小説
貴方と会ったのは……火の海とかした戦場……
そう……何百年前……貴方と初めて交わした戦争……
その時の貴方の印象は……
誰よりも美しく、誰よりもたくましく、誰よりも挫けない……そんな心に満ち溢れている……
敵でありながら…私が魅了されるなんて……思わなかったですよ……
だが、その時は戦争という状況だったので、そんな事を思っていた自分が変だと思いましたよ……
貴方の所為で……
だけど、その戦争では私が勝利しました。
あの時の貴方が絶望に落ちたような……怒りに震えるような……私を殺そうとする姿勢と顔が……
不思議と愛おしく……魅力的で、私は……貴方の中にある「何か」に惹かれていました……
いっそ……私の事を……殺して欲しいぐらいに……私は……貴方に惹かれた。
それから、何度か戦争を繰り返し……負けたり勝ったりの繰り返し……
その度に貴方と出逢えると思って、勝利よりも……貴方の事を思っていました……
そして……時代は移り変わり……植民地をお互い多く持つようになり……
また戦争の繰り返し……
それでも、私は貴方に勝っている。だけど……嬉しくもない……
確かに……植民地は欲しかった……戦争に勝った……だけど……不思議と嬉しくもなかった……
そして……世界規模の大戦争も起きて……終いには……貴方から私の元へ来ました……
そう私がやつを警戒していた矢先に……
貴方は━━━━━━━━━━
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ドン!!
自由🇫🇷「はぁ……はぁ……」
自由🇫🇷「イギリス……助けて!」
自由🇫🇷「君の力が欲しいんだ!」
そう私が……昼過ぎの街を見ていた時の事ですよ……
貴方がボロボロになって私の元に来た……
私は……驚きましたよ。貴方のような人が……本当にやつに負けてしまったなんて……
だから私は……貴方にできる事をなんでもしました。
貴方の為なら……全てを捧げました。
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そして……平和となった現代……
私は……今でも……今まで以上に貴方の事が好きと感じてしまうんです……
貴方という名の……「抜け出せない沼」に溺れて……恋以上の……
愛以上の……「何か」に溺れている……
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ブクブク……
ここは……どこでしょうか……
苦しい……暗い……深い……
だけど……抜け出したくない……この「海」のような……いいや……
海以上に深く……抜け出せない……何処か「美しさ」を感じる……この場所から……
イギリス……昔の君ってさ……
紳士的で、何処か皮肉屋みたいな所もあるのに……
何処か可愛らしく……愛しさを感じるんだ……
🇬🇧「この声……何処かで聞いたことが……」
戦争までもした犬猿の仲だったのに……
今じゃ……君を……この手で支配したいくらいに……
🇬🇧「私を……支配したい……ぐらいに……」
ねぇ……イギリス……
僕の事を……どう思っているのかい?
🇬🇧「そりゃ……もちろん……」
ブクブク……
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愛以上に溺れている者は……
こうして……海よりすごく深い所まで溺れていった……
何も抵抗せず……ただただ……思うがままに……
愛以上の空間に溺れていった……
これは……英国紳士が自ら望んだ物だろうか……
それか……これ以上の物を望んでいるのか……
それは……その紳士にしか……分からない。
The end……