Chapter6.風の巫女は歌わない
🏜️ 南の砂漠都市・ヴァルナ
黄金の砂が舞い,白い石造りの街並みが陽光にきらめく.
セラたちは,旅の果てにこの地にたどり着いた.
「ここが,ヴァルナ」
ミナがスカーフを抑えながら,目を細める.
「風が,歌ってる」
レオンが手帳を開き,風の流れを読み取る.
「この風……魔力を帯びてる.間違いない,彼女が近くにいる.」
🎶市場の広場
人々が集まる広場の一角,
風に乗せて響く,透き通るような歌声.
その中心にいたのはーー
薄緑色のヴェールをまとい,琥珀色の瞳を持つ女性.
彼女の名は,シエラ.
かつて,”風の巫女”と呼ばれてた,セラたちの前世の仲間.
だがーー
「あの人,記憶が戻ってない」
セラが呟く.
シエラの歌には,かつての力が宿っていない.
ただ,風に寄り添うように,静かに流れているだけだった.
🌪突風とともに現れる影
そのとき,空が唸った.
「……来たか」
カイが剣を引き抜く.
砂嵐の中から現れたのは,魔王の衛兵ーー
”風を喰らう者”と呼ばれる魔獣.
「シエラを狙ってる!」
セラが駆けだす.
「記憶が戻る前に連れ去るつもりね!」
⚔戦闘と覚醒
ミナが風を切って飛び込み,
カイが魔獣の爪を受け止める.
レオンが魔方陣を展開し,セラが結界を張る.
その中心で,シエラが立ち尽くしていた.
「……なに,これ……私,どうして……」
風が彼女の周りで渦を巻く.
「思い出して,シエラ!あなたは”風の巫女”!」
「俺たちと,一緒に戦った!」
セラとレオンの声が風に乗って届く.
その瞬間ーー
シエラの瞳が,琥珀から翠へと変わった.
「セラ……?ミナ……カイ……レオン……」
風が爆ぜ,魔獣を吹き飛ばす.
「遅いよみんな.迎えに来るの,どれだけ待ってたと思ってるの?」
🌅夕暮れ
戦いの後,シエラは静かに空を見上げていた.
「あの時,私は風に祈った.
”もう1度,みんなと会えますように”って」
セラが隣に座る.
「その願い,叶えに来たのよ.
今度こそ,最後まで一緒に」
シエラが微笑む.
「うん.今度は逃げない」
🕶砂漠の夜・焚火のそば
かなめは,焚火の前で腕を組んでいた.
その隣に,ふらりとアルケーが現れる.
「お前,なんでそんな顔をしているんだ?」
「は?どんな顔だよ」
「”自分がやるべきことを,先に越された”って顔」
かなめは火を見つめたまま,少しだけ口をゆがめた.
「……俺はな,魔王になりたかったんだ,でも,世界を壊すためではない.壊させないために,だ」
そう言ってアルケーは笑う
「お前,ほんと変わったな」
「お前は変わってないな.ま,それがお前の強さなんだけどな!」
アルケーがマントを翻して歩き出そうとしたその時,
かなめが腕を組んで,ふてぶてしく言い放つ.
「おい,どこいくんだ?一緒に来な,魔王様(♡) 」
「俺は一人で動くほうが性に合ってる」
「知ってる.けどな,今は”仲間”が必要なんだろ?
魔王のくせに,ちびだな」
「……は?4㎝だろ!?」
「え?魔王としての威厳大丈夫??」
「……お前,今ここで消されたいか?」
ドゴォォォォォォン!!!!!!
ミナの足が空を裂いた.
寝起きとは思えぬフォームで完璧な回し蹴り.標的はーー
かなめの後頭部と,アルケーの鳩尾.
「うるせぇな!静かにしろ!!!」
🩹砂漠の夜・テントの中
「ミナ,無理すんな.骨くっつくまで動くなよ?」
かなめが珍しくまじめな声で言う.
「二人が喧嘩したら止めないとじゃん?で,つい……」
「ついで骨折るなよ...」
アルケーが呆れ顔でため息をつく.
「まったく,最高火力が自滅してどうする」
「僕がいなくたって,ちゃんと守ってくれるでしょ?
2人とも」
「「しゃーなしな?」」






