この作品はいかがでしたか?
6
この作品はいかがでしたか?
6
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
放課後、廊下の角を曲がると、すでに愛梨と黒崎黎が立っていた。何か話しているようだが、その雰囲気は相変わらず冷え冷えしている。
「……なんで本なんか読んでんのよ?」愛梨が小さく不機嫌そうに、しかし興味がないフリをして言う。
「別に、理由なんかねえよ。」黎は目を本から一瞬も離さず、淡々と答えた。
愛梨はふっとため息をつき、目を細める。「ふーん、暇つぶし?ほんとにあんたって、無駄な時間ばっかり過ごしてそう。」
「は?」黎はほんの少し顔を上げ、面倒そうに愛梨をちらっと見る。「お前には関係ないだろ。」
「別に。知りたいわけでもないし。」愛梨はわざとらしく髪をかき上げ、横を向いた。二人の冷たい空気はそのまま張り詰めている。けど、どこか妙に息が合っている気もして、俺は思わず見入ってしまった。
「つーか、なんで俺に絡むんだよ?」黎は、愛梨の態度に少しイライラしたように言い返す。
「ただの気まぐれよ。深い意味なんてないの。」愛梨は無表情で言い放ち、歩き出す。ちらりとこちらを見て、「何ニヤついてんの?」と冷たい目で俺を一瞥。
「はは、いや、二人って意外と仲いいんじゃないかって思ってさ。」俺が軽く冗談を飛ばすと、愛梨はしばし俺を睨んでから、鼻で笑うように「…は?ありえない」と一蹴。
「俺も勘弁だ。」黎も無感情に言い放ち、また本に目を戻す。
冷たくて無愛想な二人。でも、なんだかんだ言って俺の周りにいてくれる。なんか、そんな二人も悪くないなと思いながら、俺もその場を後にした。