寮生
「ジャミル様こそスカラ
ビアの王にふさわしい」
「「ジャミル様、万歳!」」
ジャミル
「ははは、そうだろう。もっと
言え。俺を褒めたたえるがいい」
アズール
「あなた様は、とてもハンサムで」
ジャミル
「ほう?」
グリム
「色黒で、背が高くて」
ジャミル
「それで?」
ジェイド
「目が吊り上がっていて
とても賢そうです」
ジャミル
「それから?」
フロイド
「肩がイカってて」
カリム
「見るからに強そうなかんじだな!」
ユウ
「うっうとり、です///」
ジャミル
「ふん、なかなかの褒め言葉じゃないか
って、お前達は!?時空の果てまで
吹き飛ばしたはずだ。この短時間で
どうやってここまで戻って来た?」
カリム
「かわいた川に水を満たして
泳いで帰って来た!」
フロイド
「思ったより遠くて、かなり疲れた〜
なのにシャチちゃん息切れしてない」
ジャミル
「なんだと!?チッ、そうか。カリムの
ユニーク魔法で!フン、お前の魔法にも
使い道があってよかったじゃないか
植木の水やりか、お遊戯くらいにしか
役に立たないくだらない魔法だと
思っていたのに」
アズール
「ふっ、カリムさんの力を
侮っていたようですね」
カリム
「ジャミル。お前が俺をどう思ってたか
よくわかった。間違いなく、お前は
卑怯な裏切り者だ!」
ジャミル
「馬鹿め。疑いもせず信じる方が
悪いんだろ?」
カリム
「正々堂々、俺と勝負しろ。そして
俺から奪った寮長の座…返してもらうぜ」
ジャミル
「奪っただと?ハッ どこ口が!!
俺からなにもかも奪ったのは、お前の
ほうだ!思いしるがいい。この俺の
本当の力を!!アッハッハッハ!」
〜〜〜
苦戦しているな。僕は早く元の世界に
帰る方法を探したい。早く終わらせよう
鞘から日輪刀を抜き、1番後ろから跳び
前に出た
ジャミル
「これで1番にッ」
『シィィーー 蛇の呼吸
壱ノ型 委蛇斬り』
ジャミル
「自由になれたと思ったのに…」
後ろの化身を、切った
カリム子供
「ジャミル〜!遊ぼうぜ!今日こそは
ボードゲームでお前に勝ってやる
からな」
ジャミル子供
「またかよ、カリム。何回やっても
俺の勝ちに決まってる。俺、別の
遊びがしたいんだけど」
ジャミル母
「こら!ジャミル!カリム様に
なんて口の聞き方をするの!」
ジャミル子供
「いてっ!」
ジャミル父
「カリム様、いつもうちのバカ息子と
遊んでくださり、ありがとうござい
ます」
ジャミル母
「使用人にも分け隔てなく接して
くださる優しさ…ご主人様のご教育の
たまものですわ」
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ジャミル
「物心ついて最初の記憶は、カリムや
カリムの両親にペコペコ頭を下げる
両親の姿。俺は、その姿を見るのが
大嫌いだった」
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私が物心ついて最初の記憶は、猫撫で
声で気色が悪いほど親切で、毎日毎日
食べ物を持ってくる母や姉妹や叔母と
名乗る女の人達の姿。私はそれが怖くて
気持ち悪くて嫌いだった
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ジャミル父
「いいか、ジャミル。勝負はいつでも
2回勝って3回負けなさい
決してカリム様を勝ち越すんじゃない」
ジャミル母
「お前が賢い子だってことはよく
分かってる。お母さん達の立場
理解してくれるわね?」
ジャミル子供
「…わかったよ」
こういう親は、どこにでもいるんだな
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ジャミル
「カリムの親は、俺の親よりずっと偉い
だから、カリムも俺より偉い。だから、
勉強も運動も遊びも、絶対にカリムを
追い抜いてはいけない
俺は、カリムに合わせてなんでも、
出来ないフリをして」
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カリム子供
「ジャミル!見ろよ。俺、祭り
ダンス大会で一等をとったんだ!」
〜〜〜
カリム子供
「あっはっは!やった〜。今回の
マンカラ5本勝負は3勝2負で
俺の勝ち!」
〜〜〜
ナイトレイブンカレッジ
カリム
「ジャミルが勉強に付き合ってくれた
魔法史のテスト、俺75点とれたぜ!
え?ジャミルは70点?そっかー
元気だせよ」
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ジャミル
「お前が俺に勝ってるんじゃない
俺がお前に勝ちを譲ってやってるんだ
脳天気な顔しやがって。気付け
鈍感野郎!」
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カリム
「俺がスカラビア寮長に?なんかよく
わかんねーけど、どーんと任せとけ!
な、ジャミル!」
〜〜〜
[学園長室]
ジャミル
「学園長。何故カリムを寮長に?
魔法の実力もない。なによりまだ
二年生です。俺達はあいつの
ミスのフォローで手一杯な状態です」
クロウリー
「ナイトレイブンカレッジにおいて、
2年生で寮長になることはなんら
不思議ではありませんよ」
ジャミル
「しかし…」
クロウリー
「バイパーくん。教育を充実させるには
なにかとかかるんです。アジームくんの
ご実家からは、多大なるご支援を
いただいてましてねぇ
私も承認せざる得ない立場なんですよ
賢い君なら、それがどういうことか
分かってくれますよね?」
ああ、汚い。「承認せざる得ない」
お金を出すかわりに寮長にしろとでも
言われたのか。嫌になる
唯一我が敬愛を捧げた主であるお館様とは
比べるまでもない
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ジャミル
「大人はみな同じセリフを言う
君なら分かってくれるだろうって?」
僕もだ。みなが同じセリフを言う
麗なら伊黒なら分かる、できるだろうと
ジャミル
「なら、誰が俺をわかってくれる?」
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カリム
「これからも助け合ってやって
いこうな、ジャミル!」
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隊員
「頼りになるよね〜!蛇柱様は」
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ジャミル
「やめろ」
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やめろ
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カリム
「ジャミルだけは、
絶対に裏切ったりしない」
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隊員
「蛇柱様は絶対予想を裏切らないよな!」
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ジャミル
「もう、やめてくれ!!」
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もう、やめて!!
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ジャミル
「カリム、お前がいるだけで、俺は…
俺は、ずっとお前に譲って生きて
いかなくちゃならない!俺は、
俺だって、1番になりたいのに」
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無惨が、鬼がいるだけで、僕は、僕は
ずっと、蛇柱でしかいられない!僕は、
私は、
ジジジジジジジジジ
ノイズがはしる
“俺”だって、ジジジ ジジ
蛇柱以外の価値が欲しいのに
もうすぐで、完璧に壊れてしまう
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