ぼふっ! (#ノー_ー)ノ 彡【__】)`ν゚)・;‘. グハッ!
勢いよく投げた枕は、宮本の顔面にクリーンヒットした。橋本の突然の奇行をモロに受けて面食らった宮本は驚きのあまりに、目をパチパチさせる。
「はじめてなのがわかってるくせに、力任せに挿れるんじゃねぇよ。俺のケツの穴は、峠のコーナーじゃないんだからな。もっと丁重に扱え、このクソガキ!」
「ぁあっ!」
「あ゛ぁ?」
突如、眉根を寄せて苦悶した表情になった宮本の意図が理解できず、橋本はただ固まって行方を見守った。
「……ごめんなさい陽さん。はじめての人を抱くのが、実ははじめてだったんです」
「へっ? はじめて?」
「はい。ゆっくり挿れたら、時間をかけた分だけつらいだろうなぁと考えたので、一気に挿入しちゃいました」
「そうだったのか……」
宮本のはじめてが自分だったという事実に、橋本は嬉しくて、口元に笑みが溢れそうになる。
「それよりも俺が無理させちゃったせいで、すごく痛かったですよね」
「現在進行形で結構きてる」
「じゃあ抜きますね。よいしょっと」
橋本が止める間もなく、さっさと抜いてしまった宮本。
「おまえ、イってないのにいいのかよ」
自分だけしっかりイカされているので、橋本としてはちょっとした気まずさがあった。
「ご心配なく。しっかりイキました」
宮本は言うなりゴムを外して、その証拠を橋本の前に突きつけた。
「いつの間に――」
「陽さんが怒鳴ってお腹に力が入るたびに、中がぎゅんぎゅん締まって、すっごく気持ちが良かったんです。しかも極めつけは最後の『クソガキ』のキのところで、吸いつくような締めつけを感じた瞬間、どぴゅってイっちゃいました」
目をキラキラさせながら、誰にでもわかるように説明されても、その良さがまったく伝わらず、橋本は半ば呆れて、白い目で宮本の顔を見つめつつ感想を述べる。
「俺としては、何かしたつもりは全然なかったけど、その……雅輝が早漏なのは、目をつぶってやるよ」
「違っ! 俺は早漏なんかじゃないです。陽さんが名器すぎるんですよ」
「俺のせいにして、早漏を隠すな。むしろ隠す必要はない、うんうん」
「ひとりで勝手に、納得しないでくださいっ。そういう陽さんこそ、いい感じで早かったじゃないですか」
つーん(( ̄_ ̄*)(* ̄_ ̄))つーん
ふたりして、ナニの早さにこだわりすぎて、視線を逸らしたまま無言を貫く。
静まり返った寝室の中、置き時計から秒針を刻む音が聞こえ、それを意識したら一緒にいられる時間の少なさを思い知り、このままじゃいけないと改めて考え直した。
「あの……」
「あのさ……」
逸らしていた視線を戻しながら、宮本が話しかけると、橋本も同じことをする。
「陽さんからどうぞ」
「言い出しっぺの、雅輝から喋れよ」
「アソコ……大丈夫ですか?」
さっきはつらいことを、橋本が眉根を寄せてアピールしていたので、今はどうなのかが気になった。
「それなりに、うん、平気。ほぼ、何もしていない状態だったしな」
「そうですか。よかった」
「持ってるゴミ、とっとと捨てろよ。足元にゴミ箱あるから」
宮本にわかるように橋本がそれを指差したので、手にしていたゴムをちまちま縛り、ティッシュにくるんで捨てさせてもらう。
「ほらよ」
橋本が威勢よく声をかけながら、新品のゴムを宮本の手元にねじ込むように手渡した。
「陽さん?」
「……1回じゃ足りない」
「えっ?」
「おまえ、このまま終わっていいのか?」
互いに上半身を起こしているので、リビングの明かりが顔に反射しておらず、どんな顔をしているのかはわからない。それでも声色だけで表情が想像できるのは、間違いなく同じ気持ちでいるから。
「終わりたくないです。陽さんを抱きたい」
四つん這いで橋本ににじり寄り、そっと唇を重ねた。
「雅輝、好きだ」
「俺も陽さんが大好き。今度は優しく、丁寧に挿れてあげる」
「ははっ。最初はそうしてくれ。だけど――」