💙×💛※モブ出演あり、付き合ってます
モブ視点
最近俺のアパートによく引越し業者が出入りしていた。出ていくのか、それとも入ってくるのか、なんて考えていた矢先のこと。突然家のインターホンが鳴る。時間は昼時。特に来客も珍しくないため、モニターを見ずに直接扉を開けた。
「…あ、えっと、?どちら様ですか?」
少し長めの金色の髪の人が、玄関先に立っていた。手には何か小包の様なものを持っていて、インターホンを押した張本人のはずなのに少し驚いた顔をしていた。
「今日から隣に越してきた藤澤です…!良かったらこれどうぞ!」
ふわふわとした耳障りの良い声だった。どうぞ、と勢いよく差し出されたそれを受け取り、感謝を述べる。
「ありがとうございます…。隣…ってことは203ですか?」
「はい!仲良くしてください!」
不意に向けられた笑顔に心を撃ち抜かれる。俺はなんて罪な男なんだ。こんなにも良い人を見つけられるなんて。
「あの、良ければ連絡先交換しませんか?」
「連絡先…ですか?」
一瞬不審気に顰められた眉。少し攻めすぎたか。慌てて言葉を取り消ししようとした時、明るい声が響いた。
「…いいですよ!えっと…LINEでいいですか?」
「はい!」
暫くしてから、向けられたスマホの画面のQRコードを読み取る。少しだけ気になったのは、LINEのアプリからのQRコードではなく、写真フォルダに保存されたQRコードだったことだ。まあ、特に気にすることもないし言及はしなかった。
「え…藤澤さんギターやってるんですか?」
「ギター……?あ、やってます!!」
ユーザ名に「わ」と示され、アイコンにはギターが映っていた。なんとも言えないギャップに萌えていると、藤澤さんが突然慌て始めた。
「えっ、もう13時!?ごめんなさい、また今度!」
そう言い残して足早に去っていく背中を見つめる。確かに203号室に入っていった。絶対に落とそう、そう決めた。
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