Ⅳ 色彩
knside
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人々が行き交う中、
無邪気に笑みを咲かせる彼の周りだけ
なんだかぱっと明るくて
そんな気がして
2人で選んだお守りも
何時しか宝物になっていた
空色は創造、
紺色は調和。
それぞれの価値の、
生きる意味の創造と調和。
なんてことを言っていた君は、
あっちでもまだ、元気かな、なんて
引っ込み思案で、
比較的落ち着いた性格だった
周りに合わせることばかり考えていた
気づけば彼と共に過ごした日々が
鮮やかに脳裏を占領していた
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kn「………、」
きっと俺の親も、
痣だらけで傷だらけな俺の顔には
間違いなく失望しただろう。
愛する子供が
人に優しくできる我が子が
殴って、蹴って、痛めつけて
感情を殺して帰ってくる
それなのに毎日ご飯を用意してくれていた
悟って敢えて何も言わなかった
口を聞かないでくれていた
母は、
あの頃の俺よりずっとずっと
優しさで満ち溢れていたんだと思う。
kn「……ただいま。、母さん。」
そう言葉を発した。
kn母「…………おかえり」
実に数年ぶりの会話だった
いつもより早く帰ってきた俺に、
少し目を見開きながらも返してくれた
あたたかい言葉。
kn「俺…辞めたんだ。
向いてなかった、無理だった。
…これからは真面目に生きるよ」
kn母「……..そっか、」
「…もう大丈夫なの、?」
kn「うん、もう十分。
…なんだか疲れちゃって。」
「今更だけど、nkも悲しむかなって」
kn母「、そうね、」
白黒だった感情が、
まるで色彩のない世界が
色を取り戻していく
そんな感覚があった
ただこれからが面倒だ。
また誰かに
暴力を振るってしまうかもしれない
振られるかもしれない
そんな恐怖も今だけは、
忘れさせて欲しいと願った。
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『________!!』
『______!?ww』
2022年7月9日。
教室に充満する談笑が
あまりにも耳障りで、
俺にとっての居場所は
ないに等しかった。
『バカ』
『クズ』
『最低』
『○ね』
そんな穢らわしい言葉で
埋め尽くされた机。
もはや何とも思えなかった。
先生も見て見ぬふり、
友達もいない俺に
救われたいなんて願いは
到底似合わなかった。
俺は昔から引っ込み思案で、
周りに合わせることばかり考えていた
明らかに弱そうだった
利用されて、
騙されて、
罵られて、
そんな日々を送っていた
だけど親には心配をかけるまいと
黙って、何も言えなくて。
段々エスカレートしていった悪戯は
彼に出会った後も消えなかった
むしろ悪化した
ある日
『こんな奴と仲良くしてた
nkも相当だよなw』
『あんな八方美人、誰が見てもきめえよ』
『絶対裏あるだろ、うわ最低w』
『女遊びひどかったって
聞いたことあるけどw』
『なのにずっと一緒だよなww?』
『秘密でも握られてんじゃないの?w』
『クズ同士で一生惨めに暮らしとけよ』
『そうだ!!』
『お前もついでにしんじまえよ~!!!!』
別に俺はどうでもよかった
だけど彼が貶されるのがたまらなかった
あんなに努力して、
認めてもらえなくて
自分を見失って
転校した、先では陰口
中学生になっても変わらなかった
高校生でも変わらなかっただろう
何一つ
俺らはもうお互いのことしか、
信じられないのに。
なんでいなくなっちゃうかなぁ
なんであいつを巻き込むのかなぁ
そもそも俺らに罪なんてあんのかよ
全部でたらめだろ?
…黙れよ……ッ
だまれよッ……っ!!
kn「うるっっせえよッッッ!!!!」
気づけば拳が飛んでいた。
いつもクラスの中心にいた、
醜かった彼は倒れていた。
何が起こったのか
さっぱり分からなかった。
『うーわ○○殴った!!』
『サイテーw』
クスクスと笑う彼女たちにも、
1発喰らわせてやろうかと手を振りあげた。
『キャーーーーーーッ!!』
耳がキーンとする。
先生がやってくる。
駆ける足音。
なんで、
なんでッ……、
こんな時だけ、
あいつらの味方をするの?
酷いよ
おかしいじゃん
もう…いいや、
コメント
4件
ちょー好きやこの会
!? 世の中理不尽ですよね…knさんがそうなるのも無理ない…鳥肌…