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📖 第二十章:「触れたくなる距離」
(○○視点)
朝。
窓から差し込む光が、やけに柔らかく感じる。
教室に入ると、いつものざわめき。
でも今日は、それが少し遠くに感じた。
○○:(……なんか、変)
理由は分かってる。
一つだけ、はっきりしてること。
○○:(冴のこと、気にしてる……)
席に座る。
無意識に、扉の方を見る。
ガラッ
冴が入ってくる。
○○:(……来た)
一瞬、目が合う。
昨日より、少し長く。
○○:「……っ」
逸らされる。
でも——
○○:(今、ちょっと長かった……)
それだけで、胸がじんわり熱くなる。
――――――
授業中。
視線が気になる。
勇気を出して横を見る。
冴と目が合う。
同 時に逸らす。
○○:(……見てた)
確信に変わる。
胸が、大きく鳴る。
――――――
休み時間。
また視線。
振り返る。
冴と目が合う。
今度は——逸らさない。
数秒。
○○の方が先に逸らす。
○○:(……なにそれ……)
頬が熱い。
悔しいのに、嬉しい。
――――――
昼休み。
階段の途中。
冴が来る。
隣に座る。
沈黙。
でも、嫌じゃない。
風が吹く。
冴の手が動く。
髪に触れかけて、止まる。
冴:「……ついてた」
○○:「……なにが?」
冴:「……ゴミ」
○○:(……絶対違う)
でも、それ以上聞けない。
距離が、一瞬だけ消えかけた。
――――――
放課後。
消しゴムを拾う。
同時に手が伸びる。
触れる指先。
今日は、少し長い。
目が合う。
近い。
冴:「……」
何も言わないまま、離れる。
○○:(……今の……)
言葉がなくても、伝わる何かがある。
――――――
帰り道。
自然と隣にいる。
沈黙が、心地いい。
指先が触れる。
避けない。
○○:(……もっと、近づきたい)
夕焼けの中。
距離は、確かに縮まっていた。
――――――
(冴視点)
朝。
教室に入る。
いつも通りのはずだった。
でも——
冴:(……いる)
○○の姿が、すぐに目に入る。
無意識だった。
気づいた時には、見ていた。
目が合う。
一瞬。
逸らす。
冴:(……何やってんだ)
自分でも分からない。
昨日から、少しおかしい。
――――――
授業中。
黒板を見る。
ペンを動かす。
それなのに。
意識が、横に引っ張られる。
冴:(……なんで)
気づけば、見ている。
○○の横顔。
ノートに向かう姿。
少しだけ止まる手。
その瞬間。
目が合う。
同時に逸らす。
冴:(……見てたの、バレたな)
でも。
嫌じゃないと思った自分に、少しだけ戸惑う。
――――――
休み時間。
ふとした瞬間。
また視線が向く。
○○が振り返る。
目が合う。
逸らさない。
冴:(……なんで逸らさないんだ)
試すみたいに、そのまま見る。
数秒。
先に逸らしたのは、○○の方。
冴:(……逃げた)
そう思ったのに。
どこか、ほっとしている。
自分でも意味が分からない。
――――――
昼休み。
階段の途中。
○○がいる。
一人。
少しだけ迷う。
でも、足は止まらなかった。
隣に座る。
沈黙。
でも、不思議と落ち着く。
風が吹く。
髪が揺れる。
冴:(……触れそう)
気づいた時には、手が動いていた。
でも——
止める。
冴:「……ついてた」
適当な言い訳。
自分でも分かってる。
冴:(……何してんだ)
触れたかっただけ。
その事実に、少しだけ息が詰まる。
――――――
放課後。
消しゴムが落ちる。
手が伸びる。
同時。
指先が触れる。
冴:(……また)
離さない。
ほんの一瞬だけ。
そのまま。
目が合う。
近い。
冴:(……近いな)
何か言おうとして、やめる。
言葉にしたら、崩れそうだった。
静かに手を離す。
冴:(……危ない)
距離が、想像よりも簡単に縮まる。
――――――
帰り道。
隣にいる。
自然に。
何も言ってないのに。
冴:(……なんでだ)
でも、離れる理由もない。
歩幅が揃う。
沈黙が続く。
嫌じゃない。
むしろ——
落ち着く。
ふと、手が触れそうになる。
避けられると思った。
でも。
避けなかった。
冴:(……あ)
指先が、かすかに触れる。
そのまま。
離さないわけでも、繋ぐわけでもない距
離。
冴:(……これでいい)
はっきりした形じゃない。
でも。
確かに、そこにあるもの。
夕焼けを見る。
その隣に、○○がいる。
冴:(……もう少しだけ)
完全じゃなくていい。
でも——
冴:(……離したくないな)
初めて浮かんだ、その感情に。
少しだけ、目を細めた。
――――――
END
コメント
1件
家族の前でニヤけてしまった✌️