君はいつも手に入らない。
あと少しのところで、掴みきれない。
臆病者と言われても仕方ないね。
ダルの髪の毛1本1本の色素も
ほんの少しだけの鉄の匂い。
黒目の小さい目。
大きな黒縁メガネ。
全部全部大好きなんだ。
知ってる。
この気持ちは絶対に叶わないけどさ。
ラ「サトル!私そろそろ帰るね!」
サ「え?あぁ…うん、またね。」
ラ「うん!じゃあね!」
引き止めなきゃ
ダルは行っちゃう。でも無理だ。
いやだ。僕らの『親友』という平和な関係を
崩したくない。崩されたくない。
小さな手を振っている。
嫌だ。行かないで。
言えない。言いたくない。
言いたくなかった。
サ「待って!」
ラ「…?どうしたの?」
あぁ、君は今から告白されるなんて
思ってないんだろうな。
あまりにも無慈悲なくらいに笑顔を見せるから
言いたくなくなる。
ここまできたら言わなきゃなのにさ。
サ「僕、ダルのことが好きだよ。」
サ「好き、大好き、愛してる。」
ラ「え?え?」
戸惑ってる。僕のこの閉じ込めてた大きな感情を
一気に伝えるのは難しい。
でも、言った。言ってしまったんだ。
もう、終わりだな。
ラ「私も、サトルのこと、好きだよ?」
サ「…違う。」
ラ「…? 」
小さく首を傾げる君に本当のことを伝えるのは
まだ、怖くて。突き放す形になってしまう。
サ「僕の好きとダルの好きは違うよ…違うんだ…」
痛い、今、僕は初恋の人に1番辛い形で振られてる。もう二度と戻れない。この関係性になんと名前をつけようか。
ラ「…」
ラ「そっか。」
…なんで、なんで君が泣くんだ!泣きたいのは僕なのに!
ラ「そうだよね、サトルは私の事そう思ってないよね、ごめんね。」
サ「…泣かないでよ。」
泣いてしまったら戻れるかもという可能性が
完全になくなってしまうじゃないか。
ラ「…じゃあね。」
あ、行かないでよ、もう会えないのに。
こんな形でさよならなんて。
やっぱり君は
あまりにも、無慈悲すぎるよ。
忘れるなんて、きっと永遠にできないよ。
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好きすぎるッッ