テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
純喜の温かい腕の中で、瑠姫は別れを決意した。
タイムスリップした時と同じように、ペンダントが光を放ち始める。
別れの時が来たのだ。瑠姫は最後に純喜の顔を見つめ、涙を拭い、微笑んだ。
「ありがとう、純喜。俺、お前と出会えて、本当に幸せだった」
純喜は、何も言わずに瑠姫を抱きしめる力を強めた。光が二人を包み込み、瑠姫の意識は遠のいていった。
次に瑠姫が目を開けた時、彼は見慣れた舞台裏の廊下に立っていた。
手には、あのアンティーク調のペンダントが握られている。
スマホを確認すると、日付は元の2025年に戻っていた。すべては、夢だったのだろうか。
しかし、ペンダントの冷たい感触が、それが現実だったことを物語っていた。
瑠姫の心は、過去の純喜との思い出で満たされていた。そして、彼の頬には、たしかに温かい涙が流れていた。
数日後、JO1のメンバー全員でバラエティ番組の収録があった。
瑠姫は、目の前にいる純喜を見て、胸が締め付けられる。
未来の純喜は、過去の出来事を何も覚えていない。その事実が、瑠姫を苦しめた。
収録が終わり、楽屋に戻ろうとすると、純喜が瑠姫に声をかけた。
「なぁ、瑠姫。俺たち、昔どっかで会ったことあるっけ?」
瑠姫は、純喜の言葉に息をのんだ。
「…なんでそう思うの?」
「わかんないんやけどさ、瑠姫といると、初めて会った気がしいひんのよな。なんか、すごく懐かしい気持ちになるねん」
その言葉に、瑠姫の瞳から涙が溢れ出した。純喜は、驚いて瑠姫の顔を覗き込む。
「え、ど、どうしたん、瑠姫!? なんで泣いてるん!?」
「…なんでもないよ」
瑠姫は、純喜に抱きつき、その胸に顔をうずめた。
過去の純喜との約束が、今、この場所で、確かに果たされたのだ。
二人は、記憶がなくても、運命的な愛で結ばれていた。
瑠姫は、もう一度、純喜に恋をしようと決意する。
過去の純喜との思い出を胸に、新しい二人の物語を、ここから始めようと。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!