ようやく作業が終わった。メガネを外し、疲れ切った目に手をあて、グルグル回してほぐす。
時計を見ると、1時間半程時間が過ぎ、時刻は11時過ぎだ。
待たせすぎてしまったと思い、帰る支度をしながら若井に声を掛ける。
「若井ー、遅くなってごめん。帰ろ」
「…。」
「若井??」
返答が無いので、若井の方へ視線を向ける。
振り返ると、少し俯き寝ている若井の姿があった。
「寂しくなるでしょ」とか言ってかっこつけてたくせに…。結局寝てしまう若井がとても愛おしく思う。
「若井、起きて」
時間も時間なので、少し大きな声で若井に声を掛ける。
「…」
…全然起きないじゃんこいつ!!!
声を掛け続けても起きない気がしたので、両手で若井の頬を挟み、俯いてる顔を上にあげる。
「若井おはよ」
「んん”…、」
目を細めてアホ面でこちらを見つめる若井に、思わず吹き出しそうになるのを抑え、手を離し声を掛ける。
「もう帰るよー」
「嘘、寝た俺?」
急にバッと立ち上がり、
「うん、しかも結構深い眠り」
「えぇ、かっこ悪い…」
寝て乱れた髪の毛を、ワシャワシャしながら若井が言う。
「そうだよ、せっかくカッコつけたのに」
少し笑いながら言うと、若井が頬を赤く染めていた。
「ほら、帰るよ」
俺は、若井の手を引きスタジオを後にした。
マネージャーの車に乗り、それぞれの家へ向かう。目は合わないが、ずっと繋がれている手に何だか不思議な気持ちになる。
数分後、俺のマンションに到着した。
「じゃーね、若井。また明日」
そう言いながら、握手する形で手を上下に動かす。
「またね。ちゃんと寝るんだよ」
若井は少し照れくさそうに微笑み、俺の手を離す。
寂しく名残惜しい感情に駆られ、俺はもう一度若井の手を握り返す。
若井がキョトンとした顔でこちらを見つめるので、俺は悪戯っぽい顔で笑ってみせた。
「何??どうしたの??」
耳を赤色に染めてこちらの様子を伺う若井。
ほんとにこういう所鈍い奴。
「なんでもない。じゃあね」
俺は恥ずかしくなり、何も無かったように装う。
「ほんとかよ笑。まぁ、じゃあね」
少し勘づく若井を車に押し入れ、夜の冷たい風に吹かれながら、車を見送った。
包容力がありつつ、鈍感というか、抜けてるというか、そんな若井さんとても可愛らしいなって。(個人的に)
ゆっくり頑張りますーーーー。
コメント
2件
うんー!!可愛いね!若井さん! 一生懸命何かをしたい感じが出ていて可愛い✨