テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
3章:ポポハスの青
23話:神の自己紹会
朝日秀蘭
→痛覚 創造を具現化する能力
導奇秋
→視覚 生死を導く能力
加和夏希
→嗅覚 時の凍結能力
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
〈注意〉
3章では暴力表現を扱うのシーンがあります。 原作より柔らかい表現にし、注意喚起をするのでセンシティブ設定を付けていませんが、苦手な方はお気をつけ下さい。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
キィ…
「失礼しま…。…!!」
「すっげぇぇぇ!綺麗!!」
用意された部屋は思っていたよりも広く、私たち四人が寝れる十分なスペースがあった。
乾燥させた砂レンガの壁によって補強もされており、暑いこの気候にぴったりな熱帯の観葉植物など いんてりあ? も充実していた。
「ほ、本当にこんなお部屋、使わせてもらっていいの?」
「はい!双子神様のお客様ですもの!」
お言葉に甘えて、荷物を置いたり、シュウの包帯を巻き直したりと少しリラックスさせてもらった。
だが、そんな中でもシュウとダインは好奇心と不安で落ち着かない様子だった。
「「オや、来たネ。イらっしゃイ。」」
中庭の見える部屋にいた双子神はどうぞと言うように手招きして私たちに微笑みかけた。レタリーさんも同席するなか、 私たちは用意されていた椅子に腰を下ろすと、中庭に設置してある大きな中央の鐘が鳴る。
「お、大きな音ね…。」
「ゴめんね。コうしておかないと周りが困っちゃうからさ。」
「周り…?」
この神社周辺は遺跡と砂だらけで、街は目で確認できるものでも数百キロ離れている。
そんなもの…とシュウ達と顔を見合わせていると、それを汲み取るように話し出した。
「余らはモともと、ウカイハから頼まれた世界の歯車を管理する神でね、」
「この世界の周りにある並行世界も管理しているかラ、向こうに鐘で連絡しているんダ。」
それもあって彼らは双子神と呼ばれているのかもしれない。
…そんなことを考えていた矢先、ダインが期待を宿さない目で質問した。
「その並行並行に俺はいるのか…?」
「…並行世界は存在してもキミは存在しない。」
「別の世界の君は果たしてキミなのかイ?」
双子神はダインの不安を読み取ったのか、彼だけに分かるような回りくどい言い方で答えた。
「…はは。そうか…」
ダインはドライな声で返事しつつも、どこか安心したみたいだった。
「並行世界はスごく面白くてね。イろんな世界があるんだよ。」
「少年少女達ガ自分と向き合うショーの世界とカ、」
「集められた十数人が自分の記憶を探し出す異界の世界とかね。」
双子神曰く、どの世界線にも同じ個体が存在することがあるみたいだけど互いに干渉はしていないらしい。
その後も色んな話を聞いた。双子神は世界の歯車を管理したり、知恵を人々に与えたりと多芸で、今でもウカイハから頼まれた雑用を行なっているらしい。
そんななか、四神以外の神って本当にいるの?と夏希が質問すると…
「余ら四神以外にも神はイるよ。」
「たダ、古代魔法を使う余らの仲が良いってだけでネ。」
「そういえばシサイ、テサイは不自然魔法だったよね?どんな魔法なんです?」
私が聞くと双子神は中庭を見た。
それに惹かれ私たちも中庭に目をやる。と、突然庭になかった植物がグイッと茎を立たせ、つぼみを開く。
「…!花を…出す魔法、…?」
中庭は一瞬にして一面の花畑となった。この争いの地に似合わないくらい。
「違うよ。今はココ一帯に雨をフらせたんだ。ソしたら、数年前に埋められた種子が芽を出したみたいだね。」
「余らはキミ達人間の言う自然災害を不規則に操ることができるんダ。」
それに加え、人は災害を不安定なものって考えるから不自然魔法という名前なのだそう。
双子神は話にひと段落がつくと咲いた花々を眺め呟き出す。それもあまり信じられない内容で。
「…シサイ…。ファイルナもこの花が好きだったよネ。」
「…ソうだねテサイ。彼女は束の間でも笑顔になった。」
「え…?ファイルナは無感情神ですよね?笑顔って…どう言うことなんですか?」
確かに夏希の言う通りだ。
色んな書物にもそう載っていたし、何よりシュウの顔がありえないって言ってる。
それでも双子神は負った傷を抉るような顔をしながら、目でナニカを相談している。
「シサイ様、テサイ様、私がお伝えしましょうか…?」
「大丈夫だよレタリー。感生の子供達にはしっかり伝えなきゃね。」
「これは余ら神々ノ、責任なんだからネ。」
双子神は息を整える。決断したようだった。
なんだろう。この胸騒ぎは。
なにか、
なにか、大きな常識が変わってしまう。
そんなような…。
「え…?」