『痛みを負った心には愛の癒しを』〜愛情は特効薬〜
第9錠 痛みには甘い言葉を
翌朝。
『主様〜。起きてください。』
(ん…?誰…?)
ぴょこっ。
『主様!おはようございます!』
眠い目をこすりながら私は起き上がる。そこには紫と黒の髪色をした執事がいた。
『…貴方は?』
『はじめまして!僕の名前はラムリ・ベネット!主様の執事です!僕、ずっと会いたかったんです!』
『ラムリ…。』
『はい!沢山呼んでくださいね!』
(ふふ、なんだか星のように綺麗な子だな…。)
コンコン。
『主様、ルカスです。入ってもよろしいですか?』
『うん。』
ガチャ。
『おはようございます。おや、ラムリ君。先に来てたんだね。』
『ルカス様!おはようございます!』
『ふふ、おはよう。今日も元気だね。
主様、体調はいかがですか?』
『うん、良くなったよ。お風呂も昨日入ったし、気持ちも楽になった気がするし。』
『ふふ、それは良かったです。包帯を変えますね。』
『ありがとう。』
『……。』
(痛々しい傷…。こんな素敵な主様に許せない……。主様と僕は…似たものを感じる。そう、僕の抱えてるこの……。)
『はい、出来ました。これ…痕が残ってしまいますね。他は時間が経てば完治しますが…傷が、その、深いので……。』
『……いいの。これは私の生きてる証なの。気にしなくていいんだよ。』
『主様……。そうですか…。 』
(私の言葉で治るならどれだけいいものか。
甘い言葉や手当てだけでは…。この方は救えない…っ。)
『ルカス、手当してくれてありがとう。
そろそろ朝ごはんだよね?食べてくる。』
『あ、僕も行きます!』
『分かりました。』
『むにゃぁ……あるじさま……』
『…。ムーちゃんは寝坊助だなぁ。』
※人のこと言えません。
食堂に向かってる途中。
『ねぇ、ラムリ。』
『は、はい!』
『ラムリはどんなことをするのが好きなの?』
『僕、ですか?僕は綺麗な星を見るのが大好きです!自分でオリジナルの星座を作ったりするんです!』
『へぇ…。面白いことするんだね。
でも、素敵だと思う。自分のオリジナルの星座を作るなんて。』
『えへへ、そんな…他の執事には変わってるって言われるので……。』
『私は……分からないんだよね。
自分の好きなことや…やりたいこと。』
『主様……。』
『だから、羨ましいな。』
『…っ。あ、そうだ!主様!今夜は流星群なんです!一緒に夜見ませんか?』
『いいの?』
『はい!』
(よし、僕が主様を楽しませる!)
次回
第10錠 心も身体も護りたい
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!