テラーノベル
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12月になり、いよいよドイツに挙式のために出発することになった──。
海外での挙式は列席の方々に色々と負担がかかることにもなるので、式は彼と二人だけで挙げることになっていた。
彼はドレスを購入することを提案してくれたけれど、そこまでしてもらうのはさすがに申し訳なくも思えて現地のウェディングプランナーでレンタルをすることにした。
「ウェディングドレスは買わなくても、本当によかったんですか?」
空港を離陸した機内で彼にそう訊かれて、「はい」と頷く。
「だってドレスは、もう以前にも買っていただいているから……」
いつか別荘でプレゼントをされた水色のドレスのことが思い出された。
「……あなたになら、いくら買い揃えても足りないくらいなのに」
本気で物足りなさそうな表情になる彼に、そんなにも思われていることがとても幸せに感じられて、
「ありがとうございます……」と微笑んで、「私はあなたと結婚ができるなら、それだけで何もいらないくらいなので」そう心からの想いを伝えると、
「ありがとう……」と、笑みが返されて、
「あなたと結婚できることが、私も本当に幸せです」
二人掛けのシートで身体が真近に寄せられて、頬にちゅっと口づけられた……。
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