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お久しぶりです。夏の穂です。
8月21日なのでにょたゆり双黒でバニー…と思ったけどネタがないので中太♀にバニーさせます。
つい最近まで私はこのひをハニーの日だと思っていました(莫迦)
深夜の静けさが漂うリビングルームのソファに、太宰治は不満げに体を預けて寝転がっていた。
時計の針はちょうど十時を指している。
武装探偵社での退屈な一日の終わりを迎え、同棲しているこの自宅に戻りはしたものの、肝心の相棒であり恋人でもある中原中也の姿はまだない。ポートマフィアの幹部という多忙を極める立場ゆえに帰りが遅くなるのは今に始まったことではないが、それでも最近のすれ違い気味な日々に太宰は小さく舌打ちをしたい気分だった。
「まったく……最近全然構ってくれないじゃないか」
口を尖らせ、手元にあったリモコンを放り投げる。
付き合ってはいるし、初夜を済ませて恋人同士としての関係を重ねてはいるものの、ここしばらくはまともに肌を合わせる機会すらなかった。中也は帰宅するなり泥のように眠るか、あるいは山積みの書類を片付けるかのどちらかで、太宰の誘いには「疲れている」と苦笑いを返されるばかりだった。それが不満というわけではないが、男と女の恋人同士として、たまにはもっと熱を交わしたいという欲求が太宰の胸の奥で燻っていた。
どうせ今日も、深夜遅くに帰ってきてシャワーを浴びたらそのままベッドに倒れ込むように眠るのだろう。そんな予想が頭をよぎり、太宰の琥珀色の瞳にふと悪戯な光が宿った。
「ふうん……。このまま大人しく寝て待つなんて、私の柄じゃないよねぇ」
むくっと上半身を起こし、面白そうな企みを思いついたように不敵な笑みを浮かべる。
せっかくの夜なのだから、あの忙しない重力使いを盛大に驚かせて、枯れかけた日常に刺激を与えてやろうという魂胆だった。何か面白いサプライズはないかと考えながら、太宰はリビングから寝室へと足を向ける。
寝室の扉を開けると、相変わらず中也がいないと片付けが進まないという生活感の表れか、部屋のあちこちに脱ぎ捨てられたシャツや資料が散乱していた。
「もう、相変わらずだらしないんだから」と呆れたように呟きながら、太宰は部屋の隅にある大きな木製のタンスの引き出しに手を伸ばした。中也の私物に混じって自分の衣類もしまってあるその場所をごそごそと漁っていると、一番奥の底の方から、見覚えのない黒い布の塊が指に触れた。
「ん……? なんだこれ」
不思議に思いながら引っ張り出してみると、それは艶やかな光沢を放つ黒色の生地だった。広げてみて、太宰は思わず動きを止める。
それはうさぎの耳を模したカチューシャと、背中が大きく開いたタイトなバニーガールの衣装だった。
「あー……」
記憶の糸をたぐり寄せようとするが、すぐに諦める。
ポートマフィアに在籍していた頃、あるいはその前後のどこかのタイミングで、何かの冗談か任務の隠れ蓑として手に入れたものだろう。どういう経緯で購入したのかはすっかり忘却の彼方だったが、今この瞬間にこれを発見したということは、神様が自分に「これを着て恋人を誘惑しなさい」と告げているようなものだった。
「ふふっ……いいじゃないか。これなら、あの可愛い中也の目を完璧にひっくり返せるね」
悪戯っ子のような笑みを浮かべた太宰は、その場で手際よく服を脱ぎ捨て、バニー服に身を包み始めた。
数分後。
寝室の姿見の前に立った太宰は、自分の姿を映し出しながら小さく首を傾げていた。
黒いサテンの生地は身体のラインをいやらしいほどに強調し、ハイレグのカットから伸びる白い脚はどこまでも滑らかだった。ただ、ほんの少しだけ胸元やウエスト周りが窮屈に感じる。
「あれ……? おかしいな。少しきつい気がするぞ」
首を傾げながら、太宰はふと自分の身体を見下ろした。
思えば、ポートマフィアを抜けて探偵社で過ごすようになってからの数年間、暗い地下室でガリガリに痩せ細っていた十代の頃とは違い、三度の食事をきちんと摂り、時には命の危険を潜り抜けながらも人間らしい生活を送るうち、太宰の身体にはほんのりと健康的で柔らかい肉づきが戻っていた。本人は自覚していなかったが、当時よりも確実に女性としての曲線美が豊かになっていたのである。
「まあ、いっか。これだけ着衣にインパクトがあれば、細かいサイズなんて中也は気付かないさ」
深く考えるのをやめ、太宰はそのままの格好でリビングに戻り、ソファに深く腰掛けて中也の帰りを待つことにした。
それから数時間が経過した深夜の二時過ぎ。
玄関のドアが静かに開く音がして、重い足音が廊下に響いた。
「ただいまぁ……」
疲れ切った低い声を発しながら、中原中也はネクタイを緩めつつリビングへと足を踏み入れた。首を回して凝りをほぐし、そのままソファの方へと視線を向ける。
すると、いつもなら適当な部屋着でテレビを見ているはずの恋人が、なぜか微動だにせず立っていた。
「……は?」
中也の細い三白眼が、驚愕によってさらに小さく見開かれた。
玄関に立ち尽くしたまま、中也は自分の目を疑うようにゴシゴシと両目を擦る。
「おいおい……流石に仕事のしすぎで頭がおかしくなったか? 俺はついに、自宅で幻覚を見るような重症患者になちまったのか……?」
「あー、だめだこりゃ。完全に頭やられちゃってるね、中也は」
苦笑いを浮かべながら、太宰は中也の方へと歩み寄った。耳についたうさぎの長いカチューシャが、歩くたびにぴょこぴょこと揺れる。
「そーだよ、幻覚だよー。寂しさのあまり私の幻が見えているんだね、可哀想に」
面白半分でテキトーな相槌を打つ太宰だったが、その言葉を最後まで聞き届ける前に、中也の身体が鋭く動いた。
ガシッ、と力強い腕が太宰の細い身体を文字通り捕らえ、強い力で引き寄せる。
不意を突かれた太宰は「うわっ……」と小さく声を漏らし、そのまま中也の硬い胸板に押し付けられてバランスを崩しかけた。
「……幻覚、じゃねえよ」
低く、どこか震えるような声が耳元で落ちる。
中也は太宰をしっかりと抱きしめると、その顔を太宰の胸元や首筋にぐりぐりと埋め込んだ。外の冷気と仕事の疲れをまとっていたはずの身体が、太宰の体温に触れた途端にみるみる脱力していくのがわかる。
「おさむ……」
普段の傲慢なマフィア幹部の面影はどこへやら、今の彼はただ、恋人の温もりを貪るようにすがりつく一人の男だった。
「まったく、甘えん坊なんだから……。そうだよ、本物の治だよー」
愛おしさと気恥ずかしさが入り交じりながらも、太宰はふっと柔らかく微笑み、中也の赤茶けた髪を優しく撫で下ろした。拒絶されるどころか、想像以上に深く求めてくるその反応に、胸の奥がくすぐったく熱くなる。
しかし、感傷に浸っていたのはほんの束の間だった。
「……もう、我慢できねぇ」
低い呟きとともに、中也はヒョイと軽々と太宰の身体を持ち上げた。
「えっ……ちょっ!?」
太宰が驚きの声を上げた時には、すでに彼女の身体は中也の腕の中に収められており、そのままの勢いで寝室へと運ばれていた。
ドサリ、と音を立てて寝台の柔らかいマットの上に押し倒される。
「ちょ、ちょっと待って……! いきなりなんだい、心の準備が……」
焦りを滲ませた太宰の言い訳を遮るように、中也は上から覆いかぶさるようにしてその唇を塞いだ。先ほどまでの疲労の色は綺麗に消え失せ、代わりに飢えたような熱情がその瞳を支配している。
「待てるわけねぇだろ。こんな格好で俺を誘っといて、よく言うぜ」
低く掠れた声が耳元で囁かれ、そのまま二人の熱い夜が、静まり返った部屋の中で深く溶け合っていくのだった。
だめだR18シーンが書けなくなっている…。すいませんそれではまた今度…。
じこまん
40
怜
206
碧瑠(みどる)&理雨
44
コメント
3件
うわああ、バニー太宰、最高すぎます……! 中也が帰ってきて第一声「幻覚か?」って言うところ、完全に頭をやられてて笑ったけど、その後の「我慢できねぇ」で一気に熱が上がる感じがたまらなかったです。あと、昔の服がサイズ合わなくなってる「健康的な肉づき」の描写、双黒のこれまでの関係性を感じさせてじんわりきました。R18シーンはなくても、余韻で十分伝わりますよ!