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朝の教室は、やけに眩しかった。
💎「おはよー!」
🐰 「今日提出のプリント忘れんなよー」
いつもと同じ声。
いつもと同じ風景。
——なのに、胸だけが重い。
🦁「ほとけ!」
背中を軽く叩かれる。
💎「あ、アニキ」
🦁「今日、顔色大丈夫か?」
アニキは、
“心配してる”って顔はしない。
ただ、いつもより少しだけ、目を細める。
💎「そう?」
💎「気のせいじゃない?」
そう言って笑うと、
悠祐はそれ以上、何も言わなかった。
🦁「そうか。まぁ、無理すんなよ〜」
それだけ。
それが、妙にありがたい。
昼休み前。
先生に呼ばれる。
「ほとけ、ちょっといいか」
教室の外。
廊下に響く、チャイムの音。
「最近、よく頑張ってるな」
「周りも頼りにしてるみたいだし」
……まただ。
💎「ありがとうございます」
反射的に出る言葉。
「期待してるからな」
その一言が、
胸の奥に、ずしっと落ちる。
昼休み。
🍣「先生に呼ばれてたよね」
ないこが言う。
🍣「なんかやらかした?」
🐰「いやいや、逆でしょ」
冗談っぽく返す。
🐰「褒められたんやろ?」
🐰「いむくん最近優等生やし」
——優等生。
その言葉に、
喉が一瞬、詰まる。
💎「……そんなことないってw」
💎「たまたまだよw」
ないちゃんは、じっとこっちを見る。
🍣「でもさ」
🍣 「“できる”って思われてるのは事実でしょ」
逃げ場がなくなる。
🍣「それ、しんどくない?」
その一言で、
心臓が跳ねた。
💎「しんどいってほどじゃ——」
言いかけて、止まる。
アニキが、会話に割って入る。
🦁「まぁまぁ」
🦁「ほとけは、ほとけのペースでええやん」
軽い声。
でも、目だけは真剣。
🍣「だけど!!」
ないちゃんは引かない。
🍣「周りが勝手に期待して、
勝手に“できる前提”で話すのって」
🦁「……普通にある話やろ」
“普通”。
その言葉が、
今の自分を刺す。
🐱「期待されるのって、ええことやん」
誰かが言う。
🐱「羨ましいわ」
🐱 「できる人の特権やろ」
笑い声。
——そうだよな。
贅沢な悩みだ。
💎「……うん」
そう答えながら、
胸の奥で、何かが縮む。
放課後。
帰り道、アニキが隣を歩く。
🦁「ないこ、ちょっと言い過ぎやったな」
「悪気はないんやけど」
💎「分かってる」
分かってる。
全部。
🦁「……期待されるの、嫌なんか?」
アニキは、真正面から聞かない。
少しだけ、遠回し。
💎「嫌、じゃない」
💎「ただ……」
言葉を探す。
💎「失敗できなくなる感じがして」
足が止まる。
💎「一回つまずいたら、
全部崩れそうで」
悠祐は、黙って聞いてる。
💎「“できるよね”って言われるたびに、
“できなかったらどうしよう”って思う」
声が、小さくなる。
💎「これって……
ほんと、誰にでもある話なんだろうね」
悠祐は、少し笑った。
🦁「あるあるやなぁ」
🦁「でもな」
足を止めて、こっちを見る。
🦁「それは、ほとけが弱いからちゃうで」
真面目すぎるだけや」
——その言い方が、
救いみたいで、少し苦しい。
家に帰って、
机に向かう。
やることは、山ほどある。
“期待されてる自分”
“ちゃんとした自分”
それを一つずつ、
演じるみたいに、こなしていく。
💎「……疲れた」
誰にも聞こえない声。
——頑張るのは、嫌いじゃない。
でも、
頑張らなきゃいけない自分から、
降り方が分からない。
ベッドに倒れ込んで、
天井を見る。
💎「普通に生きてるだけなのに」
なんで、こんなに苦しいんだろう。
「ちゃんとしてる」
その言葉が、
逃げ道を消していった。
第4話
“期待の置き場所”