テラーノベル
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少しして、車は人気のない脇道へ入り、木立に囲まれた細い道の途中で静かに停まる。
エンジン音だけが車内に小さく響く中、昴はシートベルトを外すと、静かに羽衣子へ向き直る。
「……昴さん?」
「羽衣子――」
低く穏やかな声に促され、戸惑いながら見上げる羽衣子の頬へ昴の手がそっと触れた。
「……っ」
その温もりに羽衣子が息を呑んだ次の瞬間、昴の指先が顎を優しく持ち上げ、
「昴さ――」
羽衣子の呼び掛けが最後まで続くことは無く、昴はそのまま静かに唇を重ねていった。
「……っん、……」
ふいを突かれた羽衣子は目を見開いたまま固まるも昴は唇を解放せず、角度を少し変えながら何度も唇を重ねては離してまた触れる。
「っん、……っはぁ、……」
初めは軽く啄むようなキスだったものの、それは徐々に激しさを増していき、息継ぎの為に口を開きかけた羽衣子の咥内へ昴の舌が割入れられた。
「――ッんん、」
舌を絡め取り、頬を赤く染めて戸惑う羽衣子を前に昴は、これ以上してしまうと止められなくなると思い、名残り惜しげな表情を浮かべつつ唇を解放した。
「……っはぁ、はぁ……」
「……悪い、お前があまりにも可愛いことを言うから、我慢出来なくなった」
「……っ、」
昴の声はどこか甘く、羽衣子は何も言い返せないまま息を整えていく。
「……謝らないで……ください……その、嫌じゃ、無かったので……」
「お前のそういうところ、無自覚なのか計算なのか分からねぇけど、タチが悪いな」
「え……」
「そんな表情してそういうこと言うんだ、タチが悪過ぎる」
「えっと、そういうつもりは……」
「分かってる。お前はそういう女じゃねぇよな。もう一度、キスしていいか?」
「……っ、……」
ハッキリ言われるとそれはそれで緊張する羽衣子は答える代わりに俯き加減にコクリと頷くと、羽衣子のシートベルトを外した昴は再び彼女の唇に自身の唇を重ね合わせていく。
「……ッん、……はぁ、……っんん」
恐らく人は来ないであろう場所ではあるものの、外でこういうことをしていて誰かに見つかるかもしれない緊張感や、強引で少し乱暴な口付けが羽衣子の心をかき乱す。
(……こんなところでこんなこと……)
そう思う程に胸は不思議なくらい高鳴っていき、羽衣子は昴のキスをただただ受け入れていく。
昴の方も、こんな場所でキスをしてしまえばそれ以上のこともしたくなると分かっているのに、理性が利かず、ただ自分の欲望のままに行動してしまっていた。
何度も何度も唇を重ね合わせ、舌を絡め、厭らしい水音が聞こえてくる中、昴の手が羽衣子の身体へ伸びていったその時、昴のスマートフォンの着信音が鳴り響いた。
「……っ、すば、る……さ、……っでんわ、……」
「いいから――」
「――ッ」
それでもなかなか止めようとしない昴に羽衣子が途切れ途切れに言葉を掛けるも止まる気配が無い。
そのまま流され続けていた羽衣子だけど、昴の着信の後に自身のスマートフォンの着信が鳴ったことで、二人は電話の相手が乙哉なのではと気付いたようで、
「…………っ、悪い……電話、多分乙哉だろう」
「…………っはぁ、……はぁっ」
名残惜しげに唇を離した昴は自身のスマートフォンを取り出しながら言った。
「……っ、そう、ですね……広瀬さんからです」
「やっぱりな。俺が掛けるから」
「はい……」
昴が折り返し掛け直すと、希海が昴や羽衣子を恋しがり始めたというので束の間の二人の時間は終わりを告げ、博物館へ二人を迎えに行くことに。
車内では少し気まずい空気が漂っていたけれど、二人の手は繋がれたまま。
「一泊するの、再来週辺りにするか」
「……は、はい……」
「それまでに場所も決めておくから」
「……楽しみに、していますね」
「ああ」
恋人同士になったとはいえ、まだまだぎこちなさはあるものの、今の二人の中には幸せな気持ちが溢れていた。
#片思い
#シークレットベビー
鷹槻れん

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#ヤクザ
夏目萌*優しい彼~コミカライズ
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コメント
2件
みぅです🤍🥀 64話、読み終えました…この二人の空気感、本当に好きです。昴さんが羽衣子さんに対して「我慢出来なくなった」って言葉に甘さと抑えきれなさが混ざってて、ドキドキしました。車内の緊張感と、電話で現実に戻される切なさ。それでも手を繋いだままなのが、もう恋人同士なんだなってじんわり伝わってきて…再来週のお泊まり、楽しみですね。乙哉くんからの電話のタイミング、憎いっす😌💞