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#主人公愛され
翌朝。梅宮さんが帰ったあと、私も後を追うようにして寮に帰った。
梅宮さんとはそれから一度もお話をしていなかった。
今日は生徒会がある日。
朝早起きして生徒会室に足を運んだ。
扉を開けると、他のみんなは来ていなかったが、見慣れた背中を目にする。
ソファに座り、コ ー ヒ ー の入ったカップを口に運んでいるのは梅宮さんだった。
梅宮さんは誰よりも早く来て、生徒会の仕事をこなす人だ。
きっと今日も仕事をするために来たのに違いない。
そう思った私は、躊躇なく声を掛けた。
「 梅宮さん。おはようございます 」
「 ん … ?あぁ、桜花か。おはよう 」
後ろを振り返って投げかけられた言葉は、温かく明るいものだった。
「 … 少し、話したいことがあるんだ 」
「 __ え? 」
人が来た時の為に、応接室に移動した。
梅宮さんは私にココアを淹れてくれ、クッキ ー も用意してくれた。
梅宮さんは不思議そうな顔をする私を見て、優しく微笑んだ。
「 昨日のことなんだが … まずは、俺に気づかせてくれてありがとう 」
「 え? 」
気づかせてくれて … ?
私は何を教えたのだろうか。
心当たりのないことに、戸惑いを隠せないでいた。
「 俺は … 自分のことしか考えてなかった。ずっと、自分さえ良ければって。そう思ってた 」
梅宮さんは続けて言う。
「 でも桜花に気付かされたんだ。ありがとう 」
「 いえっ、わ、私はなにも … ! 」
「 してくれてるよ。いつも本当にありがとう。感謝してる 」
そう言って梅宮さんは私の頭を撫でた。
何故かその時、胸がドキッと脈うった。
なんだろう … この感覚は。
「 よっし!それじゃ、仕事再開しますか! 」
「 あ、はい! 」
私は梅宮さんと応接室を出た。
すると、もうみなさん来ていた。
「 あら?2人とも応接室にいたの? 」
「 だから話し声が聞こえたのか 」
私たちに気づいた椿ちゃんと柊さんが声を掛けてくれた。
「 ははっ、ごめんごめ ー ん☆ 」
陽気な梅宮さんは反省しているような雰囲気が無かった。
「 謝る気ゼロだな 」
「 間違いないわね 」
「 ふふっ 」
無意識にこぼれた笑みに、椿ちゃんが気がついて嬉しそうな顔をした。
「 ほら、絃も笑ってるわよ 」
「 なっ、な ~ んで桜花まで笑うんだよ ~ 」
梅宮さんが私の肩を掴んでそう言った。
「 ふふっ、すみませんっ 」
「 思ってないだろ! 」
「 もうっ、梅ってば … ! 」
「「 あはは … 」」
「 … 」
笑いが絶えない空間の中で、桃瀬さんがこちらを見ているのは気が付かなかった __ 。
「 お ー う ー か ー さんっ! 」
「 ひゃっ、!? 」
カタカタとパソコンで作業をしていると、後ろから桃瀬さんに呼ばれた。
「 ふふっ、びっくりしました? 」
「 も、桃瀬さんっ、!驚かさないでくださいよ … 」
あの一件があってかと言うもの、桃瀬さんも私も、お互い距離が縮まった。
「 すみませんっ 」
「 もぅ … ! 」
「 あ、梅ちゃんがみんなで話そうって言ってましたよ!行きましょう! 」
「 わかりました … ! 」
なんだか接しやすくなった気がするな … 。
桃瀬さんについて行くように、生徒会室の真ん中にあるソファに座る。
その時、梅宮さんがじっとこちらを見ていることに気づく。
ドキドキと胸が高鳴りだし、困惑しながら梅宮さんに声を掛ける。
「 梅宮さん … ?どうかされました? 」
「 え?あぁ、なにも … 」
ハッと我に返った梅宮さんは、すぐに目を逸らした。
「 そういえば、もうすぐで体育祭だな! 」
梅宮さんの発言に驚く。
「 え?もうすぐですか … !? 」
「 あぁ、あと1ヶ月後ってとこだな 」
柊さんが教えてくれる。
「 そうか!桜花は転入してきたからわかんねぇか! 」
すると、梅宮さんは体育祭のことを教えてくれた。
体育祭は今から1ヶ月後で、練習もこれから始まる。
詳しくはクラス内での話し合いで教えてくれるらしいけど … 私話し合いに参加できるのかな。
不安で堪らなかった。
転入してきたせいで、他のみんなより遅れをとっているから。
それに、来月の体育祭が終わったあとは生徒会選挙で、11月から生徒会メンバ ー も変わるみたいだし … 。
そういえば、毎年2年生だけしか受け入れてなかった生徒会選挙も、今年からは1年生も立候補可能になったらしい。
新1年生は立候補するのは来年になっちゃうけど … 。
「 桜花は多聞衆だよな!? 」
「 え … は、はい … ? 」
梅宮さんは嬉しそうな顔をした。
「 う、梅宮さんは … ? 」
「 梅も多聞衆よ!良かったわね! 」
椿ちゃんが言うには、梅宮さんは生徒会長だから毎年くじを引いて衆を決めるらしい。
今年は多聞衆だったみたい。
「 そうなんですねっ、梅宮さん!一緒にがんばりましょう! 」
グッとガッツポ ー ズをする。
「 … あぁ 」
梅宮さんはそんな私を見て、嬉しそうに微笑んだ。
朝の生徒会が終わると、途中まで生徒会みんなで帰ってからひとり教室に戻る。
「 ぁ … 桜花 」
長い廊下を歩いていると、後ろから声を掛けられた。
「 あっ、梶裙! 」
「 よっ 」
珍しく遅く、梶裙が登校していた。
「 おはよ 」
「 おはようっ! 」
「 生徒会か? 」
「 うん! 」
教室に着くまでの間は、梶裙と他愛もお話をしながら歩いた。
教室に着くと、楠見裙も榎本裙も来ていて、挨拶をして席に着いた。
「 2人ぃとも、おはよぅ 」
【 おはよう。一緒に来たの? 】
「 はよ 」
「 おはよう!廊下で会ったから一緒に来たよ! 」
こうしてみんなで集まって話すのは凄く楽しいし好き。
ただ、今日は登校するのも遅かったため、すぐにHRが始まった。
「 と言ううことだからな。… あ、あと … 1限目は体育祭のことについて話すから、実行委員は前に出とけよ ~ 」
体育祭という言葉を聞いた瞬間、クラス中が盛り上がった。
きっと、みんな体育祭が楽しみなんだな … 。
休み時間に入って、教室がガヤガヤしだす。
「 梶裙、梶裙って運動得意? 」
「 ん ー 、まぁ、喧嘩やってるし、一通りは … 」
梶裙の「 喧嘩 」という言葉に耳を疑った。
「 喧嘩? 」
「 ん?あぁ 」
梶裙は驚いている私を、不思議そうに見つめた。
「 何言ってんだ 」とでも言いたげな表情 … 。
【 もしかして、絃ちゃん知らないの? 】
楠見裙も不思議そうにしながら聞いてきた。
「 なんのこと? 」
「 ここの男子生徒のほとんどが不良なんだよぅ 」
「 えっ、そ、そうなの … !? 」
そんなお話 … 転入するまで聞かされてなかった。
「 元々、この学校は不良しかいない男子校だ。だから女子も少ないし、不良も多い 」
「 そうなんだ … 」
女の子が少ないことは聞いてたけど … まさか不良の男の子だらけだったとは … 。
【 絃ちゃん、不良きらい? 】
「 ううん!そんなことないよ!びっくりしちゃっただけ … 。不安にさせてごめんねっ 」
楠見裙が不安そうに私の目を見つめた。
びっくりしちゃったのは事実だけど … だからって不良をきらいになることなんてない。
私だって、お父さんだって、喧嘩はできるし、幼い頃からやってきた。
今更不良だからって切り捨てるなんてことはしないし、したくない。
楠見裙とも、梶裙とも榎本裙とも … 。
みんなとは今まで通り仲良くしたいし、これからもずっと仲良しでいたいから。
それだけで拒絶なんてしない。
でも … きっとお父さんがこのことを知ったら … すぐに地元に引き戻すに違いない。
お父さんは心配性だし、迷惑もかけたくないから … このことは黙っておこう。
そう、自分に言い聞かせ、神に誓った __ 。
遅くなってほんとにほんとに申し訳ありません!!!!!
コメント
1件
全然大丈夫ですよ!🙆♀️今回も最高でした!