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南雲が商店に来た翌日に発情期が来てしまったけど、坂本さんたちには事前に話してあったから仕事は休んで人通りの少ない道を選んでホテルに向かった。
前回の発情期の時に隔離用で泊まったホテルだけど今回も予約して早足で向かった。
──やっぱ抑制剤買おうかな。でも薬飲むとエスパー使えなくなるのが頻繁にあるし、効かなかったらホテル使わなきゃいけないから出費がデカい。──
オメガの発情期を抑える抑制剤は副作用もあるし何より高価でアルバイトの俺ではホテルを一週間抑えるのもかなりの痛手だ。
オメガで生まれたことを後悔したことも何度もあったけど上手く付き合っていかなければならない。俺は番が欲しい訳でもないし恋人も欲しいとは思っていないから三ヶ月に一度の発情期は一人でひたすら慰めていた。
──早く、ホテルに着かなきゃ。──
次第に足取りもフラフラしてきて以前アルファである南雲の存在が頭の中にチラついてくる。突然オメガであることがバレたけど気丈に振る舞っていたら俺の発情期の周期すらも知られていて動揺してしまった。
『ヒート中に試しに僕とエッチしない?』
──勢いで断っちゃったけど・・・ヒート中にエッチしたら・・・どうなるんだろう。──
俺はもちろん性行為の経験は全くないから発情期中にもし誰かとセックスすることを想像すると思わず生唾を飲み込んでしまう。
スマホに連絡先を追加されて、その気になれば削除できるのに今日まで消さないでいたのは僅かな好奇心があったからだ。
発情期の間はたまに記憶が飛んでしまうことが多々あるから無意識に連絡しないように、やはり消した方が得策かと思って歩きながらスマホを取り出す。
「ん?・・・・・・っ!?」
人通りがない道を選んだから目の前に誰か立ち止まったことに俺は違和感を覚えて顔を上げた。そして目の前の銀髪をオールバックにした気だるけな表情をした青年に声が出ないほど驚いた。
──楽・・・!?──
X一派の仲間である楽が目の前に立っていることに俺は絶望した。たとえ発情期の最中じゃなくても俺には敵わない相手だと見ただけで分かるほど楽は強い。
「あれ、やっぱお前アレじゃん。えーと・・・サカモトんとこの奴」
「っ」
今は武器を持っている様子もないし本当に偶然出会ったのだろう。楽は俺を見ながら思い出そうとするも曖昧なのか首を傾げている。
上手くいけば逃げられるかもしれないと思っていると楽が一歩前に出て俺の顔をジッと見つめた。
「・・・なんかお前匂うな。オメガ?」
「!」
「アタリだな。甘いニオイプンプンさせて誘ってんの?」
──コイツもアルファだったか。──
どうしてこうも才能がある人間はアルファばかりなのだろうか。「お前には関係ない」と冷たくあしらって横切ろうとしたら腕を掴まれた。
「離せ!」
思わず恐怖で声が上擦ってしまった。離れようと抵抗しようしたけど力が強くて俺の腕を掴んだまま楽は口角を上げる。
ゾクリと背中から這うような恐怖を直感した俺は手にしていたスマホで南雲の連絡先をタップすると同時に楽に引き寄せられた。
ホテルの部屋に着くなり楽にベッドに体を放り投げられた。起き上がる前に俺の体に覆い被さってきた楽に体格でも力でも勝てる訳もなくて噛み付くような強引なキスを受け入れざる得なかった。
「ん゛・・・っ」
『やべ〜。コイツの匂い今までのオメガの中で一番最高』
口内に舌を捩じ込まれて絡ませるような深いキスで体が熱くなっていく。楽の思考は俺の発情期に当てられて酷く興奮している様子だ。
「ぁ゛、ふ・・・」
──キスってこんな気持ちいいんだ。──
熱い楽の舌が俺の舌に絡んだり歯列を舌で舐められるだけで俺の思考はどんどん溶けていく。
自身を慰める行為より他者に触れられる快感の方が何倍も気持ちいいことを知った俺は恐怖心より快感の方が勝ってしまいそうになる。
着ていたシャツを胸元まで捲られて平らな胸元に楽の大きな手が這って「ん」と敏感に反応してしまう。
楽ほどの力なら発情期中の俺を殺すことなんて容易いだろうから下手に抵抗して逃げようとしたら殺されそうで怖かった。
──俺、このままレイプされるのか・・・?中に出されたら赤ちゃん出来ちゃう。──
この期間は妊娠の可能性が上がってしまう。理性すらも溶かされて楽のキスに没頭しそうになるのを何とか耐えていると唇が離れて俺の首筋に舌を這わせる。
「ぁう・・・っ」
「すげー濃い匂いなのに吐き気どころか興奮する」
「ひっ」
首筋に軽く歯を当てられてビクリと大袈裟なくらい体を震わせた。頸ではないから番の契約をするつもりではないと分かっていても楽に首を噛まれるとそのまま殺されそうな恐怖を感じる。
──楽の、当たってる・・・!──
わざとらしく覆い被さった楽の下半身の膨らみが当たって、かく言う俺もキスですっかり勃ってしまった。
さっきのキスをもう一度味わいたい、と無意識に楽の服の裾を掴むと何も言っていないのに楽はチラリと俺を見てまたキスを再開する。
「んっ」
──キス、気持ちいい・・・!──
こんなことしちゃ駄目だと分かっているのに、怖いのに、俺は目先の快楽から逃げれなくて楽の舌の動きに健気に合わせてしまう。
互いの酸素を奪い合うようなキスを繰り返していくうちに互いの昂った自身をズボン越しで押し付け合った。
「ふ、ぁ・・・っ!〜〜ッ♡」
──!?あれ・・・俺もしかして今イッた?──
直接触らずに布越しで擦り合ってただけで達したことに驚いていると楽は表情を変えないまま俺のズボンと下着を脱がす。
射精して濡れた俺の下着をベッド下に放り投げた楽は自分のズボンと下着も脱ぎ出す。俺とは比べ物にならない大きな勃起した楽自身に俺を思わず息を詰めて凝視した。
楽の手が俺の下半身に伸びて最近の発情期の自慰行為で必ず弄っている秘部に触れ出す。
「お、マジで女みてーに濡れてる」
「あ、っぁ、あっ」
「手マンされただけでイきそうだな」
無遠慮に楽の長くて太い指が入ってきて俺の中を掻き回すように指を動かすから堪らず甘い声が出た。俺が自分で弄った時よりも奥に入って発情期は潤滑油とかがなくても器官は濡れるから楽が指を動かす度にグチュグチュとやらしい音が聞こえる。
指を引き抜かれて中に入っていたものがなくなって物寂しく感じていると足を開かされて昂った楽自身を当てがわれた。
「ぁ・・・ゴム、して」
「そんなことしてる余裕ない」
「ちょっ・・・、ナマはほんとに駄目だ・・・!」
最後の理性を振り絞って抵抗するけど楽は俺の発情期の匂いに当てられているから殆ど獣のようになっている。
腰を強く掴まれて「痛い」と訴えるも俺が逃げないように楽は秘部に先端を捩じ込もうとした。
「──はい、ここまで」
しかし突然、俺と楽以外の声がして動きがピタリと止まった。
ホテルの部屋は鍵をかけた筈だ。もちろん部屋の窓も閉め切られている筈なのに、寝室の扉を開けて入って来た南雲に俺も楽も驚いた。
「お前・・・ORDERの」
「そういう君はXの仲間だね」
流石の楽も南雲の飄々とした奇妙な雰囲気に違和感を覚えて睨むも南雲は笑みを崩さないまま俺をチラリと見る。
──そっか。さっき電話したから助けに・・・、
楽に腕を掴まれた時に咄嗟に南雲に電話をかけてすぐに切った。恐らくそれで俺の危険を察知して助けに来てくれたんだろうと僅かな希望を感じていると南雲は寝室に入って俺たちに近付く。
「僕も混ぜてよ」
「・・・え?」
この上記を助けてくれるかと思った俺は南雲の言葉に酷く絶望した。南雲もアルファで俺の匂いに少なからず当てられているから、この場を助けたとしても犯されるのは間違いないだろう。
──俺、どうなるんだ。──
今の状況で俺は何も出来ない無力だ。