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次の瞬間——
凛が動いた。
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「どっちも欲しいな」
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一気に距離を詰める。
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「……っ!!」
僕は後ろに跳ぶ。
でも——
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速すぎる。
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(間に合わない——)
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そのとき。
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ドンッ!!!
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蒼真が割って入った。
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「触るな」
低い声。
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凛の攻撃を、片手で受け止めていた。
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「……おっと」
凛が少し驚いた顔をする。
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「兄弟喧嘩すると思ったんだけどな」
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「黙れ」
蒼真は冷たく言い放つ。
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そして——
僕を見る。
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「……一つだけだ」
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「?」
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「そいつを、泣かせるな」
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「……」
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「それができないなら——」
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空気が一気に殺気に染まる。
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「今すぐ奪う」
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僕は一瞬だけ黙って、
それから——
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「できるよ」
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はっきり言った。
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赤ちゃんオオカミが、僕にしがみつく。
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「……ここ、いい……」
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その一言で、
場の均衡が完全に崩れた。
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凛が笑う。
蒼真が黙る。
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そして僕は——
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(絶対、渡さない)
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そう決めた。