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⚠️スクショ、拡散、二次配布、全て❌でお願いします











桃「じゃ、行ってくるね!」


青「…うん、気をつけてな」



パタパタと城へ向かう彼に、手を振る。


突然だが俺は、転生者だ。

前世は、こんなメルヘンな城とは程遠い、日本という国で暮らしていた。


今世で二十数年過ごして、分かったことがある。

それは、この世界が絵本の『シンデレラ』の世界であるということだ。

俺もなんとなくしか覚えていないが、確か絵本の『シンデレラ』は、「義姉たちに虐められ、ボロボロの服で掃除をさせられていたシンデレラが、魔法使いの魔法で出来た美しい服に身を包み、パーティに参加する。王子と良い雰囲気になるも、魔法は12時の鐘が鳴ると同時に解けてしまう。急いで帰ったシンデレラは、片方のガラスの靴を落としていき、それを拾った王子がシンデレラを見つけ出し、結ばれる…」というストーリー。


そしてもう一つ、分かっていることがある。

今城へ向かった彼は、どういう訳かこの世界の『シンデレラ』らしいということだ。

もっとも彼は、芯の強い性格が影響してか義姉にいじめられても全くへこたれることなく生活をしていたが。(一度俺が様子を見に行った時は、「いや俺にだけ当たり強いのおかしいだろ」などと対抗心を燃やしていた)

これに気付いたのは、もう随分と前だ。

ある夢を見たのが始まりだった。

それは、王子と彼が結婚する夢だ。

2人が並んで、手を振って、多くの国民に祝福される。

そんな夢。

幸か不幸かこの世界は同性愛に偏見がない。

その夢は、近い将来実現するに違いなかった。

まぁそんな訳で、彼はストーリー通りパーティに参加することとなった。

それが今日である。

ストーリーの節目であり、大事な日。

そんな日を迎えた俺の心持ちは、非常に灰暗いものだった。


なぜならば、俺は、彼に恋をしてしまっているからである。

それはもう、がっつり、思いっきり。

今日のパーティも、本当なら、行くな、と声を掛けたかったくらいに。

与えられた魔法使いという役を捨てて、何度も何度も、彼を、シンデレラを、自分のものにしようと考えた。

けれど、その度に頭によぎるのは、彼の、王子と結ばれて笑う幸せそうな顔。

夢の中で見た、弾けるような笑顔。


青「…」


今日が終われば、俺はお役御免。

シンデレラと王子は結ばれて、ハッピーエンド。

残念ながらそれを笑顔で見届けれるほど俺の心は広くないので、 魔法が解ければもう、俺がこの街に来ることはないだろう。



ーー12時の、鐘が鳴った。

あいつの魔法は今頃、解けていることだろう。

…同時にこの、俺にかかった「彼を好きになる魔法」も解けてしまえばいいのに。

鐘が鳴り止む頃になっても、魔法は解けなかった。


青「……終わりやな」


……これから、どこに行こう。

魔法使いなんだから、職には困らない。

どこへだっていけるだろう。

隣に、彼が…居なくとも。

彼には幸せになって欲しいけれど、王子と2人でいる姿を見るのはきっと、耐えられないだろうから、出来れば、遠くへ行きたい。


青「……」



ーーしばらく脇道を歩いた。

国境を超える前に、ちょっと休憩を挟む。

なんでも魔法に頼りきっていたせいで、俺の身体は運動不足を加速させているらしい。

いっそかぼちゃの馬車作るか…なんて、そんなこと目立つからしないけど

…ないこ、今頃上手くやっとるかな

まぁ、なんだかんだ上手くやるタイプだから平気だろうけど



桃「やっと見つけた!」


青「……は?」


茂みから勢いよく現れた桃色。

それはここにいる筈のない人物。

魔法が解けて既に普段着のないこだった。

この後に及んで、会えて嬉しい…なんて思ってしまう頭をブンブンと振る。


青「…っお前、なんでここに居るん?!」


桃「なんでって、まろに、会いに来たんじゃん」


青「っ王子は…てか靴は?!ガラスの靴、ちゃんと片方置いてきたんやろな?!」


勢い良くないこの肩を掴む。


桃「靴??城に入る前に捨てたけど」


桃「……はっ??」


思考が停止する。


桃「いやあれ硬すぎて、歩くと足が痛いのなんのって… 」


青「っじゃあ靴はどこに…」


桃「さぁ?魔法と一緒に消えたか、その辺に落ちてんじゃない?」


青「……ふっ… ははは。 …あほちゃう?笑」


俺は、気が付いたら、泣きながら笑っていた。

彼は、とんだぶっ飛びヒロインだ。


桃「はぁ??お前俺がせっかく会いに…」


ぎゅっ…

ないこを抱きしめる。



桃「…まろ?」


青「……あほ、ほんまに…あほや」


俺は、シナリオ通りの恋はあげられへんし、 あるはずだった王子との未来も、あげられへんのに。



青「……ごめん、大好きや、ないこ」


桃「なんで謝んの 笑

…俺さ、まろが、普段からこっそり魔法で俺のサポートしてくれてんの、気付いてたよ」


青「…!」


桃「…まろの魔法、大好きだよ。 あと、まろ本人のことも」



ないこは、俺が、あの夢の中で何度も見た笑顔よりも、何百倍も眩しい笑顔で笑った。


…そういえば、前世でこんな話を聞いたことがある。

シンデレラと結ばれるのは王子様だけれど、ボロボロの服を着ていたシンデレラに魔法をかけて、彼女を初めて笑顔にしたのは、魔法使いなんだって。


…つまり、そういうこと。

2人は末永く愛し合って暮らしましたとさ。










謎に書きたくなったシンデレラパロです

色々がばがばで笑えちゃいますね…🫠


この作品はいかがでしたか?

1,116

コメント

14

ユーザー

うわぁぁ✨ほんと大好きです🥰 ぶっ飛びヒロインな桃さん 解釈一致すぎますッッ✨ 最初に笑顔にした魔法使い… 良き…😭

ユーザー

ストーリー神過ぎません?

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