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──ネグとマモンがようやく目を覚まして、布団を抜け出すと、眠そうにふわふわと歩き出した。だぁが止めようとした時にはもう遅く、2人はそのままクローゼットを開けようとする。
「おいおい、待てって。着替えはあとで――」
だが、ネグがぼんやりとした目で振り返り、ぽつりと頼む。
「だぁさん……服、貸して?」
続けて、マモンも小さく口を開く。
「だぁ……服、貸して?」
その瞬間――だぁは胸を押さえたくなるような衝動に襲われた。
(ああもう……無理……その声……その顔……)
「……わかった。」
結局、言うがままに自分の服を貸すことになった。
ネグとマモンはお揃いで、だぁのゆったりしたグレーのトップスを着て、
ネグは短パン、マモンは長ズボン。
2人は服を身につけた途端、嬉しそうに顔を見合わせた。
「ぶかぶかぁ……♡」
ネグは袖をひらひらさせながら、少し頬を赤く染める。
「だぁの匂いする……♡」
マモンはその服の裾を指でつまんで、顔を伏せ気味に言った。
だぁはその光景を見たまま、完全に言葉を失ってしまった。
声を出すどころか、息すら忘れてしまうほど――。
(あー……やばい……ほんと、これ……)
(破壊力強すぎる……)
そのまま3人は階段を降りようとした時、ちょうど夢魔とすれ違った。
だぁは一言だけ、夢魔に呟いた。
「破壊力……強かった。」
「……は?」
夢魔は眉をひそめたまま首を傾げていたが、すぐにネグとマモンが後ろからひょこっと顔を覗かせた。
「夢魔〜♡」
ネグが眠たげに手を差し出す。
マモンも、同じように手を伸ばす。
「ん……?」
夢魔が不思議そうにしていると――
「はいたっちぃ♡」
2人は同時にニヤリと笑いながら、夢魔の手に軽くタッチした。
その笑顔の柔らかさと甘さに、夢魔は一瞬で思考停止した。
「……は?」
夢魔は口を半開きにしたまま、目の前の2人を見つめるしかなかった。
だがそれだけで終わらない。
ネグが顔を覗き込む。
「だいじょうぶ?」
マモンも、真剣な顔で。
「眠い? 痛い?」
そんなふうに心配そうに顔を寄せられて、夢魔はもう反応できなかった。
しまいには、ネグがマモンの手を引いて、夢魔の手をそっと握る。
「痛いの痛いのとんでけ〜笑♡」
2人で声を揃えて、そう言った。
その瞬間――夢魔は完全にピシッと固まった。
(……かわいすぎる……)
喉まで出かけたその言葉を、必死に飲み込んで――夢魔は手で顔を隠し、小さく呟いた。
「……あ、うん、アリガト……」
ほんの僅か、震える声で。
そしてそのまま、静かに背を向けた。
顔が見せられないほど、頬が熱くなっていた。
夢魔は無言のままリビングへ向かったが、内心は――
(無理だろ、あれ……どう考えても反則だろ……)
と、叫びっぱなしだった。
──その頃、すかーとだぁはそれぞれ別室で静かに座っていた。
だぁはまだ胸を押さえたまま、頭を冷やすように額を押さえていた。