テラーノベル
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スタジオでの打ち合わせが終わった夜。
人がはけて静かになった頃、藤澤のスマホが震えた。
画面を開くと、そこには短いメッセージ。
『今から俺ん家来い』
差出人は若井。
短い一文なのに、抗えない力がある。
少し考えれば「疲れてるしまた今度で」と返すこともできた。
でも指は勝手に「わかった」と打ち込み、送信していた。
⸻
若井の玄関の前に立つと、足がすくんだ。
インターホンを押すと、すぐに内側から鍵の外れる音がした。
「……来たな」
低い声。
ドアを開けると、ランプの暖かな光に照らされたテーブルの上に、黒い小箱が二つ置かれていた。
ひとつは見覚えのない長方形の箱、もうひとつはやや小ぶりな四角。
「……なに、それ」
恐る恐る尋ねると、若井が箱を開ける。
中にはシルバーの首輪。
小さな鈴がついていて、揺れると軽やかに「チリン」と鳴った。
「……これ、俺に?」
「そうだ。……お前は三匹目の猫だからな」
ふっと笑った若井が、その首輪を持ち上げる。
息を呑む間もなく、ひやりとした金属が首に触れ、後ろでカチリと留め具の音がした。
「……っ……」
外そうと思えば外せるのかもしれない。
けれど、首元に光る鈴の存在が「従属」の証として強烈に意識に焼きつく。
(……これで、もう……俺……)
首輪を指でなぞると、鈴が小さく鳴った。
心臓が一層早くなる。
⸻
若井はもう一方の箱を開ける。
「……こっちもある」
取り出されたのは、黒い猫耳カチューシャだった。
「っ……!」
藤澤の顔が一気に赤くなる。
「……つけろ」
命令は短い。
抵抗したい気持ちと、逆らえない心がせめぎ合う。
震える手で猫耳を頭に乗せると、若井が満足げに目を細めた。
「……いいな。ほんとに俺の猫になった」
首輪と猫耳。
完全に「猫」にされている自分を鏡に映したら、どれほど恥ずかしいだろう。
それでも若井の目は温かく、支配と愛情が混ざった光を宿していた。
⸻
「Strip.(脱げ)」
最初の命令が飛んだ。
服を脱げ──その短い一言に体が勝手に反応する。
藤澤は身体を硬直させたが、言葉に逆らえず服を脱ぐ。
Tシャツ、短パン、下着を外し、残されたのは首輪と猫耳だけ。
両手で体を覆うが、鈴がチリンと鳴って羞恥を煽る。
「……恥ずかしい……」
「……すごくいい。可愛い」
若井の目が、猫を眺めるように細められる。
⸻
「Meow.(鳴け)」
「……にゃ……」
猫耳をつけた状態で声を出す。
チリンと鈴が鳴り、羞恥が一気に押し寄せる。
それでも若井は「可愛い」と吐息を漏らし、頭を撫でた。
「Roll.(転がれ)」
藤澤は床に転がり、ゴロゴロと体を揺らす。
鈴が何度も鳴り、恥ずかしさで顔が熱くなる。
若井はソファに腰をかけ、口元を緩めながらその姿を見ていた。
「Lick my hand.(俺の手を舐めろ。)」
差し出された指をぺろ、ぺろと舐める。
猫耳が揺れ、首輪の鈴が鳴る。
羞恥と快感に胸が痺れ、吐息が熱を帯びる。
「っ……はぁ……いい子だ……」
若井の喉から、押し殺したような吐息が零れる。
(……あぁ……褒められると、嬉しい……)
頭を撫でられ、藤澤は涙目で小さく笑った。
羞恥と快感がない交ぜになり、胸の奥が甘く痺れていく。
⸻
そして、若井の目が一層鋭くなった。
「……次だ。後ろを向いて、鈴を鳴らしながら腰を振れ」
「……!」
全身が硬直した。
背中を晒し、お尻を揺らす姿。
猫耳と鈴をつけたまま、それをやらされる。
想像しただけで羞恥が全身を焼いた。
「……や……やだ……っ、それは……できない……!」
涙目で拒む藤澤。
喉の奥が震え、声が裏返る。
「……俺に歯向かうのか」
そう言った後、若井はしばし無言で見つめた。
その静けさが、かえって背筋を凍らせる。
「……従えないなら……お仕置きだ。」
低く冷たい声。
首輪を指先で軽く弾かれると、鈴が「チリン」と重々しく鳴った。
その音は、これから待つものを告げる合図だった。
(……お仕置き……!)
羞恥と恐怖、そしてどこかに潜む期待がない交ぜになって、藤澤は俯いた。
猫耳が揺れ、鈴が小さく震え続ける。
それが、これから待つ運命を告げていた。
コメント
2件
涼ちゃんお仕置きされちゃうの!?若井は何をする気なんだろう(๑¯ㅁ¯๑)?