめずらしく半袖のTシャツで、初めて見えたうでには傷とあざがたくさんあった。
🖤「どうしたの、それ」
💙「…見んな」
心配になって聞いてみたら、お兄ちゃんはそれだけ言って帰っちゃった。
僕は次の日もその次の日も待ってたけど、お兄ちゃんは来なかった。僕はお兄ちゃんに会えないから公園には行かなくなった。
お兄ちゃんがおすすめしてくれたマンガをお父さんにたくさん買ってもらった。ひまじゃなくなったけど、もう一回でもいいからあのお兄ちゃんと遊びたいな。
名前も知らないお兄ちゃん。いつかまた会いたいな。
次回は本編に戻ります!
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