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「一つ問いたい…」
奏斗はキャンバスの前で筆を転がしながら。僕に話しかける。
「芸術とはなんだ?…私の環境の問題かもしれないが、よく『芸術とは自己表現の世界だ。自己表現するために人は絵を描く』と言われた…」
うちの美術教師がよく言っている言葉だ。
「 ならば自己表現というものにも、採点基準があるのだ…」
「しかしそれに私は疑問を持つ。自己表現に点数なんて、採点なんて、ふざけた話だ。私は絵を描くことが好きだ。楽しいからね。いっその事自己表現で生きていきたい。けれどね。私は、私の絵はその採点基準を満たしたことがないのだよ…」
そういいながら筆をキャンバスに走らせた。
「で、なんで僕を呼び出したの?」
「…回りくどいことはやめだ。私は!イケメンだ!」
そうだ、確かにそうだ。かなりいい顔立ちをしている。女子にも一定数人気がある。
「しかし!キモイと言われた…」
事実である。気持ちが悪い
「なぜだ。なぜ、モテなくてもいい。しかし私は嫌悪感を示されるのがとてつもなく不快でならない。」
「それは、奏斗は癖が強いからじゃないかな?」
「癖が強い?…」
「目立つというか変わっているというか」
「ならば問おう…癖が強いとはなんだ…何が基準なのだ?…基準が分からないのだよ。変わっているというのも、芸術も…」
「僕もそれは分からないよ、でもね普通は美術室の鍵を美術部でもないのに持っていないし。勝手にキャンバス出さないし。絵を描く気もないのに筆を回さないし。そもそもここに来て1時間たっているけど。自由帳にドラえ〇ん描いただけじゃないか」
「芸術は難しいよ…」
少し、しょんぼりしながら美術室の鍵を閉めた。
「そうだね。」
「明日は調理室で、クッキーを作るよ…ぜひ来てくれたまえ…」
「許可はとったの?」
「この私が使うのに許可がいるのかい?…」
「なんでそんなに自分に自信があるんだよ。」
「全く仕方ないね…まぁ許可を取るのは、面倒くさいし取れる気がしないから、黙っていよう…」
「帰ろうよ、今日奏斗の家行っていい?」
「いいよ…」
「親いないよな?」
「お母様もお父様も仕事に励んでいる頃だろうね…」
そうして僕たちは奏斗の家へ行くことになったのだが。
「おかしいね。私の家につかないよ…」
「道間違ってないと思うんだけどな、」
間違ってはいない。まずいつも家に帰るのだから、ほぼ道を間違える可能性はないし。何より僕も何回も行ったことがあるから、間違っていたら気づくはずだ。
「一旦僕の家にいくか」
「スリッパはこれを使ってもいいね?…」
「ん、どうぞ」
「さて、困ったね。明日授業で使う道具は、全て家だ…」
「置き勉派じゃなかったか?」
「エプロンがないのだよ…」
「あ、そうか明日調理だ。」
「仕方ないね、布あるかい?…」
「え?ないけど。」
「じゃあ明日朝一番に学校に行って家庭科室で縫うとしよう…」
「まぁ、そうしな」
「ダメ元でもう一度行ってみるよ…」
その後僕も一緒に何回も何回もやったけど家には帰れなかった。
「今日は僕の家に泊まりな」
「お言葉に甘えることにするよ…」
夜
「おーい、お風呂」
「なぜ、なぜ家に帰れないのだ…私はなにかしてしまったのだろうか…」
「そうだよなぁ。親は。家に帰れてるの?」
「2人とも今日は仕事で帰らないんだ…連絡だけはいれたよ…家が見つからないとまでは言わなかったけれどね…」
「どうやら本当みたいだなぁ。役に立つかは分からないけど。とにかく楽しくはなりそうだ。ふん、いい気味だ。柊 奏斗」
つづく。