コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
『痛みを負った心には愛の癒しを』〜愛情は特効薬〜
第10錠 心も身体も護りたい
その日の夜。私はラムリに誘われ、見張り台から流星群を眺めていた。
『綺麗…。』
『ホントですね……凄く、綺麗です。』
『ありがとう、ラムリ。誘ってくれて。 』
『ふふ、どういたしまして!主様の笑顔が見れて僕嬉しいです!』
『星なんてまともに見たこと無かったから…。いい気分転換になったよ。ありがとう。』
『ふふ、また一緒に見ましょうね。』
と、その時だった。ガチャ。
『何やら声がしますが…誰かいるのですか?』
『わっ!ナック!』
『ラムリ…それに貴方は主様…。こんな所で何を?』
『僕は主様と流星群を見てたの!もぅ〜邪魔しないでよ〜。』
『心外ですね。邪魔をしたつもりは無いんですが。』
『ここまでですね、主様。では僕はここで。
また一緒に星を見ましょう!おやすみなさい。』
『あ、うん!おやすみ…。』
ラムリはスタコラサッサと廊下を走る。
『ご挨拶が遅れて申し訳ありません。主様。私はナック・シュタインと申します。屋敷の財務を担当しています。』
『財務担当…?』
『はい、屋敷の会計係を務めてます。ルカスさんと一緒に交渉の席に出席したりします。』
『そうなんだ…。色々大変だね…』
『いいえ、この屋敷の為、主様の為なら安いものですよ。では、お部屋までお送りします。』
『ナックは寝ないの?』
『ご心配には及びません。私は矢先の見回りがありますので。主様を狙う輩がいたら捕まえないといけませんからね。』
『…良ければ一緒にいてもいい?』
『え?』
『今夜は寝付けなくて……。眠くなるまででいいの。迷惑じゃなければ……。』
『そんな、迷惑なんてとんでもない。
眠くなったら直ぐに言ってくださいね。』
『うん。』
私とナックは屋敷内を一緒に回る。
『今夜は静かで良かったです。主様の安眠を邪魔するなど許せませんから。』
(こうやっていつも屋敷の安全を…。)
『凄いなぁ……。』
『え?』
『何かを守るってとても凄いことだと思うから。ナックのこと尊敬するなって。』
『私にとっては…当たり前のことなのですよ。主様のことを守るのは私の責務です。』
『ありがとう、ナック。』
『疲れてませんか?少し休みましょうか。』
『ごめんね、ありがとう。』
私とナックはソファに腰をかける。
『暖かいお茶をお持ちしました。』
『ありがとう…。』
『……。』
(ルカスさんから話を聞いていましたが…。
痩せ細って華奢な身体…。手首の包帯…。
なんというか…。痛々しい傷ですね…っ。)
主様の隣に座る。
『主様。何か悩み事があれば私を頼ってくださいね。主様の力になりたいんです。』
『ナック…ふふ、ありがとう。』
(もう誰にも傷つけさせません。
私の主様を必ず守ってみせる。)
コテっ。
『?主様?』
『すぅ、すぅ……。』
『…っ。寝てしまわれましたか。ふふ。』
主様をお姫様抱っこする。
『綺麗な寝顔ですね…。』
私は主様を部屋に運びベットに優しく乗せる。
『おやすみなさいませ、主様。』
……パタンっ。
次回
第11錠 暖かい灯火のような