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部活が終わり、すっかりオレンジ色に染まった校門前。
美術部での活動を終えた紗良と瞬が、待ちくたびれた様子で立っていた。
「泉、お疲れさま! 初日のマネージャーはどうだった?」
紗良が駆け寄ってきて、泉の腕を掴む。
「あ、紗良。……うん、すごく大変だったけど、勉強になったよ」
「泉ちゃん、顔が真っ赤だよ。少し休んだほうがいいんじゃない?」
瞬が心配そうに眼鏡の奥の瞳を細める。
「泉、今日のお前のサポート、マジで助かったぜ!」
後ろから、陸が爽やかな笑顔でやってきた。その後ろには、相変わらず無口な優が続いている。
「陸くん、お疲れさま……。くるみ先輩、本当に素敵な人だね」
泉が精一杯の言葉を絞り出すと、陸の顔がパッと輝いた。
「だろ!? 先輩はマジでこの部の女神なんだよ。俺、先輩が引退するまでに、絶対に大会で記録出して、振り向いてもらうって決めてんだ」
「……、……そうなんだ。応援してるね」
泉は、引きつりそうになる頬を必死に抑えて笑った。
そんな泉の様子を、横にいた優が、鋭い視線で一瞬だけ捉えた。
「……帰るぞ。無駄話してると日が暮れる」
優のぶっきらぼうな一言で、五人は駅へと歩き出す。
陸はくるみ先輩の話を熱っぽく語り、紗良と瞬がそれにツッコミを入れる。
その後ろを歩く泉は、まだ自分の心の中にある「モヤモヤ」の正体を知らないふりをした。
でも、夕日に伸びる五人の影は、それぞれ違う方向を向いているように見えた。