TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

中学2年の夏、クラスの子達と夏祭りに行く事になり、好きな男の子に少しでも可愛いいと思って欲しくて頑張って髪を編み込みをしてからアップにして浴衣を着た。

でも、その子に「ブスが何しても無駄だよ」と言い放たれ他の男子がその言葉を聞いて笑い出した。

仲のいい女子は慰めてくれたけど、あまり仲の良くない女子は一緒になって笑っていた。

それからは前髪を伸ばして男子やあの時笑っていた女子とは極力話をしなかった。

好きだった男の子は時々話をかけようとしてきたが、すぐに逃げる癖がついた。もうあれ以上の暴言を聞きたくないという防衛本能だ。


そして、そのまま高校、大学と進んでもトラウマはそのまま残り、誰からも暴言を吐かれることのないように目立たないようにしていたが、上野くんに告白されて、内面を見てくれる人がいたんだと舞い上がっていたところにあの仕打ちだ。

しかも、私をジミクラとかあだ名をつけて陰で笑っていた。

悔しくてポロポロと落ちる涙は青いグラスの中で波紋を作る。


《アンソルスレール》魔法をかけるという意味をもつ名前のBARを見つけたのは、少し冒険をしようと思い住んでいるマンションの最寄駅からマンションとは逆に歩いて街探索をしていた時だ。煉瓦造りの外観が可愛く、カフェだと思って入店したところBARだった。

店内はそれほど広くは無く二人掛けのテーブル席が3席と鰻の寝床のような長いカウンターで、間接照明と所々に置かれた花によってカウンターの先はハッキリとわからず実にゆったりとした気分になる。


丁度20歳になったばかりでお酒のことはわからないが秋田の出身だと話をするとバーテンダーの竜基(たつき)さんが日本酒を使ったサムライロックという柑橘系の爽やかでとても飲みやすいカクテルを作ってくれて、それからは時々来ては竜基さんとお話をしてカクテルを二杯ほど飲んで帰るのが楽しみになり、今では自分へのご褒美として週に一度金曜日に来ている。

アルバイトはアンソルスレールに来る為にやっているような感じだ。


そして今、アンソルスレールで竜基さんに話を聞いてもらっている所だった。


目の前には清流という日本酒を使ったカクテルで鮮やかなブルーが飲み口も見た目も清涼感たっぷりで、そこに今隠し味の涙というソルトが入った感じだ。


その涙入りのカクテルを一気に飲み干した。


「昨日は初めて告白してもらえて、お祝いのカクテルまでご馳走になったのに。今日は振られてと言うか騙されてまたお一人様続行です」


竜基さんは長身にサラサラの黒髪、そして何と言っても黒のベストに蝶ネクタイが似合っていて目の保養で、そう思っている女性は私だけではないめちゃかっこいい男性だ。


その竜基さんの「どういうこと?」と落ち着いたバリトンボイスが耳に心地よく、乃乃メン(乃乃の男共)達から受けた傷を竜基さんに浄化してもらおうと話していたところだ。


確かに私は地味でこの店の中でも、光の影に溶け込みそうなほどだ。

1monthCinderella〜契約彼氏は魔法使い〜

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

31

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚