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うわ✨ 起きてて良かった笑 甘々ありがとうございます💕 めっちゃ嬉しいです✨ 最後の一行ほんと好きです。
しらす様からのリクエストを書かせて頂きました✍️甘々りょつぱです🤤
💛視点 ※付き合ってます
「んん……。」
開けていた窓から吹き込む風がカーテンを揺らし、チラチラと光がベッドを照らす。もう少しだけ、と重く開かない瞼を閉じたまま、手探りでカーテンを開ける。
「まぶし……」
そう聞こえた声は僕の声ではなく、隣で共に寝ている人物からだった。
「朝だよ若井〜……眠いけど起きなきゃ……。……え?」
眠たい目を擦りながら背伸びをする。また夢の中に落ちていきそうな隣の彼に目を向けた時、眠気が吹き飛ぶくらい驚いた。
「なんで口の端怪我してるの!?ちょ、起きてよ若井!」
「んー……揺らさないで…。」
気持ちよさそうに目を閉じている若井の口の端には血が滲んでいて、見ていて凄く痛々しい。当の本人は気にしていないようで、どちらかと言えば僕のうるささにイラついてるようだ。
「良いから起きてよ…!!消毒しなきゃ!」
「……ん。」
中々起きてくれない彼の口に指先で触れる。傷口に触ってみるが、既に血は固まっているようだ。他に傷はないか唇の縁をなぞるように確かめていると、寝惚けている若井が僕の指先を食んだ。
「食べ物じゃないからー!!!」
「うるさいよ涼ちゃん……なんで今日予定無いのに起きるの?」
「え……?」
そこで初めて気がついた。昨日の記憶が無い、と。
「あれ……僕昨日…若井と元貴と飲みに行って……それから……。」
思い出そうとする記憶にモヤがかかる。昨日のことは覚えていないが、いつの間にか向けられていた若井の冷ややかな瞳が全てを語っていた。
「……涼ちゃんが噛んだのに。」
驚いて言葉の出ない僕の様子に気分を良くしたのか、僅かに口角を上げた若井が言葉を続ける。
「若井大好き〜食べちゃいたい〜♡とか言ってたのに?」
「はあ!?絶対言ってない!!僕記憶ないもん!!!」
「え〜?若井も僕のこと食べて♡って言ってたのも覚えてないのかぁ……。」
にやにやと悪戯気に語り続ける若井に勢いよく枕をぶつける。絶対絶対僕は言ってない!……言ってないよね?
「酷いよ涼ちゃん!!お風呂だって入れてあげたのに!」
若井が口を開く度に、僕の昨日の痴態が明かされていく。恥ずかしさで耐えきれなくなり、若井を置いて寝室を出る。直ぐに聞こえてきた僕を追いかける足音を耳に、リビングの棚の中にある医療箱を手に取る。消毒は若井が苦手な行為で、きっと今の仕返しが出来る。いや、これは仕返しではない。立派な治療だ。
「拗ねたの涼ちゃ……ん……」
まんまと僕を追いかけてきた若井の瞳に、僕の手に握られた医療箱が映された。
「僕がやったんだもんね。責任取ってあげる。」
「……いや、?あー、なんかこれ自分で噛んだかもなー!うわー絶対これ俺がやったわー。ごめんね涼ちゃん勘違いしてたよ!」
あまりにも下手な芝居に何も言えない。
「…どちらにせよ消毒するからね。」
嫌だ嫌だと言いながらも、僕に掴まれた手をしっかりと握り返すのがずるい。また照れさせようとしてるのかと顔を見てみるが、全く持って気にしてる様子はなかった。これが無意識だとしたら、本当にずるい男だ。
「あぁぁぁあ……染みるぅ…………。」
情けない声を上げて眉を下げる様子に反応せず、黙々と口端の傷を消毒する。あまり傷は深くなさそうで少しだけ安心した。本人はあまり気にしていなさそうだが、顔の中でも口はそれなりに重要なパーツだしイメージに関わる。僕のせいで若井に変なイメージが付くのはどうしても嫌だった。
「……ねぇ涼ちゃん。」
「ん?」
あらかた消毒も終わり、医療箱を片付けている僕に声を掛けられる。
「キスしてって言ったら、やだ?」
いつもとは違い気弱な言葉だった。なんで?と言いかけてピンと来た。きっと傷口を気にしているんだろう。バイ菌とか、染みるとか、彼なりに色々気になるところもあるはずだ。
「僕はいいけど、若井の傷悪化するからダメだよ。菌とか入っちゃったら消毒の意味無いし。」
「……そういう事じゃなくてさ、」
真剣な若井の瞳。急に訪れた堅苦しい雰囲気に息が詰まる。
「昨日の記憶全然ないの?」
「んー……。あ、元貴がエアリンボーダンスしてたのは覚えてるよ!」
「なんでそこ覚えてるの??」
そう言われても、そこしか記憶が無い。確かにお酒を飲みすぎたような気はするけれど。
「涼ちゃん昨日寝る前さ、…俺とのキス嫌だって言ってたから。」
「なんで!?」
「こっちのセリフだよ。」
嫌なわけないし、むしろ好きに決まってる。恥ずかしくてそんなこと本人は言えないけれど、そんなことを口走った昨日の僕が分からない。
「嫌じゃないよ、?他に何も言ってなかったの?」
若井の表情から、かなり傷付いてるのが読み取れる。酔っていたとしても、軽々しくそんなことを言わない自信があった。きっと何か理由があるはず。
「他……。んー……、俺とのキスは何か変とか言ってたかも?」
「何か変……??」
何か変はもうガッツリ悪口じゃないか。挽回しようがない、そう思った時、うっすらと寝る前の記憶が蘇ってきた。
「……若井とのキスは気持ちよくて、頭の中ふわふわするし、ずっとしたくなる…から?」
ぼやけている記憶を辿るように呟く。確かに答えを返してたのに、反応を示さない相手を見た時、いきなり視界が反転した。
「…ずるいよそれ。」
押し倒された僕の身体を、ふかふかとしたソファがしっかりと受け止めてくれた。驚いた僕を映す若井の熱い瞳。
ずるいのは君だって同じなのに。
甘々……なんですかね?🤔