⚠ご本人様とは一切の関係ございません
基本🟪視点のみ(🟨🟪)
学パロ
®️なし
𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄
🟪「………は?」
間抜けな声が口から垂れる。てっきり説明のないことの不満やら何やらで怒られるのかと思っていた。だが彼の口から出てきた言葉は、予想のはるか斜め上から降って落ちてきた
🟪「は、…な、何を言ってんだお前?」
🟨「何って…別に、そのまんまの意味だけど」
何も無い教室に、彼のやけに硬い声が反響する
そのままの意味、つまりはなかむを恋愛的な目で見ているのかということだろう。あまりに飛躍しすぎている質問に理解が追いつかない。そんな話をここ一週間でした記憶もないし、彼がその答えを聞きたがる理由も浮かばなかった
🟨「…で、どうなの」
🟪「まて、質問の意図が全く分からん」
「仮に俺が答えたとして……それがお前の何になるんだよ」
🟨「いいから答えろって」
「じゃないとなかむのところ行かせないから」
何を求めているんだこいつは。お前からすれば、俺なんてただの友人のうちの一人だろうに
何が引き金で彼はここまでの事をしているのだろう
思い返せば二年の頃、初対面だというのに、初手から色々な事を聞かれた気がする。誕生日はもちろんの事、休日何してるのだとか、どこに住んでるの、とか。そこから派生して、登下校を共にすることになった記憶がある
ゼロ距離なのは日常茶飯事、 昼食だって、グループ活動だって、年中行事の時でさえ別れて行動した記憶が無い。隣を見れば必ずと言っていいほど彼がいて、何をするにも彼が一緒だった
俺が他の人間と話していればやって来るし、今日みたいにゴネられることも多かった
これが俺ではなくなかむとかならば、こんな状態になんてなることは無いのだろう。中学からの友人であるにも関わず、俺と彼のような距離感覚では無いことを日頃の様子から知っていた
─この状態は中々にマズイのではないか?
己の恋愛感情そっちのけで考えてみる。どう考えてもマズイ、明らかに友人の域を超えている
…仮に彼が片想い先と結ばれたとして、いわゆる彼女の立場の人間が、友人との距離が近すぎるところを目撃したとして、果たしてどう思うのだろうか
俺ならきっと、耐えられない
🟪「なあきりやん、」
「……ちょっとだけ距離を置いてみないか、俺たち」
🟨「…え、は?な、何でだよ!?」
「まって意味わかんないんだけど、てかなんで急に…っ」
機嫌の悪そうな表情から一転、彼は驚愕の表情を浮かべていた。焦燥とも取れそうな態度、こんな事を唐突に言われればそうなるか、と他人事のように考える
🟪「…いいか、俺とお前は”友人”なんだよ。分かるか?」
自分で言っておいて胸にズキ、と鈍い痛みが走る。構わず言葉を続けた
🟪「お前と一緒にいるのは楽しいよ。でも…ちょっと、距離が近すぎやしないか?」
「…それにさ、」
呼吸を整える。声が震えないように、あくまで冗談を言うような声音と表情で、彼に言葉を紡いだ
🟪「……残りも数えるくらいしかないんだからさ、俺に時間使うくらいなら、…好きな子にアタックでもしてみたらどうなんだ?」
眼鏡越しの瞳は大きく見開かれ、明らかに動揺の色を濃く見せていた
あの時、俺が扉越しにいたことは当然知らない。この反応になるのも無理はないだろう
🟨「…何、で…っ?」
🟪「4月終わるくらいか?たまたま話してるの聞こえたんだよ、お前ら窓閉めてんのに貫通して聞こえてたんだからな?」
声に調子がついていることに安心した。大丈夫、きっと隠せている
彼はいつの事か分かったらしい、苦虫を噛み潰したような顔をしている。よほど聞かれたくなかったことなのか、今にも膝から崩れ落ちてしまいそうな勢いだった
🟪「誰、なんて聞くつもりは毛頭ない。ただ俺との距離はもう少し考えた方がいいってだけ」
「…もういいか?なかむも待ってるし、教室に荷物取りに行きたいんだけど」
この場に居続けることを身体が拒否している
早々にに切り上げるべく、彼に背中を向けて扉へと向かおうとした
その時、いきなり右腕を捕まれる。その反動でよろめいてしまい倒れてしまう
着地先は幸か不幸か、彼の胸元だった
🟨 「ねぇ、まってよスマイル…!」
「勘違いしてるよお前、だから話を聞いてくれ─」
🟪「何が勘違いだってんだよ、何も間違ってねえだろ…!」
至近距離で話す彼の声は、あまりに弱々しい。何で、なんでお前がそんな声出してんだよ
お前のせいで、俺は、こんなにも苦しくて、決意すらも揺れて、今にも全て、ぶちまけてしまいそうだというのに!
上半身に腕が回される前に、勢いよく振り切って彼と距離をとる。そのまま唖然とする彼を睨みつけた
🟪「…なかむも、お前も!俺からすれば友人のうちの一人なんだよ!」
「なあ頼むよ、これ以上俺に言わせないでくれ…、」
彼は今どんな顔をしているのだろう。視界に映る足元から、表情なんてわかるはずもない
自らの恋心を自らが否定することは、こんなにも苦しいものなのか。何かきっかけさえあれば、せきが切れたように溢れてしまうだろう感情を懸命に抱きとめた
🟪「………とにかく、期末明けまでは俺はお前と帰らないし、距離もとる」
「…雨が酷くなる前に帰れよ、きりやん」
彼は何も言わなかった。唇をきつく結んで、固く拳を結び佇んでいるだけだった
そうして視線も交わらぬまま、俺は空き教室を後にした
階段を降り、廊下を進む。引きずるような足取りは次第に速度を上げ、ついには走り出していた
荷物をひったくり、勢いのまま自習室へと向かう
扉が壊れてしまいそうなくらい強く開け放つ。それに驚いたのか、体を強ばらせるなかむがそこにいた
⬜「〜っ、…なんだよスマイルかよ!驚かせやがって!」
「……スマイル?」
肩で息をしながら、言葉を絞り出そうと息を吸う
けれど、それを口にするにはあまりに残酷で、しかし先程の出来事を鑑みれば必然的すぎた
足から力が抜ける。そのままへたり込んでしまったものだから、何事かと言わんばかりの足音が近づいてきた
⬜「どうしたんだよスマイル─」
🟪「なかむ、俺、、おれ、もう、…っ」
蚊の鳴く声より小さな俺の声は、いとも簡単に窓越しの雨音にかき消される
そういえば昨日、梅雨入りだなんだとニュースで言っていたような。どうだっただろうか、曖昧にしか思い出せない
その日最後まで頭の端に残っていたのは、きりやんは雨が酷くなる前に帰れたのだろうか、と心配する思いだった
続く
コメント
7件
今回も最高過ぎました…。 毎回言ってるけど本当に文が 綺麗と言うか凄くて読みやすいです!!頑張って下さい✨✨