テラーノベル
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ボクは、元知能天使のナナ。
今は、お気に入りの執事さんと、可愛い黒猫さんと一緒に旅をしています。
ボクは…海が好き。
昔…みんなと一緒に海に行ったことがある。
みんな…その町の衣装が似合ってて…少し、ドキドキした。
こんなこと言っちゃダメだと思うけど…。
……こうなる前に…みんなで、もう一度行きたかったな…。
「着いたよナナちゃん」
目の前に広がったのは、花、花、花。
沢山ありすぎて、花弁も沢山風で飛ばされ、華やかな雰囲気の街。
すごいのは分かったんだけど……。
『あの…ベレンさん…何故ちゃん付け…?』
疑問に思った事を口に出してみた。
「え…ダメかな? 」
そう言って、瞳をうるうるさせて訴えてくる。
「はぁ…ナナ行くぞ」
そう言い、ボクの手を引いてベレンさんを置いて行く
「え、ちょっと待ってよ…シロ〜!」
「うるさい黙れ」
「黙れって…ベレン兄さん泣いちゃう」
「勝手にしろ」
そんな感じで、やり取りをする2人が少し羨ましい。
昔のボクも…こうやって会話できたら………なんて。
少し歩いて着いたのは、カフェ。
シロさんが、行きたかったらしい。
看板に、ワッフル専門店と書かれていた。
「ん〜!美味しいです!」
ムーちゃんが目をキラキラさせて、ワッフルを見ている。
「ふっ、だろうここのワッフルはとびきり美味い」
幸せそうにワッフルを頬張るシロさん。
その姿が何だか小動物みたいで、思わず微笑んでしまう。
「シロ小動物みたい」
どうやら、ベレンさんとボクの思っていた事が一致したらしい。
「黙れ誰が小動物だ」
そう言って、黙々とワッフルを食べる。
でも、やっぱり…りすさんに見えて…。
『ふふ、シロさん…りすさんみたいです』
ひらひら落ちる花弁のように、言葉が零れた。
「はぁ…」
そうため息をついたあと、最後の一口を食べ終えた。
「ねぇねぇ、シロ。リスみたいに頬にワッフル詰めてない?」
つんつんと、シロさんの頬をつつく。
「べ、ベレンさん…!?そんな事したらシロさん怒りますよ!?」
ムーちゃんがそう言っても、ベレンさんは余裕そう。
………シロさん…すっごく怒ってそうだけど。
カフェを出たあと、ラックがパタパタと羽を動かしてボクの肩に止まった。
『ん、ふふ…ラックお疲れ様』
褒めの代わりに顎を撫でる。
目を閉じて、気持ちよさそうにするラック。
ボクが創った存在だからか、とても愛くるしく見えてくる。
「戻ってきたということは…なにか変化でもあったのか?」
『うん、そうだね聞いてみよっか』
ポーッとかポポーしか鳴いてないけれど、言っていることが分かる。
どうやら、ベリアンがボク達を探してこちらに来ているらしい。
「っ…ベリアンが…」
もしも…屋敷に連れ戻しに来るのだったら…。
最悪の考えが頭をよぎる。
殺されるかもしれない。
「おい…!ナナ! 」
倒れそうになったボクを抱きとめる。
『ぁ…シロさん…ごめんなさ、い』
涙が零れる。
この涙も…花になって落ちてくれたらいいのに…。
そう思いながら、人前で泣く。
恥ずかしい気持ちなんて…どこにいったんだっけ…?
「……大丈夫、主様…今すぐこの街を出よう」
「そ、そうですよ!」
ムーちゃんのしっぽが足に触れる。
その感覚に安心しながら、急いでこの街を出た。
賑やかだった街の音がもう遠く感じる。
逃げられた。そう思った時。
「……あるじ、さま…?」
一番出会いたくない悪魔と、出会ってしまった。
悪魔の指示どうりに、道を進む。
主様方に会いたくて…。
そんな思いのせいか、足の疲れや休みなど、忘れてしまう。
ふふ…主様…。
貴方に会いたくて…頑張っているんですよ。
もしも、出会えたら…その時は。
………私の頭を撫でてください。
執事としての立場を失っても…貴方に出会えるだけで幸せです。
曲がり角を右に曲がると…。
羽のない貴方が見つかった。
あぁ…やっと…やっと出会えましたね。
一筋の雫が頬を伝った。
コメント
6件
ベリアン…悪魔化しないよね…?いやな予感しかしないんやけど
ワッフルを見てるムーちゃんとリスみたいにワッフル頬張るシロ想像したら悶えた(?)