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都合主義なんて嫌いだ。
その日起こった異変は、
俺の人生で最も、
「都合のいい」ものだった。
注意
とっても閲覧注意です。
完全ご都合主義、
設定もがばがばです。
🍆さん主人公。
心の傷を負ったとき、
肉体にも傷を負う世界です。
ちゃんと読まないと
意味がわからないと思います。
結構長いです。
それでもよろしければどうぞ。
夢であってくれ、
夢ならば冷めてくれ、と
何回も願った。
それでもこの異変は、
困ったことに現実のようだった。
世界にあの異変が起きても、
俺はあまり変わらなかった。
俺の体にはまだ傷がないし、
誰かに傷をつけたこともない。
気に入らないけれど、
俺は異変に、なんとなく
順応していた方だと思う。
自分は他の人よりも、
誰かを傷つけないで
話すことが得意だったようだから。
へらへらと笑って話す自分は
馬鹿みたいに受け入れられる。
道化でいれば誰も傷つかない。
今まで通り幸せでいられる。
そう、思っていた。
心の傷が肉体に現れるようになって
少し経ったある日、
事件が起きる。
愛すべき三人の後輩が
コメントでの攻撃で傷つき、
亡き人となってしまったのだ。
知らせを聞いた翌朝、
社長に呼ばれて対面すると、
病室に一人、彼は佇んでいた。
彼は重体だったらしい。
彼は一足先に知らせを聞いて、
オフィスで倒れたようだった。
社長は、俺の姿を見て眼を見開き
そのまま力なく微笑んだ。
「ぼんさんは強いですね。」
彼は吐き捨てるようにそう言う。
当たり前だろう。
自分と同じように
傷ついていると思っていた相棒が
一切傷を負っていなかったのだから。
そう、自分が知らせを聞いた時、
傷は一つもつかなかった。
後輩がみんないなくなったんだ。
こんなにも胸がくるしいのに
張り裂けそうなほどに痛いのに
俺の身体から、
血は流れ出てこなかった。
あぁ。
薄情者でごめんなさい。
彼は俺の姿を見て、
酷く軽蔑したような眼差しを向ける
言葉が頭を回っても、
口から何も出やしなかった。
普段煩いこの口は、
固く閉ざされていた。
そして、そのまま彼は目を閉じる。
生きることをあきらめたのだろう。
ナースコール。
看護師が彼の服を脱がすと、
彼の身体にはぽっかりと、
大きな穴が開いていた。
”自分が殺した”
間違いない。
彼はもう、あきらめたのだ。
あぁ、こいつは終わってる
あぁ、どうしてこんな奴と
仲間だったのだろう、
どうしてこんな奴を、
相棒に選んでしまったのだろう、
と。
傷はないはずなのに、
心だけが痛むの。
俺はまるで怪物だ。
どうして心が痛いのか、
どうして虚しいのか。
傷などありゃしないのに。
俺は怪物のはずなのに。
どうして俺は、
泣いているんだろう___
目が覚めた。
知らない人に囲まれている。
白い天井を背景に皆、
白衣を着ている。
あれ、俺は倒れたのか?
医者の一人が話しかけてくる。
「お身体は痛みませんか?」
「貴方、倒れたんです」
そうか、そうなのか?
俺にもやっと、傷が_____
「傷が無くて良かった。」
「今日にでも帰れますよ」
あぁ、結局こうなのか。
ただ、倒れただけ。
傷はなかったと。
俺はやはり、死ぬべきだ。
すぐに退院の準備を済ませ、
病院の屋上へ。
風が強く吹いている。
死のう。
俺にはもう、
なにもないから。
ここから、
飛び降りてしまおう。
あぁ、車の走る音だけが聞こえる。
誰かに、
呼び止められた気がした。
都合のいいこと。
幻聴まで聞こえるなんて。
おんりー、
おらふくんにめん、
そしてドズルさん。
焦ったような声が聞こえる。
待って、辞めて、なんで。
そんな声が、はっきりと。
都合主義なんて嫌いだ。
都合のいいこの世界で、
俺が一番、都合がいい。
幻滅するね。
俺が傷つけたはずの、
彼らの幻覚まで見るなんて。
本当に、腹立たしい。
さようなら。
最後に見えたのが、
泣き崩れる彼らの姿だなんて。
なんて、都合のいい走馬灯。
END.