望「此処…何処?」
辺りは緑が生い茂っている。
望「確か私はポータルを潜って…」
取り敢えずは二人を探さなければいけない…
望「荷物は…」
飲み物が入った水筒と予備の水以外に役立ちそうな物は何もない。
望「はぁ、何でこんな目に」
数分歩くと崖に空洞が有った
望「仮拠点としては良さそうかな?」
私は中を見回し、歩くと何かに当たった。そこには…
望「嘘でしょ?」
そこには白衣を羽織った白骨死体が転がっていた
望「可哀想に、後で埋めてあげなきゃ…」
今の状況で異常に冷静な自分が恐くなる。人は極限状態に陥るとこうも冷静に成ってしまうのか…
望「ん?これは…」
そこには白衣の死体が持っていたであろう大きめのバックパックと日記が置いてあった
望「中々に役立つものを残してくれているな…ナイフに散弾銃と弾にロープ、医療キットも在る…非常食も在る。他の食べ物は…まぁ腐ってるか……」
こんなにも中身が揃っているとは、不幸中の幸いか…これだけ物資が揃っていれば安心か?
望「すまないが使わせて頂くよ」
さて、気になるのはこの日記だ…
望「今は何も解らないからこの日記で少しは解れば良いんだけど…2096年の日記か…」
1日目…新しい職場に来た。皆優しい人ばかりで助かった…どうやらこの世界の生態系?や生物を調べる仕事だそうだ…新しい人生の幕開けに心が踊る
ところどころ虫喰いが有って読めないページが幾つか有った…
16日目…初めてのフィールドワークだ…一応訓練は受けたがそれでも心配だ…何か有っても数日は持つように色々入れておこう…どうか五体満足で帰って来れますように…
18日目…仲間とはぐれてしまった…数日は持つように準備しといて良かった…私はまだ諦めない
24日…もう嫌だ…生きることすら嫌になる。食料は残っているが心の方が限界だ…虫やこの世界の生き物の鳴き声でろくに眠れずに今日わ向かえた…寝たい…
25日…もう限界だ…これ以上助けを待つのは止めだ。眠くて眠くて眠い…私は頭が良いからとても良い解決策を見つけた。永眠は文字の通り永遠に眠る…永遠に眠れるとか天国以外の何物でもない。兎に角私は寝ようと思う…もう二度と起きたくない見たくない歩きたくない。もしこれをみている人が居るならば危ないが救助を待たずに探しに行け…喰われて死ぬか狂って死ぬか生き残る可能性に賭けるか…君はどれを選ぶ?おやすみ…どうか二度と起きませんように
此処で日記が止まっている
望「神様は最期の願いだけは聞いてくれたって訳…ねぇ」
神様は実に残酷だ
望「はぁ、私も生きて帰れれば良いんだけど…」
兎に角物資は十分だ。何もせずにくたばるのは目の前の白骨死体の二の舞だ…
望「なんとしても生き残る…未だやり残したことが沢山在るんだから」
一敏「おかしい…星宮君が何処にもいない」
悠太「流石におかしいよな」
一敏「まさか…いや、そんな筈は…」
悠太「オッサンどうした?」
一敏「あり得ないとは思うが…過去にポータルを潜った他の研究員の内の3人が行方不明に成った…そのまま一人が見つからなかった事が有ったんだ」
悠太「ん?一人だけ見つかってない?つまり二人は見つかったのか…一人はどこ行ったか解んねぇけど二人は戻って来れて良かったな!」
一敏「死体でね」
悠太「は?」
一敏「外にジャングルが見えるだろう?色んな場所が有るが私達はあのジャングルの地域をInsect Forestと読んでいる…彼処は他の場所と比べて緑と虫が多いんだ…そんな森の中で二人は虫に喰われてる所を発見された」
悠太「え?は?嘘だろ?もしかしたら望もそこに行っちまったってことか!?」
一敏「可能性としては低いがあり得る…2089年以降報告されていなかったから大丈夫と思っていたんだが…」
悠太「な、なら!今すぐ探しに行かなきゃ!アイツ弱いから直ぐ死んじまう!」
一敏「だが此処で自由に外出することは許されていない…上の許可が必要だ」
悠太「許可取りゃ良いんだろ?なら!」
一敏「だが上の連中は利益を優先するやつが居るから…面倒事は起こしたがらないだろうな」
悠太「じゃあどうしろって言うんだよ!見殺しにしろってか!?」
一敏「違う!私もあの子を助けたい…仕事なら外出することは出来るからその時に探すしかない」
悠太「クソッたれ…俺一人でも探しに!」
一敏「馬鹿を言うなッ!」
パンッ…その音が広い研究所に響き渡る
悠太「何すんだよオッサン!」
一敏「望も無事かも解らない今、御前まで失いたくない…私の同僚は居なくなった三人を探しに行って片手を失って帰って来た!こんな危険な場所に君一人だけで放り出せない!解ってくれ…これ以上周りを危険な目に会わせたくないんだ…」
悠太「……解ったよ、じゃあ最大限協力しろよ!」
一敏「当たり前だ…私だって望と無事に会いたいからな」
コメント
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どうしてポータルを容易く使うんですか?(現場猫感)