テラーノベル
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夏。
放課後の空はまだ明るく、外に出るとむっとするような暑さが残っていた。
俺たちは六人で学校を出て、途中まで一緒に歩いていた。
らん「あっつ……!」
こさめ「暑いねー……」
いるま「まだ夏始まったばっかなのにな」
なつ「暑いもんは暑いだろ」
みこと「アイス食べたい」
すち「俺も」
らん「じゃあコンビニ寄ろうぜ!」
こさめ「賛成!」
しばらく歩いていると、すちが足を止めた。
すち「ごめん、俺こっちだから」
らん「あ、そっか」
みこと「じゃあ、また明日ね。すっちー」
すち「うん。また明日」
すちは五人に手を振って、一人で家へ向かった。
らん「じゃあ俺たちも行こー!」
五人はそのまま別の道へ向かう。
けれど、少し歩いたところで、いるまが足を止めた。
いるま「……待て」
なつ「何?」
いるま「俺、忘れ物した」
らん「学校に?」
いるま「違う。さっきコンビニで買ったやつ、袋に入れっぱなしだった」
こさめ「取りに戻るの?」
いるま「……いや、家帰ってから気づくよりマシだろ」
なつ「じゃあ戻るか」
五人は来た道を少し戻ることになった。
すると、すちの家の近くを通る。
らん「ここ、すちの家の近くだよな」
みこと「そうだね」
そのとき、家の窓が開いていることに気づいた。
夏だから、風を通すためだろう。
五人は何気なくそちらを見る。
こさめ「あれ、すっちーいるんじゃない?」
らん「ほんとだ!」
窓の向こうに、すちの姿が見えた。
らん「ちょっと話してこうぜ!」
こさめ「いいね!」
いるま「じゃあ、呼ぶか」
五人は家の方へ近づいていく。
そして、声をかけようとした。
その瞬間。
父「すち」
五人の足が止まった。
窓から見えるのは、学校で見るすちとは違う姿だった。
すちは父親の少し後ろに立っている。
すち「はい」
父「そこに置いてある新聞、取ってこい」
すち「分かりました」
すちはすぐに動く。
父「あと、飲み物」
すち「はい」
すちが戻ってくる。
父「そこ置いとけ」
すち「はい」
父親はテレビを見たまま、すちに次々と用事を言いつける。
父「洗濯は?」
すち「終わっています」
父「畳んだのか?」
すち「まだです」
父「じゃあやっとけ」
すち「はい」
すちはすぐに動こうとする。
その様子を、五人は黙って見ていた。
らん「……え?」
いつものすちとは、まるで違う。
学校なら、くだらないことで笑う。
みんなと普通に話す。
冗談だって言う。
なのに今は。
父親に何か言われるたびに、
すち「はい」
そう答えている。
こさめ「……すっちー?」
小さな声が漏れる。
なつ「……なんだよ、これ」
いるまも何も言わない。
みことだけが、窓の向こうにいるすちをじっと見ていた。
すると父親が、また口を開いた。
父「すち」
すち「はい」
父「立ってないで、早くしろ」
すち「……はい」
すちは急いでその場を離れる。
五人は動けなかった。
誰も、すちに声をかけられなかった。
ただ一人。
みことだけが、小さく呟いた。
みこと「……すっちー、学校と全然違う」
その言葉に、誰も答えなかった。
#学園
野村 胡乃💫🤍🩷️
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#鬼・悪魔・化け猫・人間
コメント
1件
**リオン:** うわ、これ……読んでて胸がぎゅっとなった。学校での「すち」と家での「すち」が違いすぎて。友達の前で「はい」しか言わない姿、あれは見てはいけないものを見た感じがする。みことが最後に呟いた「学校と全然違う」って言葉がすごく重いな。続きが気になる。