⚠お話の進行上、一部のセリフ結構省略します、ごめんなさい。
「うおおおお!!」
たくさんの男の人の騒ぐ声が嵐のときの爆風のように聞こえ、土や血の生臭い鉄の匂いが鼻の奥を掠める。
目の前で一体何が起きているのか理解出来ず震える手でイザナさんの腕を握り、ただただ食い入るように事の成り行きを見守る。
「…イザナぁ」
「潰れかけの東卍相手にずいぶん苦戦してんじゃねぇかよ天竺」
相変わらずの爆音が耳を刺激する中、この場に似合わないほど凛とした稀咲さんの声が鼓膜を揺らす。さっきのことがあり、もう既に恐怖の対象になっている稀咲さんをなるべく見ないように視線を泳がす。
「…」
すぐ隣に座っているイザナさんは感情の読み取れない無の表情でジィ…と黙ったまま争いの一点を見つめていた。
目の前に広がる地獄絵図の風景。地に響くような重い叫び声が不安を煽り、どこかに籠っているかのように重苦しい雰囲気がどんどん私の心を固く締め付ける。
「…オレらは13の時、少年院で出会った」
突然、セリフを読むように淡々とした口調でイザナさんはそう言葉を放った。
普段と同じように聞き流そうとしていた鼓膜が“少年院”という聞き慣れない単語にくいっと引っ張られるように反応する。
え?少年院ってあの少年院だよね?
「それが“極悪の世代”」
唖然とする私に気づかず、イザナさんはさらに言葉を進めていく。
「望月莞爾の罪状は“公務執行妨害”」
「喧嘩を止めに入った警察官をボコボコにしたらしい。」
ヒュッ、と自身の喉か掠れる音が脳内に響く。聞き慣れない物騒な単語たちが異国の言葉の様に耳をスッと通り過ぎていく。
“障害”“、“傷害致死”。平然とした表情で淡々と罪状を紹介していくイザナさんに密かな恐怖を覚える。初めての経験に身体中の骨がガチガチとぶつかり合う音が聞こえてきそうなほど体が大きく小刻みに震え、もう自分では止めることが出来ない。
「…○○ちゃんめっちゃ震えてんじゃん。」
突然話しかけられ。ビクリとさらに体が震えあがる。
声の主へと恐る恐る視線を向けると、両手の甲にそれぞれ「罪」「罰」と施された刺青が特徴の男性がこちらを面白そうに見ているのが目に入った。好奇心で弾んだように見開かれた瞳孔が少し怖く、すぐに目を逸らす。
「知ってる。ビクビクしてて超可愛いよな。」
怖くてオレにすげぇくっついてくるとことか、とイザナさんは屈託のない声でそう言い私を見つめる目を甘く細める。
イザナさんの甘ったるい洋菓子のような優しい言葉に頬が火照り、心が大きく弾む。
「…ばはっ♡歪んでんなァ、なぁ稀咲」
「共感求めてくんな。」
続きます♡→1000
コメント
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次回最終回なんですね 悲しすぎるーー😭😭
イッチバン! この作品神すぎませんか????