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この作品には登場人物が四人しかおりません。
全て精霊一人の視点で話は進みます。
三人の男性が登場しますが、基本的には一人にメインを置いた話です。
三人はとても仲のいい大親友で、学生時代からの付き合いです。
大人になって、それぞれの道を歩み、忙しく中々会えなかった三人は、満月の綺麗な夜に、久しく時間を作り思い出話しに花を咲かせました。
獣人、竜人、ハイエルフ、の長寿種である三人は、また忘れた頃に会おうという意味で、『いつの日か、また、同じようにここで酒を飲もう。精霊たちを交えて、色んなことを語り合おう』と約束しました。
ですが、元々起きていた種族間の小競り合いなどが激化し、さらには神々まで巻き込んだ戦争に発展。
竜人、ハイエルフの二人はこの戦争によって命を落とします。
三人と精霊の約束の地は、花の咲く木々が焼け落ちただけでなく、地形までもが変わり果て、本当に見る影もないほどでした。
それを何百年もかけて、戦争を生き残った三人のうちの一人である獣人が、かつての地を再生させました。
闇に覆われた空には太陽が戻り、灰と化した不毛な大地には緑が戻り、吹き荒れる死の風は姿を消し、崩壊しかけた世界が戻るのに合わせて、毎日約束の地に通い再生させたのです。
一度、魔に堕ちて、穢れてしまった精霊が、もう一度精霊に戻ることはできません。
視点である精霊は、かつて風の上位精霊で、美しい金の髪をした女性の姿でした。
獣人の献身によって、理性と自我を取り戻した元精霊は、精霊でも、魔物でもない特殊な存在として消滅することなく、永遠に約束の地を守り続けます。
一際満月が大きく綺麗な夜に時折訪れる、不死の身となってしまった孤独な獣人と共に…