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6.ひまわりと魔法少女

「世坂さん?」

私は公園の奥にある見覚えのあるスクバまで走り、何も言わずに木の影でしゃがみ静かに泣いている世坂さんの背中を優しくさする。何も言わないのは、私の方からなにか気に障るような事を言ってしまったら相手は酷く悲しむからだ。

世坂さんは顔から手を離し、私の顔を見た。

「…笑夢…ちゃんに…バレない…ように……して…たのに……な…」

世坂さんの口を無理やり引き上げてる感じがした。

「こんなの…先輩……らしく……ないよ…ね…」

私の手は勝手に動き、世坂さんの涙などでびしょびしょの手を強く握る。

そして勝手に口が開く。

「らしくとかそんなの無理に気にしなくてもいいんだよ、世坂さんは世坂さんなんだから。 」

「…!?」

そう言うと世坂さんは驚き、また目から涙がこぼれ落ちると手を離し、目を手で拭き始めた。

「…実は……告白……失敗… しちゃって……」

うわぁんと泣きながら世坂さんは説明した。

「それは、辛かったね……」

私は自然と悲しい顔が出た。告白とかした事もされた事もなかったけれど、きっと辛かっただろう。

今度は私の体が急に動く。

「私が、そばにいるからね。」

世坂さんの体を優しく抱いてまた背中をさする。

世坂さんは手を私の背中にまわし、私の肩で思いっきり泣いた。

ちゃんと暗くなるまでずっとそこで、お互い手を離さずに抱いていた。


「笑夢ちゃんのおかげで立ち直れたよ、ありがとう。」

私の家の玄関先までおくってくれた世坂さんは微笑みながらそう言う。

「いつでも愚痴とか悩み事とか聞くから」

「ふふ、笑夢ちゃんは励ますのが上手なんだね、すごく、暖かかった。」

世坂さんは私に近づき、私みたいに手を握る。

「私も、笑夢ちゃんが困ってたらいつでもなんでも聞くよ。」

「ほんと…!?ありがとう!」

あの少しの時間でより仲が深まった気がした。

「明日から一緒に登下校しない?よかったら。」

ココロとよく帰っているから少し悩んだが、たまには違う人と登下校するのもいいかも。

「いいよ!私、世坂さんと一緒に登下校してみたかったんだよね〜だから嬉しいな。」

「わ〜!私も嬉しいよ〜」

私の手を両手でにぎにぎと握る。

「あと、私の事は名前呼びにしてほしい…!」

世坂さんの名前呼びか…楓ちゃん?

「楓ちゃん!私、仕事あるからまた明日ね!」

楓ちゃんは私の手からするりと手を下ろし、1回間をあけてから、「また明日ね」と言って家へ戻った。


_________________

マジックモーンド


「…これ…美味しいよ……!」

「うぅっ…辛すぎなのだぁぁぁぁ!! 」

あれは、あずさちゃんとチルルちゃんと…

「ふふ…あ、笑夢さん、こんばんは。今日会った橘です。」

「翠華ちゃんか!それ、翠華ちゃんが作ったの?」

あずさちゃんとチルルちゃんの食べている小さなアイスを指さす。

「はい!私、お菓子作り好きで。このアイス、ロシアンルーレットみたくしたんですよ〜!当たりはチルルさんが引いちゃったので、他は辛くないですよ!」

「それじゃあ、1つだけ頂こうかな〜!」

私に翠華ちゃんが小さなアイスをもらう。5口ぐらいでいけそうだ。それを私はスプーンですくって口に入れる。

「お…おいしいぃ…!」

食レポはあまり得意ではないが、いちごみるくの味がして美味しい。

「ふふ、笑夢さん、この後私と病院行って、重い病気の人をどう治すか教えます。 」

翠華ちゃんはアイスのゴミやスプーンを片付けながら言う。

「あんまり難しくないですよ、この珠莉さんが作った薬を黒いオーラにまけばいけるので。」

「へぇ…珠莉さんって結構色んな事できるんだね…」

「珠莉さんはすごいんですよ、日本で2番目に魔法少女になったのでね。最初の魔法少女は……」

珠莉さん以外にすごい魔法少女っているんだ。

「…やっぱ忘れました。あ、そろそろ行かないとリルたんに怒られてしまいます。行きましょ」

最初の魔法少女がどうしたんだろう。でも、今は目の前のことに集中しないと

「うん!そうだね!」

「よーし、ここから降りる時は、はぐれないように手を繋いで行きましょうか。」

翠華ちゃんは手を差し出すので、私はその手を取る。

「いきますよ〜えいっ!」

一緒に飛び、昨日見た穴に飛び込んで、学校の近くにある市立病院へ行った。


_________________

「今日は6人。少し多いけど、30分ぐらいで終わりますよ。」

1人に薬をまくだけでいけるんだ。

「前までは、オーラを武器で粉々にしてたのですが、成績優秀な珠莉さんが、徹夜してまで作ってくれたのです…!すごいですよね……! 」

翠華ちゃんは目をキラキラさせながら話してくれた。この仕事は病院が消灯時間にならないとできない仕事らしい。やっぱり本人にバレないようにするためだからとかで。

「この人、オーラ真っ黒…まあ、黒も綺麗だけど、私は魔法少女の髪色みたいな可愛い色が好きです!」

そう言って、翠華ちゃんは目の前の苦しそうな患者さんのオーラに薬をぶっかけた。

「さあ、笑夢さんも、えーいって!」

「うん!えーい!」

薬をばしゃっとかけた。

「笑夢さんいいですね!オーラが明るくなったら終わりです!次は隣の人です!」

翠華ちゃんに手を引かれ隣の病室へ行き、薬をばしゃばしゃかけ回った。

「ふぅ〜これで終わりです!早くマジカルモーンドへ帰って、一緒に私の手作りお菓子食べましょ!」

「うん!」

私と翠華ちゃんはマジカルモーンドへ帰り、お菓子を食べながら、楽しくお話をした。


つづく


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