神風からのメッセージを無視して、なんとか自分を落ち着けた。今日の休日こそ、ゆっくり過ごすんだから。あいつのことなんて考えないで、静かに一日を終わらせる。
リビングでテレビをつけて、適当な番組を流し見する。やっぱりこうして一人で過ごすのが一番だ。誰にも邪魔されず、心の中も平和なまま。…だけど、やっぱりなんか物足りない。
さっきまで、頭の中でしつこく神風の声が響いてたからか、急に静かになって逆に落ち着かなくなってる自分がいる。これってどういうこと?
「いや、あいつのことなんて気にしなくていいんだって…」自分に言い聞かせながら、リモコンを握りしめる。チャンネルを変えても、どの番組にも心が動かない。もしかして、神風のことが気になってる?
「ないない、絶対ない!」自分の声が少し大きく響く。なんであいつなんかのことでこんなに頭を悩ませなきゃいけないんだ。あいつのことなんて、何も考える必要ない。そもそも、好きでもなんでもないし。
「……でも、ほんとにあいつ、どんなつもりなんだろ?」そんな疑問がふっと頭に浮かんでしまう。最近の神風は前よりも、なんというか…しつこい。以前はただうるさく絡んでくるだけだったけど、最近は少し違う。どこか真剣な表情を見せる瞬間が増えてきた気がする。
「……はぁ、面倒くさい」ため息をついて、ソファに体を沈めた。考えても仕方ないのに、結局またあいつのことを考えてる。休日くらいは、あいつのことから解放されたいのに。だけど、どうしてだろう。あいつが頭から離れない。
スマホが一瞬光った。また神風からのメッセージかと思って、心臓が少し跳ねる。でも、見ればただのニュースの通知だった。なんだか少しがっかりしてる自分に気づいて、思わず自分の顔を手で覆った。
「バカじゃないの、私…」なんで神風なんかにこんなに振り回されてるんだ。いつもだったら、すぐに無視して終わりなのに。今日は何が違うんだろう?
ふと、昨日の詩音との会話を思い出す。あいつは冷静で、いつも俺に的確なアドバイスをくれる。神風について相談した時も、「神風はそういう性格なんだから、気にする必要はない」って言われたっけ。でも、詩音の言葉を聞いても、どうしても神風のことを完全に気にしないなんて無理だ。
「詩音は、ああやってサラッと言えるからいいけどさ…」私は違う。私は、なんでこんなに神風のことが気になってしまうのか、自分でもわからない。別に好きじゃないのに、ただあいつのしつこさがうざいだけなのに。
もう一度、スマホを手に取ってメッセージを確認する。神風からのメッセージはそのまま既読をつけていない。まだ返事してないし、返す必要もないんだけど…やっぱり何かしら返した方がいいのかもしれないって、少し思う自分がいる。
「……面倒くさいけど、一応返すか」ため息をついて、スマホのキーボードに指を滑らせた。「今日は無理。もう少し静かにしてくれると助かる。」送信ボタンを押した瞬間、心が少しだけ軽くなった気がする。
でも、これで本当に神風が静かになってくれたら、それはそれで少し寂しいかもって思う自分もいる。ほんと、どうしてこうなっちゃうんだろうな。