テラーノベル
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「……不始末ではありません」
私は真っ直ぐに役員を見据えた。光が、穴の開いたシャツを着て、それでも誇りを持ってステージに立とうとしている姿を思い出す。
「彼は、日比谷くんは私を守ってくれたんです。自分のキャリアが危うくなるかもしれない状況で、真っ当に、一人の人間として。……そんな彼を、うちの会社が『トラブルの元』として扱うのなら、私はこの場所で働く意味を見失います」
会議室に沈黙が流れる。
「……桜川くん。君は、自分が何を言っているかわかっているのか? その男のために、自分の立場を捨てるというのか」
「立場を捨てているのではありません。……嘘をつく自分を捨てる、と言っているんです」
私は立ち上がり、深々と頭を下げた。
「日比谷くんは、何も悪くありません。全ての責任は、私にあります。彼がコンテストに出られるよう、誤解の解明は、私個人が責任を持って行います」
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