TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する


「どうでもいいが、三人同じ部屋なのか」


倫太郎がかなり広いが仕切りのない室内を見回した。


まだ駄菓子屋に飛ぶまで時間があるので、少し横になろうという話になったのだが、誰が何処に寝るのか悩む。


宿の人はなにも考えずに、三枚並べて敷いてくれていたのだが――。


「入口とかトイレとかがあるとこ、広い廊下がありますよね」


壱花がそちらに続く襖を見ながら言うと、倫太郎が、

「……俺たちにそっちで寝ろというのか。

板張りだぞ」

と言ってくる。


「いや、私が寝ますよと言ってるんですよ」


男二人に女一人だ。

人数が多い方が広い部屋に寝るべきだ、と壱花は思う。


「そもそも、いくら広い廊下とはいえ、布団を横に二枚は敷けないので、縦一列、縦列駐車みたいになって寝るの変じゃないですか」


っていうか、夜中にトイレに行くとき、踏みそうです、と壱花は訴える。


「一応、女なんだから、お前、こっちで寝ろ。

枕返されるかもしれないが」


そう倫太郎は言うが、

「あの、別に最終的には、私、社長のところで寝てるので、どっちでもいいです」

と壱花は言った。


あっ、そうだ。

そんなことより、浴衣で駄菓子屋に飛んだら、祭りかと思われるな、着替えなくちゃ、と壱花は思う。


あと、草餅、草餅っ、と壱花は草餅を荷物のところに取りに行った。


「ま、横になるだけだから、このままでいいか。

壱花、一応、少し布団離せ」

と言いながら、倫太郎が、襖側に布団を引っ張っていってくれる。


それぞれ布団に横になり、明日の資料を読み込んだり、手帳を書いたりしていた。


閉めている障子の向こうから、時折、風にあおられて揺れる竹の音が聞こえてきたりして、なかなか風流だ。


この間の嵐山を思い出すな、と思って顔を上げたとき、それが視界に入った。


床の間の隅に、古い木の箱がある。


「なんでしょう、この箱。

昔の銭箱みたいな」


銭箱は木製の金庫のようなものだ。


「銭でも入ってるんじゃないのか?

投げてみろ、壱花」


「箱をですか?」

「……銭に決まってるだろ」


そういえば、昔、そんな小説やドラマがあったらしいですね。


いろんなものにあのキャラクター登場してくるので、実在の人物だと思っていましたよ……。


そんなしょうもない話を倫太郎としている間、冨樫は寝て天井を見てみたり、起き上がって枕を見てみたり、ゴソゴソしている。


「なにしてるんだ? 冨樫」

と倫太郎が訊いた。


「いえ、枕返しはいつ現れるのかなと思って」


「……寝ないと無理じゃないのか?

知らない間に、枕返されるんだろう? 枕返しって。


見たいのか?」


「いえ。

ああでも、せっかく泊まったんですしね」

と冨樫は言う。



あやかし駄菓子屋商店街 化け化け壱花 ~ただいま社長と残業中です~

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

9

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚