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サイド ユズ
ごめんなさいごめんなさいごめんなさい。
「また謝ってるの?パパ、ママ」
また……?違う。謝っているのはユズだ。だって、もうどっちもこの世にはいないもん。
そうだよ。パパとママはもういない。私の誕生日の翌日に宙ぶらりんになっていた。
ユーレイごっこしてるのかな?って最初は思った。
首の輪っかの意味に気付いて、泣き叫んだときにはもう手遅れで。たった一枚のメモを残して、遠くに行っちゃった。
“ごめんなさい。パパとママを許してね。”
メモに書かれたその言葉。最後まで謝ってばっかりだった。
お金を借りていたんだって、それも、凄いたくさんの。
イサンのソーゾクホーキをしたから、もう払わなくていいって、ベンゴシさんって人が言ったのに。
追いかけてくるの。
もっとお金を払えって。払えないなら働けって。
私を引き取ってくれたダイキ兄の家にも、来たの。迷惑かけたくなくて、家出したの。
泥水を飲んで、ゴミを漁って、服とか本とか全部売って。
……この帽子だけは、売れなかったけど。
捕まりたくなくて、わざと施設にも入ったなあ。
それでもしつこく追いかけてくるの。まるで執念深い蛇みたいに。
ごめんなさい。ベンゴシさんが嘘つきだって分かっていても、きっとユズは逃げただろうから。
……ユズが産まれたから、ユズのパパとママがいなくなったんだって。
ごめんなさいごめんなさいごめんなさい。
迷惑かけてごめんなさい。
パパとママを追い詰めちゃってごめんなさい。
……産まれてきて、ごめんなさい。
「ねえ、ごめんなさい……!どうしたらユズを許してくれますか?」
ついに我慢出来なくなって、私はそう言った。
「なら、金を稼げ。そうだな……コイツを連れて来たら考えてもいい」
そう言って渡されたのは一枚の写真。
荒んだ目をした、金髪の美少女だった。
「ああ、コイツは心が読めるらしいから気をつけろ」
「……考えさせて、ください」
「……親のように、なりたいか?」
──────!!
私は、走り出した。走って走って、走って……その後の記憶が思い出せない。
ただ、転んだときの痛みで気がついたときには、日が暮れていて、あの人たちがどこにもいなくて。
「う…………」
ごめん、なさい。