朝。さぁ、もっくんはどんな気持ちだったのでしょう。
朝の気配に目が覚める。俺はしばらくボーっと宙を眺めていた。こんなにスッキリした気分はいつぶりだろう。
しばらくはその気持ち良さに酔っていたが、だんだんと意識が戻ってくるにしたがって、昨日自分がやらかしてしまった事が思い出され一気に血の気がひく。
そおっと隣に目をやると、何も言わずに俺を見つめる涼ちゃんと目があった。
「涼ちゃん。本当にごめんなさい!」
俺は飛び起きて土下座しながらあやまる。
「俺、俺…昨日もう限界で…。こんな事言い訳にもならないけど、本当にごめんなさい」
恐ろしくて涼ちゃんの顔が見れない。
「…本当に反省してる?」
「してる!本当に反省してる!」
そう必死に訴える俺に、涼ちゃんはもういいよと大きなため息をついた。
「本当に限界だったんでしょ?見てればわかるよ。俺だって元貴がおかしくなっちゃうんじゃないかってすっごく心配だったからさ」
まさかそんなにあっさり許してくれるとは思わず、驚いて顔を見上げた俺に涼ちゃんはそう言う。
「涼ちゃん…」
「俺もまさかこんな体験するなんて思ってもみなかったけど、元貴、ずいぶん元気になってるみたいだしさ」
涼ちゃんは苦笑する。そりゃあ男に襲われるなんて想像もしていなかっただろう。
「体調どう?」
あんな事をしでかした俺の体調を気にしてくれる優しさが胸に染み渡る。
「…身体のだるさもないし、頭痛も治って頭がスッキリしてる」
正直に答える。ここしばらくのあの苦しさはどこにいったのかと自分でもびっくりするくらい身体が軽かった。
「もう!元貴はいつもがんばり過ぎ。今は自分探ししてるのかもしれないけどさ、ちょっとは息抜かないと本当に倒れちゃうよ」
ちゃんと自分の事を理解して心配してくれる人がいる。今まで殻に閉じこもってそれを忘れていた自分に気づいた。
「…ごめん」
「俺たちには少しくらい弱いとこ見せたって大丈夫だからさ。信頼してもうちょっと甘えてよ」
甘える、か…。でも本当に甘えていいのかな?
俺は少し考えてから勇気を出して言葉にする。
「涼ちゃん。俺、全然寝れてなかったって言っただろ?寝るのが本当に怖かったんだ」
自分の中の暗闇に襲われ、飛び起きる毎日。
「睡眠不足が続くとイライラして周りにあたっちゃう自分が止められなくて、自己嫌悪でさらに眠れなくなって…本当にすっごいつらかったんだ」
本当にもう限界だった。自分が自分ではなくなっていく恐怖。
でも…。でも。
「でもさ、昨日涼ちゃんと一緒に寝て俺、安心して眠れたんだ」
あの優しい空間の中、自分の中の暗闇が溶けて消えていく、あの感覚。
「…だから、俺がどうしようもなくなった時だけでもいいから、お願いだから俺と寝てくれないかな?」
涼ちゃんの目がこぼれ落ちそうなくらい見開かれる。
「えっ?それって…」
「無茶苦茶なお願いだってわかってる。自分でも何言ってるんだよって思う。でも、でも…お願いだから…」
自分でも本当になに甘えてるんだよって突っ込みたくなるくらい無茶苦茶なお願い。
でもあの感覚を、涼ちゃんをもう一度感じたいと願ってしまう自分が止められない。
自然と涙が溢れてきた。
しばらくお互い無言で俺のすすり泣く音だけが部屋に響く…。
涼ちゃんはため息をついた。
「…わかったよ」
「いいの?」
俺はびっくりして涼ちゃんを見つめる。
「ただし!元貴が落ち着いてちゃんと寝られるようになるまでだからね!」
ちょっと照れたような涼ちゃんを見て、喜びと安心で自然と笑顔がこぼれた。
「ありがとう」
そうして、俺のわがままと涼ちゃんの優しさだけを頼りに俺たちの関係は始まった。
もっくん、涼ちゃんの中に癒しを見つけてしまったんだね。さすが癒しの人、涼ちゃん🥹w
コメント
4件
改めて読むとまぁ可愛い(^q^) ここから嵐やー(っ ॑꒳ ॑c)
涼ちゃんはもういや仕方をマスターしてるとしか考えられないです😂