テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
あ
211
コメント
3件
スクロールする度にこちら側もドキドキします…⚔️ってこういう仲介役になる事多いよなぁって思います!👯♀️が「無理」って言ったとき『あっ……』ってなりましたけどなんとか仲直りしたみたいでほっとしました笑🏴☠️さんは無自覚にそういうことしちゃうからねぇ…
こんにちは、あおいです🤍 第1話、読ませていただきました。 ぺこーらのもどかしい気持ちがひしひしと伝わってきました……マリンの無自覚な距離感に傷つく様子が丁寧に描かれていて、読んでいて胸がぎゅっとなりました。ノエルさんの「キスのふり」の提案には驚きましたが、あれがなかったら本心が引き出せなかったのかなと思うと、複雑だけど大切なシーンだったんだなって感じました。 最後のキスマークのオチも含めて、3人の関係がどう変わっていくのか気になります。続きも楽しみにしてますね🌷
⚠️⚠️⚠️⚠️
〜必読〜
この作品には本番までは行きませんが、NTRに近い表現が含まれます。誰がそのようになるかはハッシュタグを見てください。
そのような表現があっても全然いいよって方はそのまま読み進めてください。
無理な方は急いでブラウザバックしてください。
それでは本文へどうぞ
・・・・・・宝鐘マリンを好きになるのは間違っていたのかもしれない。。最近そう思う事が増えたように感じる。
ぺこーらとマリンは恋人、、その事はホロメンであれば誰もが知っている。
それなのに、一部のホロメンはぺこーらの前でマリンを平然と抱き締めたりする。ぺこーらにはとても理解出来ない。
しかもたちが悪いのは、マリン自身も嫌がらずに受け入れているところだ。ぺこーらとしては
ーー断ってほしい。素直にそう思う。
だがマリンがそんなぺこーらの思いなど知る訳もなく、
「ちょっとすいちゃ〜ん?そんな近づいて来たら船長勘違いしちゃいますよー?」
や、
「おかゆ先輩?いくらマリンが超絶美少女だからってそんなにひっつかれたら照れちゃいますよ?」
などと断る様子が一切見受けられない。
マリンのそんな様子を見る度に、ぺこーらの心はズキっと痛む。
どうしたらいいのか分からないまま、時間だけが過ぎていく。そんなある日、マリンから
「久しぶりにさ、ぺこらの家泊まってもいい?」
そう提案された。
久しぶりにマリンが泊まってくれる事でかなりテンションが上がっているぺこーら。
マリンからのメッセージがあってから30分後、荷物をまとめたマリンが家に来た。
急いで玄関に向かい、扉を開ける。
「待ってたよ、マリン」
「おぉ、玄関までぺこらが迎えに来てくれるなんて珍しいね」
「うん、久しぶりにマリンが泊まりに来てくれるから嬉しくてつい、ね?」
「もー、ぺこちゃんは本当に可愛いですね〜」
そんな会話をしながら家に入り、マリンとゲームをしたり、最近の出来事について話す。そうこうしていると、あたりが暗くなり、
「お風呂入ってくるね〜」
そうマリンが言い残し、風呂場に向かって行った後の事だった。ぺこーらがSNSでエゴサをしていると、マリンの携帯がピコンっと鳴る。
画面に目をやると、そこには恐らくマリンのマネージャーらしき人物からのLINEメッセージが届いていた。内容は至ってシンプルで、
『マリンさん、以前お伝えした書類の提出が今週に迫ってます。出せそうですか?』
そう書いてあり、ぺこーらもなんだマネージャーからのメッセージかと思い、直ぐに目を逸らそうとした。けれど、そのタイミングでマリンのマネージャーの1つ下のメッセージ欄に
『前いった遊園地、また行かない?楽しかったしさ』
そう書いてあったのを見てしまった。
「……え」
ぺこーらの指が、画面の上でぴたりと止まる。
「なに、これ・・・・・・」
一瞬、意味が理解できなかった。けれど、その文面をもう一度読み返した瞬間、胸の奥がじわりとざわつき始める。
“前行った遊園地”“また行かない?”
「・・・誰、・・・と?」
送信者の名前を見つめる。知らない名前。少なくとも、自分が知っている範囲の人物ではない。
2人きりで行ったのか、なんでぺこーらに言ってくれなかったのか。そんな事を考えているうちに、僅かながら目に涙が浮かぶ。
そして次の一言を見た瞬間、ぺこーらは全てを知る事になる。
『マリン、
ー大好きだよ』
「っ………」
まだ落ち込むのは早い。相手が一方的に思いを伝えているだけかもしれない。そう思ってマリンの返信を見る。
『船長も大好きですよ』
・・・・・・・・・涙が溢れた。零れ落ちる涙は頬から膝へ、膝から地面へと伝っていく。
・・・・・・そうだ、ぺこーらの事を好きになるってくれる人なんて最初からいる訳なかったんだ。
その事に気付いてからぺこーらは人前で”偽りの笑顔”を浮かべるようになった。
マリンがお風呂から上がって来た後も普段のぺこーらでは考えられない程の笑顔を浮かべていたと思う。
そうしないとマリンに酷い事を言ってしまいそうだった。
楽しみにしていた折角のお泊まり会は最悪のお泊まり会へと変貌した。
その日からというものの、その日の事が頭から離れず仕事にも支障をきたすよになった。
ふとした時にマリンとその相手の事を考えてしまい、人がいない所で声を押し殺して泣く。
そんな事を続けていたある日、ノエルから声を掛けられた。
「・・・ぺこらっちょ、最近何かあった?」
「え、どしたの突然w」
「・・・いや、何となく、」
「何それw 。まあノエルらしいけどさ笑」
「・・・もしぺこらっちょが何か悩んでたりするなら遠慮なく団長に教えてな」
「ありがと笑、でもぺこーらは全然大丈夫だから気にしなくていいよ」
「・・・全然大丈夫な人はそんな顔せんよ?」
「・・・え?」
「その作ったような笑顔。団長普段からぺこらっちょの事よく見てるからさ、分かるんだよね。前までのぺこらっちょと全然違うじゃんか」
「な、何言ってんの?べ、別に普段のぺこーらと変わんない、でしょ?」
「全然違うから団長は言ってるんよ。普段のぺこらっちょはそんな気味の悪い笑顔を浮かべないし、むしろ心の底から楽しそうな、そんな笑顔を浮かべてる。」
「・・・・・・」
「・・・教えてよ、ぺこらっちょ。何があったの?」
それから何秒、何分経った頃だろうか。ノエルなら、と
ぺこーらは今まであった事を全て話していく。
話し終えた途端、ノエルがぺこーらを抱き寄せてくる。
久しぶりの人肌に思わず抱きつき、思い切り泣きじゃくった。
「っ……なんで、っ…なんで……っ……」
「ぺこーらのことしか見てないって……言ってたのに……っ……」
「それも……全部、嘘だったってこと……?」
かすれた笑いが、喉の奥で引っかかる。
「……はは、ぺこーらさ……ほんと、馬鹿みたいじゃん……っ」
「マリンと、ずっと一緒にいられるって……勝手に思ってさ…っ、」
「っ……なのに……っ……こんな形で知るとか……っ……」
言葉の端が崩れて、また嗚咽に飲み込まれる。
「ぺこーらだけが……本気だったみたいでさ……っ……」
震える手で、ぎゅっと何かを握りしめる仕草をする。
「一緒にいた時間も……っ、交わした言葉も……っ……全部、同じだって思ってたのに……っ……」
声がどんどん小さく、弱くなっていく。
「マリンにとっては……どうでも良かったのかなって……っ……」
でも、たとえマリンがそう思っていたとしても………
「ぺこーらはっ、マリンの事が好きで好きで仕方ないっ……一生ぺこーらだけを見てほしい……」
そんな自分があまりにも情けなくて、
「ほんと……どうしようもないよ……っ……ぺこーら……っ……」
そう口にする。その間もノエルはぺこーらの背中をさすってくれる。そして時々、
「大丈夫、ぺこらっちょは何も悪くないからね」
などと慰めてくれる。その言葉が、今は何よりも嬉しい。
それから暫くしてぺこーらが泣き止んだ後、ノエルからとある事を提案される。
「・・・ぺこらっちょはマリンが自分に愛想を尽かしたと思ってる。そう思っちょるんよね?」
「・・・うんっ」
「ならさ、マリンの前でわざと団長に抱きついてきてみ。
そしたらマリンがぺこらっちょの事を好きかどうかわかるよ」
「それ、はっ、」
「大丈夫、何かあったら団長のせいにしていいから」
「・・・わ、わかった。」
その日からノエルの言った通り、ぺこーらはマリンの前でノエルに抱きついたり、至近距離で会話をするようになった。
「ノエル、最近配信頑張ってるね」
そう言って、ぺこーらはわざとらしくノエルの腕に身体を寄せる。
「配信第一のぺこらっちょに言われたら凄い嬉しいね」
ノエルは少し驚いたようにしながらも、優しく受け止めて
くれる。
――そして、肝心のマリンの反応は。
「お、二人とも仲いいね〜」
・・・ただそれだけだった。
いつも通りの軽い調子で笑って、特に気にした様子もない。
「・・・・・・」
ぺこーらはその横顔を、思わずじっと見てしまう。
けれど、そこにあるのは見慣れた“いつものマリン”でしかなかった。
何日経っても同じだった。
わざと距離を近づけても、肩に頭を乗せても、腕を絡めても――
マリンは、何も変わらない。
「……はは」
思わず、乾いた笑いが漏れる。
「やっぱり……どうでもいいんだ……」
ぽつりと呟いたその声は、誰にも届かないほど小さかった。
――その日の夜。
「……ぺこらっちょ」
控えめに名前を呼ばれて振り向くと、ノエルが少しだけ難しい顔をしていた。
「……マリン、全然反応せんね」
「……うん」
分かっていたことを改めて言われて、胸が少しだけ痛む。
「……正直、団長もここまでとは思ってなかった」
ノエルは腕を組んで、小さくため息をつく。
「ぺこらっちょのこと、本当に何とも思ってないんか……それとも——」
言いかけて、ふとぺこーらの方を見る。
「……まだ確かめる方法はあるよ」
「……え?」
ノエルは少しだけ躊躇うように視線を逸らし、それから決意したように口を開いた。
「もっと分かりやすい方法が…ね。」
「分かりやすい……?」
全くもって検討が付かず、頭に?マークが浮かんでいるぺこーらを横目に、ノエルはその方法とやらを口にする。
「……団長と、キスするふり」
一瞬、時間が止まったような感覚がした。
「……は?」
間の抜けた声が漏れる。
「もちろんキスする”ふり”だかんね。」
「ぺこらっちょは嫌だと思うけど」
ノエルは真剣な顔で続ける。
「でも、それくらいせんと……マリンの本音、出てこん気がする」
「そ、それは……っ」
言葉に詰まる。
頭では理解できても、心が追いつかない。
「ぺこらっちょ」
ノエルが一歩近づく。
「怖いのは分かる。でも」
真っ直ぐな目で見つめられる。
「ここで何もしなかったらずっとそのままだって団長は思うよ」
「……」
何も知らないまま、曖昧な関係のまま、傷つき続けるだけ。
「……団長がついてる」
静かに、けれどはっきりとした声。
「何があっても、ちゃんと受け止めるから」
その言葉に、胸がぎゅっと締め付けられる。
「……っ」
しばらくの沈黙のあと、ぺこーらは小さく息を吐いた。
「……わかった」
震える声で、それでもはっきりと答える。
「やる……やってみる」
ノエルはゆっくりと頷いた。
「……よし、、。。さっきも言ったけど仮にもし何かあったとしても全部団長のせいにしていいかんね」
それだけ言ってノエルは帰っていく。ぺこーらとしては、何故ノエルがそこまでしてくれるのか甚だ疑問ではあったが、
恐らくは”同期”だからなのだろう。そう思うことにして、その日は早く寝るのであった。
〜翌日〜
スタジオに行くと、既にノエルが待っていた。マリンはと尋ねると
ー今収録中で、後10分もしたら終わると思う
そう返ってきた。かなり緊張しているぺこーらに比べてノエルは落ち着いているようだ。
ー怖く無いのだろうか。率直にそう思った。一歩間違えれば3期生崩壊の危機なのに。
そんなことを考えていると、
遠くの方からマリンのマネージャーのお疲れ様でしたー!という声が聞こえる。その声をきっかけにぺこーらの中での緊張感がますます高まる。
おそらくはマリンであろう足音がこちらに近づけば近づく程ぺこーらの心臓はドクドクと小刻みに鼓動する。
破裂するのではないかーーそれほどまでに早くなった瞬間にノエルがぺこーらを抱き寄せ、必然的に顔同士が近づく。
ーー扉が開く音がした、その瞬間。
「っ……」
ぺこーらの視界の端に、マリンの姿が映る。
けれど、その表情を確認する余裕なんてなかった。
すぐ目の前には、ノエルの顔。
「……ぺこらっちょ」
小さく名前を呼ばれる。
その声が、やけに近くて。
「っ……ノエ、ル…」
息がかかる距離。
互いの顔同士が近づいて、第三者から見ればキスをしている。そのように見えただろう。
そう判断したぺこーらはノエルから離れようとする。
だが、再びノエルに抱き寄せられた。
そしてーー
「……ごめん」
それだけを言い残し、ノエルは衝撃の行動に出た。
「…えっ?」
一度離れたぺこーら達だったが、ノエルによって再び近づき、そして、
次の瞬間。
唇同士が触れた。
しかもちょっとやそっとではなく、ガッツリ。最早言い訳など出来ない程の“キス”で。
「……っ!?」
ぺこーらの思考が、完全に止まる。
何が起きたのか全く理解できない。
最初は唇同士のキスだったが、息が苦しくなり空気を吸い込もうと口を開いた瞬間、ノエルはその時を待っていたかのように舌を入れてきた。
「んっ!?……んむッ…んんッ……///』
その事に気づいたぺこーらは急いで口を閉じようとしたが、ノエルの方が一足早く互いの舌が絡み合う。
なんとか逃げようとしても片方の手でノエルに腰を抑えられており、逃げられない。その後、
「ぷはぁっ」
という音と共にノエルがゆっくりと離れた。ノエルが離れると互いの舌の間から銀色の糸が引いていた。
ぺこーらがノエルにどういう事か問い詰めようとするよりも先にマリンが動いた。
ーー「何してんの、お前」
そう言ってノエルの胸ぐらを掴み、押し倒す。この世の物とは思えないぐらいに低い声だった。
ノエルが危ないと察したぺこーらは急いでマリンとノエルの間に割り込んだ。
「待って、マリン。聞いてほしい。」
そう言って一旦落ち着かせようとするも、
「・・・へぇー、、ぺこらはそっちの味方なんだ。、知らない間に随分と絆されちゃってさ、ほーんと、どういうつもりなの?」
「・・・・・・・・・」
怖い、マリンが本気で怒ってる所なんて初めて見た。マリンのあまりの圧にぺこーらが何も言えずにいると、
「・・・・・・で、張本人が何も喋らないのはなんでなの?」
「・・・・・・団長は別に間違った事をしたとは思っちょらんけどね」
「・・・・・・へぇー」
「事の発端はマリンにあるからね」
「・・・・・・どういう事?」
「・・・マリンは誰に対しても態度を変えないよね」
「……?』
「例え恋人がいたとしても、距離感を変えない」
ノエルの言葉は静かだったが、その場にいる全員の耳に重く響いた。
「・・・それの何が悪いの?」
マリンは眉間に皺を寄せる。
「悪いとは言ってないよ。ただ――」
ノエルは一度言葉を区切り、ぺこーらへと視線を向けた。
「見てる側は、どう思うかなって話」
「……っ」
ぺこーらの肩がびくりと揺れる。
「ぺこらっちょ、ずっと我慢してたでしょ?」
「な、何を……」
「マリンが他の人に触られても、そうやって誰とでも仲良くできるのはマリンのいい所だって必死に自分に言い聞かせてたんだって、団長は思うな」
ノエルの言葉は優しいのに、逃げ場を塞ぐようでもあった。
「違う、ぺこーらは……」
否定しようとして、言葉が続かない。
頭の中に、何度も見てきた光景がよぎる。
誰かに抱き寄せられて、笑っているマリン。
それを見て、何も言えずに立ち尽くす自分。
「そう、、なの?」
マリンがぽつりと呟いた。
その声は先程までの声の荒さが少しだけ削げている。
「・・・マリンはさ」
ノエルがゆっくりと起き上がりながら続ける。
「無自覚に人を誑し込んじゃうんやろね」
「・・・?」
「マリンが冗談で好きだとか言ったんだとしても、相手はその発言を本気で捉えてしまう可能性もあるって事」
ノエルは服の乱れを軽く直しながら、まっすぐマリンを見据えた。
「だからこそ、マリンのその言動一つ一つでぺこらっちょがどれだけ傷ついてるかも、マリンは分かってない」
その言葉に、マリンの眉がぴくりと動く。
「……そんなわけ」
言いかけて、止まる。
「……ぺこら」
マリンの視線が、ゆっくりと向けられる。
「本当にそう…思ってたの?」
問いかけは静かだった。
怒りではなく、確かめるような声音。
ぺこーらは一瞬だけ迷って、でも視線を逸らさずに口を開く。
「……思ってた」
その一言で、空気がまた変わる。
「でも……言えなかった」
「…なんで」
「だって……」
ぺこーらの声がわずかに震える。
「マリンに心配、かけたくなかったから…」
その言葉が、やけにゆっくりと空気の中に沈んでいく。
言った直後、ぺこーら自身もはっとしたように口を閉じ
た。
けれど、一度こぼれた想いはもう引っ込められない。
「……」
誰もすぐには何も言わなかった。
さっきまで張り詰めていた空気とは違う、重くて、静かな沈黙。
ぺこーらの視線は足元に落ちたまま動かない。
ぎゅっと握った手に、じんわりと力がこもる。
「………………」
暫くの沈黙の後。ぽつりと、マリンが呟く。
その声は小さくて、どこか遠く感じた。
「……ごめん」
一拍、間が空く。
その一瞬がやけに長く感じられた
「……あたしの行動でぺこらがそんな傷ついてるなんて、全然気付かなかった。ぺこらは全然気にしないって勝手にそう思ってて…」
「……恋人でも何でもない人なら勿論気にしないけど、恋人同士なら話は別に決まってるじゃん」
「…‥マリンも想像してみてよ、ぺこーらが誰かと抱き合ってたりしたらどう思う?」
そうあたしに言うぺこら。言われた通りにぺこらがあたし以外の誰かと抱き合う様子を想像する。
………軽く想像しただけで怒りが爆発しそうになった。
「……そっか、そう…だよね、嫌に決まってるよね」
当たり前だ、なんでこんな単純な事にあたしは気付けなかったんだろうか……
ぽつり、と自分に言い聞かせるように呟く。
暫くの間、懺悔していると、
「マリン、ぺこーらと別れて欲しい」
「!」
そうぺこらが口にした。慌てて待ってと言いそうになるが、元はといえば悪いのはあたしだ。
別れたくない、なんていえない。言えるはずがない。あたしはなんて言おうか必死に考えるが、答えなんて出るわけもない。
そのまま時間だけが過ぎていった。
さっきまでの激しい空気が嘘みたいに、ただ静かな時間だけが流れる。
ぺこらも何も言わない。
責めるでもなく、慰めるでもなく、ただそこに立っている。
その距離が、逆に遠く感じた。
そこでようやくあたしは何を言うべきか理解した。
「……ぺこら」
マリンがゆっくりと顔を上げる。
その表情には、いつもの軽さはもうなかった。
「……あたしさ」
言葉を探すように、一度視線を逸らす。
「自分で思ってるより、ずっと……ぺこらのこと、好きかも」
静かに、噛み締めるように。
「…一度傷付けておいて、都合のいいやつだなって思われるかもだけど、それでも」
一歩、ぺこーらに近づく。
さっきまでとは違う、迷いのある足取り。
「ぺこらと一緒にいたい」
ぺこーらの目の前で立ち止まる。
少しだけ手を伸ばしかけて、でも触れるのを躊躇う。
「……ぺこらの嫌がる事も絶対にしない。」
その手が、そっとぺこーらの服の裾を掴む。
強くじゃない、逃げられたらすぐ離れてしまいそうなほど弱く。
「だから、だからっ!!」
そしてーー
「ーあたしともう一度やり直しませんか?」
そう言葉にした。そんなあたしの言葉に対し、ぺこらは数秒だまってから
「…………ごめんっ、むり……」
そう口にした。
「……そっか……そう、だよね」
分かりきっていた結末だ。散々傷付けておいて、今更好きだなんて遅すぎる。
「…一応理由を教えて欲しいな」
恐らくあたしが考えている通りだと思う。けど、もしかしたら。そんな可能性を考えてぺこらに理由を聞いた。
「携帯…」
「…えっ?」
「マリンの携帯、見た」
あたしが予想していた理由とはかけ離れた答えが返ってくる。
「マリンがお風呂入ってる時に、チラッと見た。そしたら、」
『この前行った遊園地楽しかったね、また行こうね』
って書いてあった。
「……それはっ、!」
「ぺこーらとじゃない…よね」
怒り、というよりも底知れない悲しさが混じったような声色だった。
「ぺこーら、あの日マリンと遊園地なんて行って、ないっ、、」
「…ちが、」
「もういい…」
「違う、それは――」
「もういいっ!!」
初めて、ぺこらが声を荒げた。
びくりと、マリンの動きが止まる。
「……これ以上、聞きたくない…」
震えている。
怒りじゃない、抑えきれない何かを押し殺している声。
「期待しちゃうから」
そう言葉にするぺこら
「また、信じちゃいそうになるから……」
その言葉が落ちた瞬間だった。
気付いた時には、もう身体が動いていた。
「……っ」
あたしは一歩踏み込むと、そのままぺこらの身体を引き寄せた。
抵抗されるかもしれないと分かっていたのに、止められなかった。
「……ごめん」
耳元で、かすれるように呟く。
腕に力を込めることも出来ない。
強く抱きしめる資格なんてないと分かっているから、ただ壊れ物に触れるみたいに、そっと包み込むだけ。
「ほんとに、ごめん……」
ぺこらの体温が、じわりと伝わってくる。
離さなきゃいけないのに、離したらもう二度と触れられない気がして。
「……違うんだよ」
震える声で続ける。
「そのメッセージ、友達とのやり取りでふざけてただけで…」
胸の奥が締め付けられる。
言葉にしないといけないのに、うまく出てこない。
「ただの……友達で」
言い訳みたいに聞こえるのが分かっていても、それでも言わずにはいられない。
「何も、やましいことなんてなくて……」
腕の中のぺこらが、わずかに動いた気がした。
それだけで、息が詰まる。
「…証拠見せる」
マリンはゆっくりとぺこらから身体を離す。
完全には離れない。
ポケットからそっとスマホを取り出した。
「……これ」
震える指で画面を開く。
例のトーク画面を、そのままぺこらの前に差し出す。
「全部見ていい」
逃げ場をなくすみたいに、はっきりと言う。
「最初から最後まで、全部」
ぺこらはすぐには受け取らず、
ただ、その画面を見つめている。
「……遊園地の話も、その前の流れ見たら分かるから」
マリンの声は静かだった。
取り繕う余裕なんてない。
だってーー
「ーーぺこらには信じて欲しいから」
その言葉のあと、また静けさが落ちた。
ぺこらの視線が、ゆっくりとスマホへと向く。
差し出されたままの画面。
そこに映るメッセージの列を、少しだけ躊躇うように見つめる。
「……」
手が、わずかに動く。
けれどすぐには触れない。
触れてしまえば、何かが決定的に変わる気がして。
「……ほんとに、全部見ていいの?」
小さく、確認するような声。
「うん」
間髪入れずに返す。
迷いのない肯定。
それだけで、マリンがどれだけ逃げていないかが伝わる。
「……隠してるのとか、ない?」
「ない」
即答だった。
「一つもない」
ぺこらの指先が、そっとスマホに触れる。
少しだけ震えているのが分かる。
画面を引き寄せるようにして、ゆっくりと視線を落とす。
スクロールするたびに、空気が張り詰めていく。
マリンは何も言わない。
言えない。
ただ、その場でじっと立っていることしかできない。
時間の感覚が曖昧になる。
数秒なのか、もっと長かったかもしれない。
ぺこらが一通り読み終えた後、
「……ごめんっ、疑って……」
そう言って頭を下げてくるぺこら。
その言葉に、マリンは首を横に振る。
「違う」
すぐに否定する。
「疑わせたのは、あたしだから」
一歩、近づく。
今度はさっきよりもゆっくりと。
「ぺこらが謝ることじゃない」
ぺこらはまだスマホを見たまま、何も返さない。
けれど、その肩の力が、ほんの少しだけ抜けた気がした。
「……ぺこら」
名前を呼ぶ。
それだけで、胸が締め付けられる。
「…もう一度聞いていい?」
答えを急かさないように、それでも聞かずにはいられない声。
「……うんっ」
「もう一度あたしとやり直してくれませんか?」
暫くの沈黙があった後、ぺこらが抱き付いてきた。
「うんっ、マリンともう一度やり直したいっ、、!」
「っ!!ぺこらっ!!」
ぺこらが抱き付いてきたのをあたしはしっかりと受け止めた。そのまま暫く抱き合っていると、
横から声が聞こえた。
「……あのぉー、お二人さん、団長の事忘れてない?」
「「あ」」
「…まあ、良かったよ仲直りできて」
「ノエル、色々協力してくれてありがと。ぺこーらだけじゃ絶対無理だったから」
「これぐらい団長にかかればちょちょいのちょいだかんね」
「…?」
「あ、そっか。マリンは事情を知らんもんね」
かくかくしかじか
「…そういう事だったんですね」
「…試すような真似をしてごめんね、マリン。どうしてもぺこーら不安で」
「いえ、船長が全て悪いんですからそんな気にしないでください」
そう言いながらマリンはでも、と続ける。
「キスした事は許してないからね?ノエル」
「…それは本当にごめんね」
「次したら本気で殺すからね」
そう言葉にするマリンの瞳はドス黒く濁っていて、僅かに恐怖を感じた。
……でもまあ取り敢えず一件落着、かな。そう思い、マリンたちに別れを告げ、そのまま帰っていく。
次の日、スタジオに現れたぺこらっちょの首元には夥しいほどのキスマークが付いていた。
pixivの方で出してた過去作です。ちょい変な部分ある気がするけどまあ気にせずお読みください☺️
あともし仮にこーいう小説書いてほしいとかあればコメ欄に書いてくださったら、書けそうなら書くかもですす。