「tt、、どうしてるかな、、、」
シェアハウスの一室、yaとurは暗い表情で話していた。
「うん…体調崩したって聞いてから、音沙汰ないもんな…」
1カ月前、jpはメンバーを集め報告した。
「tt体調不良だって、しばらく休むみたい」
「俺が連絡とるから。俺に任せてみんなは活動に集中してね」
それだけ告げて、作業に戻ってしまった。
「yaくんにも連絡ないんだろ?」
「LINEも既読つかないし、電話もつながんない。そもそも電源いれてないと思う」
yaは誰よりも違和感を感じていた。
jpからの報告があった前日、 yaとttは二人でゲームを楽しんでいた。
「ぅあ〜‼︎負けたぁ‼︎」
「へっへ〜俺に勝とうなんて37年早いわ‼︎」
「微妙だな、、」
( ♪ )
「おっ、jpからや、、今からうちに来れるか、やって」
「編集かな」
「なんやろな。jpんちってのは珍しいけどな」
「俺も行く」
「ええよ。最近jp思い詰めた顔する事あったし。大丈夫かって聞いても大丈夫って言うだけやったけど、なんか話してくれるのかもしれん」
「帰ったらjpも入れて続きしよーぜ」
「おぅ、早く戻れよな」
「ぉう!」
笑顔で出て行ったttはそのまま姿を見せなくなった。
そのあとから、jpもシェアハウスにほとんど顔を出さなくなり、来たとしても一人黙って仕事をし、いつの間にか帰っていた。
「俺、jpが何か知ってると思う、、」
yaの呟きに、urも思い当たる事があった。
「…俺、この前jpさんの部屋訪ねた時があって。たまたまjpさん席を外してたんだよ。モニターで何か見てたみたいなんだよね、ライブカメラみたいな、、」
「jpさんの家っぽかったんだけど、誰かがいて、、よく見ようとモニターに近づいたとき、jpさんが後ろに立ってたんだ」
「…ur?」
「!!、、、jpさん、、‼︎」
「どうした?何か相談?」ニコッ
「ぁ、ぃや、、動画のチェックを、、」
「いいよ、いこっか」
「俺の肩を握ったjpさんの手は強くて、痛いくらいでなんだか怖かった…」
「…モニターに映ってたのって、、、」
「…金髪だった」
「……」
「jpの家に、ttがいる…?」
翌日。
jpは会議のため、昼から事務所に出かけて行った。
「夕方まであるから俺はそのまま家に帰るよ。残りの作業よろしく」
「…うん。」
「なあ、jp。ttどこにいるかわかる?心配だしお見舞いとか行きたいんだけど」
「…大阪だよ。実家で休んでる。お前は活動に集中して。じゃ、もう行くから」
明らかに以前とは様子の違うjpへの違和感。
兄弟みたい、と言われ実際に可愛がってくれたjpはもういない。
ttがいなくなってからだ。
jpにとってttがかけがえのない人だというのは誰が見てもわかるから、こうなってしまうのも当然だろう。
でも、俺たちに何かを隠している。
長く一緒にいる俺だからわかる。
このタイミングに、yaとurはjpの家に行ってみることにした。
到着した一軒家を、urはまじまじと見た。
「着いたけど、、なんだこれ」
「二重に鍵が付いてる。よく見たら窓もだ。」
「…鍵、開けれそう?」
jpの家の玄関は通常のシリンダータイプに加えてパスコード式にもなっているようだ。
yaはノートパソコンを開き、カタカタとキーを叩き始めた。
「ちょっと待って、やってみる。urは外鍵を外して」
「おぅ」
うりは工具を取り出した。
…
「「開いた」」
2人同時に声を出すと、重く冷たいドアは軋んだ音を立てて開いた。
顔を見合わせる2人。
ここはシェアハウスと事務所の中間地点にある。
「…俺、一応外見張っとくわ。ur行ける?」
「ぉ、おう」
空はどんよりと曇り、雷も聞こえる。
何度か訪れたことのあるjpの家は薄暗く、いつもと違うどこかひんやりとした空気が漂っていた。
「…おじゃましまーす、、、」
シンとした気配の中に、自分の足音だけが響く。
「……(こわいこわいこわい)」
ゆっくりと歩を進め、一部屋一部屋を見て回る。
大きな一軒家を買い上げたjpは、以前は良くここにメンバーを招待し、夜通し遊び、語り合っていた。
その時と比べるとだいぶ物が減っている気がする。
キッチンのシンクには二人分の食器がそのまま置かれている。
一人分だけは手付かずのようでラップがかけられていた。
2階の一番奥、寝室(だったと思う)にたどり着いた。
「…失礼しまーす…」ギィッ
カタン
「……u、r……?」
「!!、、ttさん!!」
部屋の隅には、シーツを頭から被り物陰に隠れるttがいた。
慌てて駆け寄るurが肩に手を置けば、ttは堰が外れたようにボロボロと泣き出した。
「、、、ttさん!大丈夫!?」
「、、、ッ、ur、urやぁ、ur、urぃぃ、、、」
存在を確かめるように何度も名を呼ぶtt。
その体は、以前より痩せ細り小さくなったように見えた。
「jpさんから体調の事聞いたよ…そっか…jpさんちで休んでたんだね、、、」
「……ちゃぅ、、俺、閉じ込められてて、、」
「?!」
「もう何日もここにいて、jpに、jpに、、、ッ」
手で顔を覆い泣きじゃくるtt。
被っていたシーツが剥がれ落ちる。
あらわになった肩や太ももにはたくさんの愛撫の跡が付き、手脚には紐状の内出血痕が痛々しい程残っていた。
何よりもその細首につけられた首輪は、ttがjpに監禁され、支配されている事実をダイレクトに伝えてくる。
「、、、ッ、ttさん、、、!」ギュゥッ
「もう大丈夫、、!外にyaくんもいる、、!一緒に出よう!」
大粒の雨が屋根を叩き出した。
外の雷もどんどん近く、大きくなっていた。
「…yaくんも…?」
ttは弱々しく顔を上げたかと思うと、表情が凍りついた。
「…ttさん?」
「何してんの?ur」
ゴッ!!
「、、ッ!!」ドサッ
「…!!、urッ!!urぃッッッ!!」
「…tt、もう大丈夫だよ」
グィッ
ドサァッ!
床に乱暴に叩きつけられたのは、yaだった。
「ぐぁッ!」
「!!yaくん!」
カヒュ 、カヒュ
「、、、t、、t、、大丈夫か、、?」
「urッ!yaくんッ!、、‼︎」
「jp、、ッ‼︎なにしとんねん、、ッ!!」
「…悪いやつが入ってきたんだね。セキュリティ通知が来たから、めっちゃ急いで帰ってきたんだよ、、。ごめんね怖かったねtt、、。もう大丈夫だよ、、」
「、、、!」ボロボロ
「、、、tt、逃げろ、、、」ヒュ、ヒュ
「yaくん、、!」
「うるさいなぁ」
ドカッ
「ぐぁ‼︎、、、jp…てめェ…!」ヒュッヒュッ
jpはyaを一瞥すると、うつ伏せのまま動かないurに視線をうつした。
ジワリ、と真っ赤な鮮血が頭から流れ出していた。
その胸に足を乗せ、体重をかける。
「従順なやつだからほっといたけど、urお前さぁ、、モニター覗き見して、yaたぶらかして家に忍び込んで、tt怖がらせてほんと何してんの?」
「しかもttに触ってたよね?」
「なんなの?まじで意味わかんねーんだけど」
「もういいお前死ねよ」
ギシギシギシィッボキッ
「ぅあ、、、ッ、ぁ、、、」
urの体から鈍い音が聞こえた。
jpは躊躇うことなく、冷たい目でその胸を潰している。
ttは青ざめた顔でjpの脚に縋りついた。
「jp!!jp!!やめて!!死んでまう!!」
「、、ッ俺が悪いねん!俺が、俺が、、、!!」
「…そうなの?」
「、、、せゃ、、、俺が悪い、、んや、、」
「…tt、、ゲホッ、、ゃめろ、、」ヒュ、ヒュ
「…yaくんもurも、関係ない。俺が一瞬でも逃げられるって思ったから、、」
「だからお仕置きを受けるのは俺、やろ?…お願いやjp、、俺だけを見て、、俺をお前だけのものにして、、」
jpはurからゆっくりと脚をあげた。
ttの首に手を伸ばし、鎖を手に取るとその感触を確かめるように手の中で動かした。
「…ふーん♡」
「ttは悪い子だね♡まだ逃げようって思ってたんだ♡」
「お仕置きしてあげる♡そして俺だけのttになろうね♡」
雷が鳴り響く。
稲光に照らされた部屋に、横たわるur。
動けないyaはくちびるを噛み締めていた。
ttの慟哭は雷鳴にかき消されていった。