夜のコンビニ裏の雑草と青年
深夜のコンビニ。
夜勤のリョウは、店の裏手にある狭い隙間に生えた雑草を毎晩見ていた。
アスファルトの割れ目から顔を出し、誰にも気づかれずにしぶとく育つその雑草は、
彼にとってささやかな希望の象徴だった。
「お前、こんなところでよく生きてるな」
話しかけると、風が吹いて草が揺れた。
ただの風だとわかっているけれど、彼はそう感じたかった。
リョウは仕事に疲れ、孤独を抱えていた。
昼間はうまく笑えず、周囲に溶け込めない自分が嫌だった。
そんな時、雑草だけが静かに受け止めてくれる気がした。
ある晩、リョウは思わず声を荒げた。
「もう、無理なんだよ!」
その瞬間、雑草は風に煽られながらも根をしっかり張り、揺れなかった。
リョウはその強さに涙が出た。
「お前は何でそんなに強いんだ」
雑草は答えない。
でもリョウには、雑草がこう言った気がした。
**「無理だと思った時こそ、根を深く伸ばす時だ」**
それからリョウは、少しずつ自分を許すことを覚えた。
弱さも含めて、今の自分を受け入れた。
夜空には星が瞬き、雑草は静かに息づいていた。
リョウもまた、小さな光を見つけ始めていた。