この作品はいかがでしたか?
29
この作品はいかがでしたか?
29
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
ヨーロッパ行きの船が出たばかりの待合室は、がらんとしていた。旅人が旅の話をしているのを、青年は横で聴いている。
話は、村を出て、町を出て、市を出て、州を出て、隣の国に移っていくことでできていた。でも、実際に飛行機の窓から見ると、国も州も市も町もなかったという。境界線なんて何もなかった。あるのは山や川、町や村、海だった。国や町なんて、地面に張り付いた人達が考える、反自然的な空想だと分かったという。