星が光った──────。
むかしから、宇宙には数多の銀河がある。
それぞれの銀河には、名前があるが、それを私達は知らない。
それぞれの銀河ではどんな事が起きているのだろう。
その中、ある星が光った。
その一部が星屑となってポロリと落ちた。
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その星屑は小さく光った。
『……うぅ』
その星から、少年のような幼い声が聞こえる。
『あれ?ここは、どこ?僕は……』
星屑は宇宙の中を静かに漂うだけだった。
星屑の名前も、宇宙の名前も、分からない。
周りに同じような星屑はどこにも居ない。
星屑はひとりぼっちだった。
『ねぇ、誰か教えてよ、僕はどうしてここに居るの?僕はだぁれ?僕は何をしているの?』
その時、星屑の真上にある星がまた光った。
『目覚めたんだね、私の愛しい子よ』
優しい女の人のような声だった。
輝くように光るあの星からだった。
『だぁれ……?』
『私は貴方のお母さんみたいなものだって思ってくれると嬉しいわ』
『お母さん……?』
『そう。……私が貴方をこのようにしたのは、貴方には『希望』があるからなの』
『きぼう?ってなに?』
『貴方が歩むべき光の道だよ。……今から貴方にお願いがあるの』
『お願い?』
星屑は星の願いを聞く。
星は悲しそうにこう告げた。
『この銀河は、きっと滅びることになる。悪い星のせいで___だからね、貴方には、そんな銀河を救ってほしいの』
『僕が?』
星屑はちっぽけだ。
そんな願いを叶えるのは難しいのではないか、そう考えた。
『それに、私の寿命も……長くない。貴方にしか頼めないの、どうかこの銀河を救ってほしい。生まれたばかりの貴方に言うだなんて、無理なことだって分かっているけど……』
星屑は星のそんな悲しそうな声を聞いて、放っておける気持ちになれなかった。
その声を聞いて、星屑も悲しく感じたのだ。
『僕、お母さんのお願い、叶える!』
そうやって言えたのは星の悲しい声を聞いたあとだった。
すぐに伝えることが出来た素直な気持ちなのだ。
『本当に?』
『うん、だって、お母さんが悲しむくらい、この銀河っていうものは大変なんでしょ?だったら、僕が助けるよ!』
それを聞いて星は安心した。
ほっとするような息が聞こえる。
『ありがとう。そう言ってくれて良かったよ。貴方が私の子供で良かった……』
星屑はその言葉を聞いて少し嬉しかった。
星はまた光った。
『……さぁ、この銀河を救うために、貴方に『祝福』を与えましょう』
星は優しい光を星屑に与えた。
光は綺麗な星色から淡い緑色に変わった。
『これが貴方の色なんだね。自然のような美しい色だね』
『この光、温かいなぁ』
『ふふ、さて、最後に……これは私からの『最後の贈り物』だよ』
星はそう言って、もうひとつ、星色の光を星屑に与えた。
星屑はほわぁっと優しく光る。
『貴方に『名前』を与えましょう。貴方の名前は______『キラ』……キラだよ。どうか、これだけは忘れないでね』
星屑___キラは、その光を優しく受け入れた。
『僕の名前は___キラ!覚えたよ、お母さん』
『ふふ、良かった。それと、もうひとつ、伝えておくね。貴方が最初に降る地は、貴方の目的を邪魔する星。まずはそこから抜け出すこと、分かった?』
これはキラに与えられた最初の試練だった。
『うん!分かった!』
『そして、貴方は抜け出した後、貴方が歩むべき正しい道へ進むこと。きっと貴方が出会うところは、貴方と同じ目的の星だと思う。その人達と頑張るんだよ』
『わかった!』
キラは元気よく答えると、急に重力を感じて落ちていくような気がした。
『さぁ、ここで私とはお別れ……。キラ、どうか忘れないでね、貴方の目的は『銀河を救うこと』。銀河を救う為に貴方は生まれてきた。___どうか、この願いが叶いますように……』
キラは落ちていく。
目の前に居る母が遠のいていくのを感じる。
優しい光で母が見えなくなるのを感じる。
そこでキラの意識は___途切れた。
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「ぁ……あ……」
青年の声だ。
青年は目を開けた。
何かの施設内のようだった。
青年は起き上がる。
青年の髪は美しい灰茶色で、瞳は淡い緑色だった。
体を覆っていた毛布はそれに従って崩れる。
辺りを見渡してみれば、本がたくさん置いてある本棚に、誰かの作業机があった。
青年は自分の体を見た。
毛布があるだけで、何も着ていない。
寝ていた所を見て、自分がソファの上で寝てたんだと確信した。
青年がなんでここに居るんだろうと見ていると、ドアから一人の男が入ってきた。
体格からして、同じ年齢くらいだろうか。
白髪の美しい短髪に片目が隠れるほどの長い前髪、黒い服を着ていた。
「あ〜!起きたんだね!かわいいかわいい綺羅星君〜!」
「……?」
青年は小首を傾げた。
「……きら……ぼし……?」
「そうそう、君は綺羅星なのだよ!自分がどこから来たか分かるかな?」
「うーん……」
青年は考えてみた。
自分はここに来るまで何をしていたのか。
「多分……お空から降ってきた」
「おおお!やっぱりそうなんだな!」
白髪の男は興味津々に言った。
青年は不思議そうに男を見る。
「キミはここの者じゃないからな。一目で分かるんだぞ〜?それに、空から降ってきたと言っただろう?」
「うん」
「キミは『星からやってきた』んだ」
青年はもっと小首を傾げた。
「星?」
「そうそう!キミは星からやってきたのだよ、キミの胸のその星のマークが証拠さ!」
男は青年の胸元に指をトンっと置いた。
青年は自分の胸元を見る。
胸元には、黄色と緑のグラデーションの星のマークがあった。
「……?」
青年は不思議そうにした。
「まぁ、こっちの研究を元にしての判断だけど。だから本当は違うかもしれない。はは!……ねぇ、綺羅星君、キミの名前分かる?」
青年は思い出そうとしてみた。
その時、こんな言葉が脳裏で聞こえるような気がした。
『貴方の名前は______『キラ』……キラだよ。どうか、これだけは忘れないでね』
青年はハッとした。
男を見てこう言った。
「僕の名前は______『キラ』……キラだ」
青年___キラは、自分の名前を言ったあと、自分が今まで何をしていたのか思い出せた。
だがそれは男には言わないようにした。
「へぇ!綺羅星君だけに!?キラ君って言うんだ!宜しくねぇ、キラ君〜」
キラは心の中で、名前を忘れるところだった、と焦る気持ちでいっぱいだった。
そんな気持ちを抱えながら キラは男の名前を聞いてみる。
「君は?」
「俺?俺はね、『メテオ』だ!好きに呼んでくれていいからな!」
あの時、キラの母は、最初に降る地は、自身の目的を邪魔する星だと言った。
キラはこのメテオという男が、自分の『最初の敵』なんだと確信した。
続く。
コメント
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メテオさんが、こんな速くに出てくるとは…これからどうなるんだろう… お二方、挿絵と文章の制作、お疲れ様です…! 雰囲気が素敵で、続きが気になる話でした!✨
小説読ませていただきました〜とても素敵なお話で続きが今から楽しみです!✨(*˘︶˘*).。*♡✨ お二方小説と挿絵の作成お疲れ様です!