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『痛みを負った心には愛の癒しを』〜愛情は特効薬〜


第10錠 心も身体も護りたい


その日の夜。私はラムリに誘われ、見張り台から流星群を眺めていた。


『綺麗…。』

『ホントですね……凄く、綺麗です。』

『ありがとう、ラムリ。誘ってくれて。 』

『ふふ、どういたしまして!主様の笑顔が見れて僕嬉しいです!』

『星なんてまともに見たこと無かったから…。いい気分転換になったよ。ありがとう。』

『ふふ、また一緒に見ましょうね。』

と、その時だった。ガチャ。

『何やら声がしますが…誰かいるのですか?』

『わっ!ナック!』

『ラムリ…それに貴方は主様…。こんな所で何を?』

『僕は主様と流星群を見てたの!もぅ〜邪魔しないでよ〜。』

『心外ですね。邪魔をしたつもりは無いんですが。』

『ここまでですね、主様。では僕はここで。

また一緒に星を見ましょう!おやすみなさい。』

『あ、うん!おやすみ…。』

ラムリはスタコラサッサと廊下を走る。

『ご挨拶が遅れて申し訳ありません。主様。私はナック・シュタインと申します。屋敷の財務を担当しています。』

『財務担当…?』

『はい、屋敷の会計係を務めてます。ルカスさんと一緒に交渉の席に出席したりします。』

『そうなんだ…。色々大変だね…』

『いいえ、この屋敷の為、主様の為なら安いものですよ。では、お部屋までお送りします。』

『ナックは寝ないの?』

『ご心配には及びません。私は矢先の見回りがありますので。主様を狙う輩がいたら捕まえないといけませんからね。』

『…良ければ一緒にいてもいい?』

『え?』

『今夜は寝付けなくて……。眠くなるまででいいの。迷惑じゃなければ……。』

『そんな、迷惑なんてとんでもない。

眠くなったら直ぐに言ってくださいね。』

『うん。』

私とナックは屋敷内を一緒に回る。


『今夜は静かで良かったです。主様の安眠を邪魔するなど許せませんから。』

(こうやっていつも屋敷の安全を…。)

『凄いなぁ……。』

『え?』

『何かを守るってとても凄いことだと思うから。ナックのこと尊敬するなって。』

『私にとっては…当たり前のことなのですよ。主様のことを守るのは私の責務です。』

『ありがとう、ナック。』

『疲れてませんか?少し休みましょうか。』

『ごめんね、ありがとう。』

私とナックはソファに腰をかける。


『暖かいお茶をお持ちしました。』

『ありがとう…。』

『……。』

(ルカスさんから話を聞いていましたが…。

痩せ細って華奢な身体…。手首の包帯…。

なんというか…。痛々しい傷ですね…っ。)

主様の隣に座る。

『主様。何か悩み事があれば私を頼ってくださいね。主様の力になりたいんです。』

『ナック…ふふ、ありがとう。』

(もう誰にも傷つけさせません。

私の主様を必ず守ってみせる。)

コテっ。

『?主様?』

『すぅ、すぅ……。』

『…っ。寝てしまわれましたか。ふふ。』

主様をお姫様抱っこする。

『綺麗な寝顔ですね…。』

私は主様を部屋に運びベットに優しく乗せる。

『おやすみなさいませ、主様。』


……パタンっ。


次回


第11錠 暖かい灯火のような

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