俺が家に着いた所、クソ生意気な妹が待ち受けて居た。
千佳「げっ…。クソ兄貴…」
健二「…んだよ…?」
千佳「べ、別にぃ~?」
健二「…?」
ったく…。感じわりぃなぁ…。相変わらず。
千佳「………」
母親が買い物から帰って来るまで、俺は部屋で一眠りする事にした。
健二「おい。俺、部屋に居るから。母さんが帰って来たら、呼んでくれ」
千佳「あっそ。勝手にすれば?」
健二「………」
この時の俺と千佳は、町中が変異している事に気付いていなかった。
その日の夜。
「…ニキ…。ねぇ…」
「起きて!兄貴!」
うぅん?うるせぇな…。なんなんだ?一体?
健二「んだよ…?」
千佳「もうこんな時間なのに、お母さんが一向に帰って来ない」
健二「は?今、何時だ?」
千佳「十時…」
健二「十時!?なんで、もっと早く起こさねぇんだよ…」
千佳「…………」
健二「もういい。おら、探しに行くぞ?」
千佳「え?アタシも?」
健二「当たり前だろ?」
ドンッ
健二「ん?帰って来たみたいだぞ?」
母親「………」
健二「母さん。遅かった、な…!?」
母親「ヴ…ヴヴ…ぁ…あ…!!」
健二「う、うわああああ!!」
千佳「キャアアアアア!!」
慌てて帰って来る父親。
父親「千佳!健二!」
二人を庇い母親に噛まれる父親。ガブッ
父親「ぐあああ!!」
健二「っ…!ウラァ!」
母親の首を切断する健二。ザシュッ
千佳「キャア!!」
健二「親父!大丈夫か!?」
父親「はぁはぁ…。早く逃げなさい…」
健二「は?何、言ってんだよ!」
父親「言いか!よく聞け!この世界は…。いや、この町の住人のほとんどがゾンビと化した!」
健二「は?何だよ。それ!」
父親「俺も長くは持たない…。いずれは、俺もゾンビとなる…。お前達は、早く逃げなさい!」
千佳「お父さん!」
健二「行くぞ!千佳!」
千佳「嫌!アンタと一緒になるくらいなら、アタシもここでお父さんと…!」
健二「バカ野郎!身を張ってまで、俺達を守ってくれた親父の気持ちを無駄にする気か!」
千佳「っ…!」
父親「千佳。行くんだ!」
千佳「お父さん…。ごめんなさい…」
家を飛び出す二人。ダッ
父親「千佳…。『ごめんなさい』じゃない。『ありがとう』だぞ…。はぁはぁ…。生き…伸びろ…よ…。我が子…達…よ…」
つづく
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