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3章:ポポハスの青
22話:神と神者。
朝日秀蘭
→痛覚 創造を具現化する能力
導奇秋
→視覚 生死を導く能力
加和夏希
→嗅覚 時の凍結能力
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〈注意〉
3章では暴力表現を扱うのシーンがあります。 原作より柔らかい表現にし、注意喚起をするのでセンシティブ設定を付けていませんが、苦手な方はお気をつけ下さい。
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マーサル神社まで行く殺風景な砂漠の中で、レタリーさんは私たちの質問に答えてくれた。
カフリーア大陸は、ある大きな争いのせいで砂に覆われた地になったこと。
その影響でここに住む人々は、生きるために互いを傷つけ合うこと。
今、最も大きい戦争は、大陸内での異なった神の信仰者が起こしているものらしい。
それは二つの勢力ではなく、いくつもの信仰者達がぶつかる内戦らしい。
「だから、神社の名を出しただけでさっきの人たちは怒ったのね。きっとあの人達には別の神がいたから。」
「ええ、きっと。ですが双子神様はこのことにあまり興味を持たれないんです。」
少し目を伏せてため息混じりに、
「創造神様のご友人だというのに…。」
と嘆く。創造神とウカイハって仲悪いのかな…?
聞いた感じ、古代魔法の四神の他にも神々がいるみたい。
「そういえばレタリーさんって双子神様に詳しいよね!シサイ・テサイ様にも会ったことあるみたいだし!」
「あ、私は…」
と空気を変えるようにシュウが質問する。
「…私は双子神様の神者なんです。」
「信者だと会えるの…?」
「いえ、その。信じるではなく、神の者なんです。」
やはり。とダインが呟いた声が聞こえた。って、そうじゃなくて…
「神者って一体なんですか?私、私たち存在すら知らなくて。」
「神者は神に最も近い生物です。皆様の言葉で言うと…天使っていうのに近いかもしれません。」
「じゃあ、レタリーさんって人間じゃないの…?」
彼女は困った後、教えてくれた。私たちに分かるように丁寧に。
「…私と破壊神様のグレアは神々の力の一部『核』から創られました。互いの神によって」
彼女は左手でニ本指を立てた。
「創造神様のハクウは元は人間です。ですが強大な力によって神者になりました。」
彼女は右手で一本指を立てる。
ウカイハにも神者がいるんだ。会わなかったけど…
罰だけでなく、全員の想いを踏まえて判決を出すのが裁判じゃろ…?…まぁ、こういうのはあやつの方が…、
そう言えば、あやつって…。まさかね。
「ファイルナは!?レタリーさん、ファイルナの神者は誰なの!?」
確かにファイルナの情報が出なかった。一番探している相手だし、シュウが焦るのも分かる。
「えっと…。」
レタリーさんは両方の立てた指を、絡めるようにして手を下ろした。
「無感情神様のフェリーダも元々人間です。ですが…フェリーダとファイルナ様はもう…」
レタリーさんが言いかけたとき、どうやらもう神社についていたらしく、急な階段にシュウが
転んだ。
「しっかり前を見ろ、全く。興奮しすぎだ。」
「もぉ、気をつけてるよ!ダインはいっつも一言多い!」
「…ケンカなら買うぞ」
「こらシュウさん、足見せて。」
やいのやいのと手当てしていると後ろがヒヤリとした。物理的にではなく、恐ろしいものを見て血の気が引く感じ。
ナニカが後ろにいる気がした。
それと同時にウカイハの時のように感情の印が光出した。
「ゔっっ。また!?」
「な、なによこれ…!!」
光が収まった後、鈴の音と共に二つの重なった声が聞こえた。
驚いた私たちは一斉に声の主の方へ向く。
そこには、私たちと同い年に見える瓜二つの子供がいた。瞳の形や髪型は対照的だけど、双子という言葉がピッタリな二人。
どこかレタリーさんに似ているが、声の裏からはウカイハのような圧を感じられる。
もしかしたらこの二人が、
「双子神…ですか…?」
「ソうだよ。余が双子神兄者、シサイ。」
「余ガ双子神弟者、テサイ。」
「「ヨろしくネ。」」
常に笑顔で神の余裕を感じられる。
ウカイハとは違うその余裕は私たちを圧倒させ、じっと見つめながら彼らの二言目を待つことしか出来なくなったようだった。
「サあ、遠いところからハるばる来たんだ。」
「レタリー、余らの神社に通してあげなさイ。」
レタリーさんは、「はい」と返事をしたあと私たちに声をかけ歩き出した。
「質問はあとで沢山答えてアげますからね。」
「まずはゆっくリ休んで下さいネ。」
その笑みに見送られ、私たちはレタリーさんを追った。