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「テルさん、ほんとに僕は大丈夫ですから」
「山田君、ごめんね。本当はちーちゃんにも謝ってほしいけどね」
(連れて行かないとか闘えないからってのは否定しないんだ)
遠藤は不貞腐れている
「ちーちゃん、何か言えって」
テルは苛立っている
カンカンカン
誰かが階段を登ってくる
大家があらわれた
「朝から何を騒いでるの」
「おばさん、テルさんが…」
遠藤は泣き出した
大家は遠藤をそっと抱き寄せた
「テルちゃん、ちーちゃん泣かせちゃダメでしょ。出発前に仲間割れしてどうするの」
「いや、ちーちゃんだって悪いんだって」
(悪くないの僕だけだから。大家さん、みんな連れて行って)
「ほら、ちーちゃんも泣きやんで、暫く会えなくなるんだから、ちゃんと顔見せて」
「おばさん…」
「ほら、泣かない泣かない、下でホッシー達も心配してたよ」
(みんな大家さんとも仲いいんだな)
「テルちゃんね、酒場のルイさんが会いたがってたよ」
「あぁ、出発したら向かうつもりだった」
「それならちょうど良かったね。仲間集めに行くの?」
「いやいや、挨拶に行くだけ。ちょっと顔見せたらすぐ出るつもり。今回は4人パーティーだから」
「4人だけで行くの?山田さんは留守番なんだね。あんなでっかいバスみたいので行くんだから、ルイさんのとこで何人か仲間連れていけばいいじゃない。ルイさんに話しておこうか?」
「おばちゃん、あれはバスじゃないって。そんなに大きくないから。中狭いよ」
「でも、まだ2、3人は乗れるでしょ?」
「ははっ、無理だって、ねぇ、ちーちゃん、そんなに乗れないよね?」
「テルさんが乗れないってゆーんじゃ、乗れないんじゃないんですか」
「何その言い方」
「いいから、もう行こうって」
「そうしな、ホッシー達も待ちくたびれてるよ。それじゃ山田さん、お邪魔しましたね」
「いえ、テルさん、頑張ってください。皆さんにもよろしくお伝えください」
「うん、ありがと。ここ、よろしくね」
「はい」
「じゃあね」
バタン
「おばちゃん、だめだって」
「何が?」
「言っちゃだめだったんだって」
「何を?何も聞いてないもん」
「おばさんは悪くないよ。テルが悪い」
「ちーちゃん、ごめんって」
カンカンカン
(聞こえるから、階段降りてからにしろって。みんな仲良かったんだなぁ。僕だけか……来なきゃ良かったなぁ)
こうして勇者パーティーは魔王討伐へ旅立って行った